[高校数学]「極限」で意識することは?2024年度京都大学理系数学大問6を解説!

[高校数学]「極限」で意識することは?2024年度京都大学数学大問6を解説!極限

みなさんこんにちは、Yutaです。

かなり久々の更新となりました。

今回は2024年京都大学理系数学の大問6を取りあげます。

「極限」に関する問題ですが、どこの予備校の講評でも「やや難」となっており、

本番で正答できた受験生は少なかったのではないでしょうか。

今回の記事ではこの問題を通じて、「極限」の問題の考え方について見ていきたいと思います。

また、こちらの記事もぜひ御覧ください。

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大問6の概要

今回解説する問題は以下の通りです。

自然数\(k\)に対して、\(a_k=2^{\sqrt{k}}\)とする。
\(n\)を自然数とし、\(a_k\)の整数部分が\(n\)桁であるような\(k\)の個数を\(N_n\)とする。
また、\(a_k\)の整数部分が\(n\)桁であり、その最高位が\(1\)である\(k\)の個数を\(L_n\)とする。
次を求めよ。
$$\lim_{n\to \infty} \frac{L_n}{N_n}$$

「極限」に関する問題の考え方

入試問題の解説に入る前に、「極限」に関する問題の考え方について見ていきます。

「極限」に関する問題では、以下の2つのアプローチを意識する

  • 直接的に極限値を求める・・・
    \(\displaystyle \lim_{x\to 0} \frac{\sin x}{x}\)や、\(\displaystyle e=\lim_{n\to 0} (1+n)^{\frac{1}{n}}\)そして微分の定義を活用
  • 間接的に極限値を求める・・・不等式をつくり、はさみうちの原理に持ち込む

数学Ⅲの教科書を読むと分かりますが、こちらでは「直接的に極限値を求める」方法を中心に解説しています。

もちろん、実際の入試においても直接的に極限値を求める問題は出題されます。

しかし、難関大の入試では、後者の「間接的に極限値を求める」問題が問われることが多いです。

なぜなら、こちらは不等式を作る必要があり、これを作るのが非常に難しいからです。

今回の問題では、直接的に極限を求めることはできないため、まずははさみうちの原理の活用を見据え、\(N_n\)と\(L_n\)を不等式評価してゆくこととしましょう。

\(N_n\)の不等式評価について

まずは、\(N_n\)を不等式評価してゆくことにしましょう。

最終的に\(n \to \infty\)を考えるため、\(n \geq 2\)としても問題ありません。

ですので、以下\(n \geq 2\)とします。

ここで、ひとつ対数の復習をしておきましょう。

ある自然数\(N\)が\(m\)桁であるとき、

$$10^{m-1} \leq N < 10^m$$

すなわち、

$$m-1 \leq \log_{10} N < m$$

が成り立つ。

そうすると、今回は\(a_k\)に関して、

$$n-1 \leq \log_{10} a_k = \sqrt{k}\log_{10} 2 < n$$

つまり、

$$(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2 \leq k < (\frac{n}{\log_{10} 2})^2$$

が成り立ちます。

さて、上記の不等式を満たす\(k\)の個数は、ガウス記号(\([x]\)は\(x\)以下の最大の整数)を用いて表現できます。

\(\displaystyle (\frac{n}{\log_{10} 2})^2\)は明らかに整数とならないため、

\begin{align}
N_n &=[(\frac{n}{\log_{10} 2})^2]-\{[(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2]+1\}+1\\
&= [(\frac{n}{\log_{10} 2})^2]-[(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2]
\end{align}

と分かります。

\(N_n\)を上記のようにガウス記号を用いて表すことができましたが、これを不等式評価するにはどうしたらよいでしょうか?

ガウス記号に関して、以下の不等式が成立します。

$$x-1 <[x] \leq x$$

これを用いて\(N_n\)を不等式評価すると以下のようになります。

\begin{gather}
\{(\frac{n}{\log_{10} 2})^2-1\}-(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2<N_n<(\frac{n}{\log_{10} 2})^2-\{(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2-1 \}\\
\frac{2n}{(\log_{10} 2)^2} -1 – (\frac{1}{\log_{10} 2})^2 < N_n < \frac{2n}{(\log_{10} 2)^2} + 1 – (\frac{1}{\log_{10} 2})^2
\end{gather}

