みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
「遺伝」に関してこれまで解説してきましたが、今回のテーマは「独立の法則」です。
公立高校では出題されることはないですが、難関校の理科では「2形質の遺伝」がたびたび出題されます。
その背景には「独立の法則」があるため、この法則をしっかりと理解しておく必要があります。
そこで、今回は「独立の法則」の解説を行っていきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
難関校を目指す方におすすめの問題集
難関校を目指す方におすすめの問題集をご紹介します。
公立高校に向けた対策を行いつつ、難関校の対策を行う場合には「ハイクラス徹底問題集」がおすすめです。
定期テストレベルから、公立高校レベル、難関校レベルと順にステップアップできるので、日々の学習で応用力まで養いたい方にはおすすめです。
基礎が固まり、難関校に向けて問題演習を行う場合には「最高水準問題集」がおすすめです。
全国の難関私立国立高校の入試から厳選して演習価値の高い問題が収録されており、
よく出る問題には「頻出」マークがついているなど入試で出やすい問題から対策できるなど、入試本番に向けて効率的に最高レベルの学力を養うことができます。
「独立の法則」とは何か?
「独立の法則」とは以下のことをいいます。
例えば、エンドウの種子の形状に関して、
- 「丸」が顕性(優性)で、「しわ」が潜性(劣性)
- 前者を支配する遺伝子は「A」, 後者を支配する遺伝子は「a」
であることが分かっています。
また、エンドウの種子の色に関して、
- 「黄色」が顕性(優性)で、「緑色」が潜性(劣性)
- 前者を支配する遺伝子は「B」, 後者を支配する遺伝子を「b」
であるとします。
いま、「AaBb」の遺伝子をもつエンドウの自家受粉を考えます。
そうすると、下の図のように「独立の法則」より、4種類の配偶子ができることになります。
つまり、各配偶子には各対立形質を支配する遺伝子が1つずつ含まれるということです。
今回も「遺伝」の計算問題の解法原則に従い、各配偶子の組み合わせを表にすると以下のようになります。
AB | Ab | aB | ab | |
AB | AABB | AABb | AaBB | AaBb |
Ab | AABb | AAbb | AaBb | Aabb |
aB | AaBB | AaBb | aaBB | aaBb |
ab | AaBb | Aabb | aaBb | aabb |
よって、
AABB:AABb:AAbb:AaBB:AaBb:Aabb:aaBB:aaBb:aabb
=1:2:1:2:4:2:1:2:1
となるので、
「丸・黄色」:「丸・緑色」:「しわ・黄色」:「しわ・緑色」
=9:3:3:1
となることがわかります。
以上より、複数の対立形質に関する遺伝の問題では、
ことが大切です。
練習問題にチャレンジしてみよう
上記を踏まえ、以下の練習問題にチャレンジしてみましょう。
これが解ければ、遺伝に関してはもう無敵かと思います。
まずは考えてみてください!
練習問題の解説
問1の解説
「花の色が赤色で、子葉が黄色」の純系の持つ遺伝子の組み合わせは「RRYY」で、
「花の色が白色で、子葉が緑色」の純系の持つ遺伝子の組み合わせは「rryy」です。
これらをかけ合わせれば、「RrYy」となります。
「RrYy」の花の色がピンクになったということは、「Rr」の組み合わせがピンク色の花びらを発現させることになります。
よって、
顕性(優性)である遺伝子は潜性(劣性)である遺伝子の働きを完全に阻害することができないため、「RR」を持つ個体では花の色が赤色に、「Rr」を持つ個体では花の色がピンク色になる。
とまとめられるでしょう。
問2の解説
「Rr」が「ピンク色」になることに注意し、各配偶子の組み合わせを表にすると以下のようになります。
RY | Ry | rY | ry | |
RY | RRYY | RRYy | RrYY | RrYy |
Ry | RRYy | RRyy | RrYy | Rryy |
rY | RrYY | RrYy | rrYY | rrYy |
ry | RrYy | Rryy | rrYy | rryy |
以上より、
(花が赤色・子葉が黄色):(花が赤色・子葉が緑色):(花がピンク色・子葉が黄色):
(花がピンク色・子葉が緑色):(花が白色・子葉が黄色):(花が白色・子葉が緑色)
= 3 : 1 : 6 : 2 : 3 : 1
となります。
問3の解説
「rrYy」からは rY : ry = 1 : 1 の比率で配偶子が生じるため、
「rY」をもつ花粉の個数すなわち\(x\)に入る数は、
$$4000×\frac{1}{2}=2000$$
となります。
「ry」をもつ花粉の個数に関しては、「rryy」もその遺伝子のペアをもつ配偶子を作るため\(y\)に入る数は、
$$3000+4000×\frac{1}{2}=5000$$
となります。
問4の解説
問3を踏まえると、「RY」「rY」「ry」それぞれの遺伝子のペアをもつ花粉の割合は以下のようになります。
遺伝子のペア | 割合 |
RY | $$\frac{2000}{2000+2000+5000}=\frac{2}{9}$$ |
rY | $$\frac{2000}{2000+2000+5000}=\frac{2}{9}$$ |
ry | $$\frac{5000}{2000+2000+5000}=\frac{5}{9}$$ |
各配偶子の組み合わせと、それぞれのマスにおける確率を図示すると以下のようになります。
