みなさんこんにちは、Yutaです。
今回は、2024年度京都大学理系数学大問4を解説します。
数列に関する問題ですが、ぱっと見解けそうな気がしても、なかなか解けなかった受験生も多いのではないでしょうか。
数学の問題で見通しが立たないことは往々にしてあると思います。
そのような場合はどのようにして方針を探ってゆけばよいのでしょうか。
以下で詳しく解説していきます。
また、以下の記事もぜひ御覧ください。
今回解説する問題の概要
今回解説する問題は以下の通りです。
与えられた自然数\(a_0\)に対して、自然数からなる数列\(a_0,a_1,a_2,…\)を次のように定める。
\[
a_{n+1}=
\begin{cases}
\frac{a_n}{2} & (a_nが偶数のとき)\\
\frac{3a_n+1}{2} & (a_nが奇数のとき)
\end{cases}
\]
次の問いに答えよ。
(1)\(a_0,a_1,a_2,a_3\)がすべて奇数であるような最小の自然数\(a_0\)を求めよ。
(2)\(a_0,a_1,…,a_{10}\)がすべて奇数であるような最小の自然数\(a_0\)を求めよ。
まずは「実験」からはじめよう
どうでしょうか。
なかなか、見通しの立たない骨の折れる問題かと思います。
このような問題ではまずどこから手をつけるべきなのでしょうか。
ことが大切です。
実際に今回の場合では\(a_0\)にいろいろな値を代入して、規則性などを見つけていきます。
実験から分かることとは?
それでは\(a_0\)に具体的な値を代入して考えていきましょう。
\(a_0=3\)のときをまず考えます。
そうすると、\(\displaystyle a_1=\frac{3a_0+1}{2}=5 , a_3=\frac{3a_1+1}{2}=8\)となってゆくことが分かります。
次に、\(a_0=5\)のときを考えます。
そうすると、\(\displaystyle a_1=\frac{3a_0+1}{2}=8\)となってゆくことが分かります。
続いて、\(a_0=7\)のときを考えます。
そうすると、\(\displaystyle a_1=\frac{3a_0+1}{2}=11,a_2=\frac{3a_1+1}{2}=17,a_3=\frac{3a_2+1}{2}=26\)となります。
とりあえず具体的な数値を代入していきましたが、
\(a_0\)が奇数であるとき、数列\(\{a_n\}\)ではしばらくは奇数が連続して現れる
ことが分かります。
以下ではこれが正しいことを証明し、(1)と(2)を考えてゆくことにしましょう。
仮説が正しいことを証明する
この証明では、\(a_0\)をどのように置くかが非常に重要です。
今回の証明では、\(a_0=2^N \cdot m -1(Nは正の整数, mは正の奇数)\)と置いたほうが証明しやすくなります。
数列\(\{a_n\}\)でしばらくの間連続して奇数が現れるということは、\(n\)がある値になるまで\(\displaystyle a_{n+1}=\frac{3a_n+1}{2}\)が成り立つことになります。
漸化式\(\displaystyle a_{n+1}=\frac{3a_n+1}{2}\)を解くと、
\(\displaystyle a_n=(\frac{3}{2})^{n}(a_0+1)-1=2^{N-n}\cdot 3^{n}m-1\)となります。
そのため、\( a_n=2^{N-n} \cdot 3^nm -1(0 \leq n \leq N)\)…(※)と表されることが推測できます。
これがいえれば、先ほど提示した仮説が証明できたことになります。
ですので、数学的帰納法を用いて(※)を証明していきます。
(証明)
\(n=0\)のとき、明らかに(※)は成り立つ。
\(n=k(k=0,1,2,…,N-1)\)のとき、(※)の成立を仮定する。
\(n=k+1\)のとき、\( a_{k+1}=\displaystyle \frac{3a_k+1}{2}=2^{N-(k+1)}\cdot 3^{k+1}m-1\)となって、(※)は成立する。
以上より、\(0 \leq n \leq N\)において、\( a_n=2^{N-n} \cdot 3^nm -1\)である。
(※)が正しいため、\(a_1,a_2,…a_{N-1}\)は奇数であり、\(a_N=3^nm -1\)は偶数となることが分かります。
ここまでが分かれば(1)と(2)は瞬殺できます。
(1)・(2)の解答
(※)より、\(a_3=2^{N-3}\cdot 3^3m-1, a_{10}=2^{N-10}\cdot3^{10}m-1\)となります。
(1)について、\(N \geq 4\)であれば\(a_3\)は奇数となります。
このとき、\(a_0=2^4\cdot m-1\geq 2^4\cdot 1-1=15\)となり、\(a_0\)の最小値は\(15\)です。
(2)について、\(N \geq 11\)であれば\(a_{10}\)は奇数となります。
このとき、\(a_{10}=2^{11}\cdot m-1\geq 2^{11}\cdot 1-1=2047\)となり、\(a_0\)の最小値は\(2047\)です。
まとめ:[高校数学]数列のやや難問!2024年度京都大学理系数学大問4を解説!
いかがでしたか。
今回は2024年度京都大学理系数学大問4を解説しました。
大学入試ではぱっと見で見通しの立たないような問題は多くあります。
そういうときこそ、具体的な数値を代入して規則性を見出してゆき、見通しを立ててゆくとよいです。
問題を解くときは、常にそのようなことを意識して取り組んでみましょう。
引き続き、入試問題の解説などを行ってゆくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
また、以下の記事もぜひ御覧ください。
コメント