\(L_n\)の不等式評価について

次に、\(L_n\)を不等式評価していきます。

\(a_k\)の整数部分が\(n\)桁であり、その最高位が\(1\)であるとき、

\begin{gather}
1×10^{n-1} \leq a_k < 2×10^{n-1} \\
n-1 \leq \log_{10} a_k=\sqrt{k} \log_{10} 2 < (n-1)+\log_{10} 2 \\
(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2 \leq k < (1+\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2
\end{gather}

と評価できます。

\(\displaystyle (\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2\)は整数でないため、先ほどと同様に\(L_n\)をガウス記号で表すと以下のようになります。

\begin{align}
L_n &=[(1+\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2]-\{[(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2]+1\}+1\\
&= [(1+\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2] – [(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2]
\end{align}

これをもとに、\(L_n\)を不等式評価すると以下のようになります。

\begin{gather}
(1+\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2 -1 – (\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2 < L_n < (1+\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2 – \{(\frac{n-1}{\log_{10} 2})^2 -1 \} \\
\frac{2(n-1)}{\log_{10} 2} < L_n < 2 + \frac{2(n-1)}{\log_{10} 2}
\end{gather}

\(\lim_{n \to \infty} \frac{L_n}{N_n}\)の導出

以上をもとに、\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} \frac{L_n}{N_n}\)を導出します。

\begin{gather}
\frac{\frac{2(n-1)}{\log_{10} 2}}{\frac{2n}{(\log_{10} 2)^2} + 1 – (\frac{1}{\log_{10} 2})^2} < \frac{L_n}{N_n} < \frac{2 + \frac{2(n-1)}{\log_{10} 2}}{\frac{2n}{(\log_{10} 2)^2} – 1 – (\frac{1}{\log_{10} 2})^2}\\
\end{gather}

となります。

ここで、最左辺について、

\begin{gather}
\frac{\frac{2(n-1)}{\log_{10} 2}}{\frac{2n}{(\log_{10} 2)^2} + 1 – (\frac{1}{\log_{10} 2})^2} &= \frac{\frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}×\frac{2(n-1)}{\log_{10} 2}}{1+\frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}-\frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}×(\frac{1}{\log_{10} 2})^2}\\
&= \frac{(1-\frac{1}{n})\log_{10} 2}{1+\frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}-\frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}×(\frac{1}{\log_{10} 2})^2}
\end{gather}

となることから、\(n \to \infty\)では\(\log_{10} 2\)に収束します。

続いて最右辺について、

\begin{gather}
\frac{2 + \frac{2(n-1)}{\log_{10} 2}}{\frac{2n}{(\log_{10} 2)^2} – 1 – (\frac{1}{\log_{10} 2})^2}
&= \frac{\frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}×2 + \frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}×\frac{2(n-1)}{\log_{10} 2}}{1 – \frac{(\log_{10} 2)^2}{2n} – \frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}×(\frac{1}{\log_{10} 2})^2} \\
&= \frac{\frac{(\log_{10} 2)^2}{n} + (1-\frac{1}{n})\log_{10} 2}{1 – \frac{(\log_{10} 2)^2}{2n} – \frac{(\log_{10} 2)^2}{2n}×(\frac{1}{\log_{10} 2})^2}
\end{gather}

となり、こちらも\(n \to \infty\)では\(\log_{10} 2\)に収束します。

以上から、はさみうちの原理より、\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} \frac{L_n}{N_n}=\log_{10} 2\)と求まります。

まとめ:[高校数学]「極限」で意識することは?2024年度京都大学数学大問6を解説!

いかがでしたか。

今回は2024年京都大学理系数学の大問6を解説しました。

「極限」に関する問題を解く際のポイントとして、

「極限」に関する問題では、以下の2つのアプローチを意識する

  • 直接的に極限値を求める・・・
    \(\displaystyle \lim_{x\to 0} \frac{\sin x}{x}\)や、\(\displaystyle e=\lim_{n\to 0} (1+n)^{\frac{1}{n}}\)そして微分の定義を活用
  • 間接的に極限値を求める・・・不等式をつくり、はさみうちの原理に持ち込む

を意識しましょう。

今回の問題では、数学Ⅱの対数で学習した内容および、ガウス記号に関する問題を解いたことがあれば完答することも難しくなかったのではないでしょうか。

入試に向けて問題演習を行ってゆく際は、ぜひ上記のポイントを活用してみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

また、ぜひ以下の記事もご覧ください。

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