RY | rY | ry | |
RY | RRYY | RrYY | RrYy |
rY | RrYY | rrYY | rrYy |
ry | RrYy | rrYy | rryy |
RY | rY | ry | |
RY | $$\frac{2}{9}×\frac{2}{9}$$ | $$\frac{2}{9}×\frac{2}{9}$$ | $$\frac{2}{9}×\frac{5}{9}$$ |
rY | $$\frac{2}{9}×\frac{2}{9}$$ | $$\frac{2}{9}×\frac{2}{9}$$ | $$\frac{2}{9}×\frac{5}{9}$$ |
ry | $$\frac{5}{9}×\frac{2}{9}$$ | $$\frac{5}{9}×\frac{2}{9}$$ | $$\frac{5}{9}×\frac{5}{9}$$ |
よって、答えは以下のようになります。
(花が赤色・子葉が黄色):(花がピンク色・子葉が黄色):
(花がピンク色・子葉が緑色):(花が白色・子葉が緑色)
= 4 : (4+10+4+10) : (4+10+10) : 25
= 4 : 28 : 24 : 25
問5の解説
「RrYy」の作る花粉の個数を4,000万個であるとすると、
「RRYY」と「Rryy」それぞれの作る花粉の個数は5,000万個, 6,000万個となります。
「RRYY」からは「RY」をも花粉のみができ、
「RrYy」からは RY : Ry : rY : ry = 1 : 1 : 1 : 1の比率で花粉ができ、
「Rryy」からはRy : ry = 1 : 1の比率で花粉ができます。
これらを踏まえ、「RY」「Ry」「rY」「ry」それぞれの遺伝子のペアをもつ花粉の個数の割合は以下のようになります。
遺伝子のペア | 花粉の個数(万個) | 割合 |
RY | $$4000×\frac{1}{4}+5000=6000$$ | $$\frac{6000}{6000+4000+1000+4000}=\frac{6}{15}$$ |
Ry | $$4000×\frac{1}{4}+6000×\frac{1}{2}=4000$$ | $$\frac{4000}{6000+4000+1000+4000}=\frac{4}{15}$$ |
rY | $$4000×\frac{1}{4}=1000$$ | $$\frac{1000}{6000+4000+1000+4000}=\frac{1}{15}$$ |
ry | $$4000×\frac{1}{4}+6000×\frac{1}{2}=4000$$ | $$\frac{4000}{6000+4000+1000+4000}=\frac{4}{15}$$ |
ここで求めた比率は、卵細胞に関しても全く同じになります。
各配偶子の組み合わせと、それぞれのマスにおける確率を図示すると以下のようになります。
RY | Ry | rY | ry | |
RY | RRYY | RRYy | RrYY | RrYy |
Ry | RRYy | RRyy | RrYy | Rryy |
rY | RrYY | RrYy | rrYY | rrYy |
ry | RrYy | Rryy | rrYy | rryy |
RY | Ry | rY | ry | |
RY | $$\frac{6}{15}×\frac{6}{15}$$ | $$\frac{6}{15}×\frac{4}{15}$$ | $$\frac{6}{15}×\frac{1}{15}$$ | $$\frac{6}{15}×\frac{4}{15}$$ |
Ry | $$\frac{4}{15}×\frac{6}{15}$$ | $$\frac{4}{15}×\frac{4}{15}$$ | $$\frac{4}{15}×\frac{1}{15}$$ | $$\frac{4}{15}×\frac{4}{15}$$ |
rY | $$\frac{1}{15}×\frac{6}{15}$$ | $$\frac{1}{15}×\frac{4}{15}$$ | $$\frac{1}{15}×\frac{1}{15}$$ | $$\frac{1}{15}×\frac{4}{15}$$ |
ry | $$\frac{4}{15}×\frac{6}{15}$$ | $$\frac{4}{15}×\frac{4}{15}$$ | $$\frac{4}{15}×\frac{1}{15}$$ | $$\frac{4}{15}×\frac{4}{15}$$ |
よって、答えは以下のようになります。
(花が赤色・子葉が黄色):(花が赤色・子葉が緑色):(花がピンク色・子葉が黄色):
(花がピンク色・子葉が緑色):(花が白色・子葉が黄色):(花が白色・子葉が緑色)
= (36+24+24) : 16 : (6+24+4+6+24+4) : (16+16) : (1+4+4) : 16
= 84 : 16 : 68 : 32 : 9 : 16
まとめ:[中学理科]「遺伝」の難問もこれで解ける!「独立の法則」を解説!
いかがでしたか。
今回の記事では、「独立の法則」について解説しました。
複数の対立形質が出てくる問題では、
ことが大切です。
今回扱った問題は、灘・渋幕で出題された問題を組み合わせて作成したものなので、かなり難度が高かったかと思います。
これが解ければ、遺伝の問題はどのようなものが出されても対応できるかと思いますので、繰り返し解くようにしましょう。
最後までご一読いただきありがとうございました。
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
コメント