みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回のテーマは、三角形の「内心・外心・重心」についてです。
難関校ではたびたびこれらを背景とした問題が出題されます。
しかし、知識として持っておけばスムーズに解ける問題も多いです。
そこで今回は、これらの解説を行っていきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
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「解法のエッセンス」では平面図形で学習する内容をどう実際の問題に活用するかに重点をおいて執筆されています。
いきなり問題集に取り組む前に、これらを通して問題を解く際の方法論を身につけるとよいでしょう。
難関校を目指す方や平面図形を得意になりたい方にはおすすめです。
三角形の「内心」とは?
まず、三角形の「内心」について解説します。
「内心」が角の二等分線の交点と一致する理由
「内心」がそれぞれの角の二等分線の交点となる理由を説明します。
内心IからAB,BC,CAに下ろした垂線の足をそれぞれH,J,Kとします。
さて、△BHIと△BJIを考えます。
∠BHI=∠BJI=90°であり、HI=JIで、辺BIを共有しているので、
直角三角形における斜辺と他の1辺それぞれ等しいので、両者は合同です。
よって、∠IBH=∠IBJより、BIは∠Bの二等分線となります。
同様に△ICJと△ICK、および、△IAKと△IAHは合同となるため。
CIが∠Cの、AIが∠Aの二等分線となります。
内接円の半径の導出方法
最後の式の導出に関して、説明を補足します。
\(S=△AIB+△BIC+△CIA\)
となりますね。
△AIBにおいて、ABを底辺と考えれば、高さは内接円の半径\(r\)と一致します。
他の2つの三角形も同様に考えることができるため、
$$S=△AIB+△BIC+△CIA=\frac{r}{2}AB+\frac{r}{2}BC+\frac{r}{2}CA$$
$$r=\frac{2S}{AB+BC+CA}$$
が導かれます。
三角形の「外心」とは?
次に、三角形の「外心」について解説します。
最後の式の導出を解説します。
円周角の定理より、∠BPC=2∠BAHが成り立ちます。
また、△BPCは二等辺三角形なので、\(\displaystyle ∠BPJ=\frac{1}{2}∠BPC\)です。
以上から、∠BAH=∠BPJとなります。
ここで、△ABHと△PBJにおいて、
∠AHB=∠PJB=90°であり、∠BAH=∠BPJも踏まえると、2組の角がそれぞれ等しいので、両者は相似です。
よって、\(AB:BP=BH:BJ\)が成り立ちます。
\(BP=R, \displaystyle BJ=\frac{1}{2}BC\)となるため、
$$AB:R=BH:\frac{1}{2}BC$$
$$R=\frac{AB×BC}{2BH}$$
と求まります。
三角形の「重心」とは?
最後に三角形の「重心」を解説します。
重心が中線を2:1に分ける点となることに関して、説明を補足します。
メネラウスの定理より、
$$\frac{CB}{CN}×\frac{MA}{BM}×\frac{QN}{AQ}=1$$
$$\frac{2}{1}×\frac{1}{1}×\frac{QN}{AQ}=1$$
$$\frac{QN}{AQ}=\frac{1}{2}$$
となり、QがANを2:1に分けることが分かります。
BL, CMでも同様の計算によって、Qが各中線を2:1に分けることが分かります。
入試問題にチャレンジ!
ここでこれまでの理解度の確認ということで、入試問題にチャレンジしてみましょう。
今回は、2018年度立教新座高校の問題を取りあげます。
まずは自力で考えてみてください。
AB=9cm, BC=8cm, CA=7cmである△ABCにおいて、円Iは△ABCの各辺に接し、円Oは△ABCの各頂点を通る。また、円Eは半直線AB, ACおよび辺BCに接している。
(1)△ABCの面積を求めよ。
(2)円Iの半径を求めよ。
(3)円Oの半径を求めよ。
(4)円Eの半径を求めよ。
(1)の解説
点BからCAに向かって垂線をひき、その足をHとします。
△ABHで三平方の定理を用いて、\(BH^2=AB^2-AH^2=81-AH^2…①\)が成り立ちます。
△BCHで三平方の定理を用いて、\(BH^2=BC^2-CH^2=64-(7-AH)^2…②\)が成り立ちます。
①と②より、\(81-AH^2=64-(7-AH)^2\)が得られます。
よって、これを解き、\(AH=\displaystyle \frac{33}{7}\)です。
これより、
\begin{eqnarray}
BH&=&\sqrt{3^4-\frac{3^2×11^2}{7^2}}\\
&=&\frac{3}{7}\sqrt{3^2×7^2-11^2}\\
&=&\frac{3}{7}\sqrt{21^2-11^2}\\
&=&\frac{3}{7}\sqrt{(21+11)(21-11)}\\
&=&\frac{3}{7}\sqrt{2^5×2×5}\\
&=&\frac{24\sqrt{5}}{7}
\end{eqnarray}
を得ます。
よって、△ABCの面積は
$$\frac{1}{2}×CA×BH=\frac{1}{2}×7×\frac{24\sqrt{5}}{7}=12\sqrt{5}$$
となります。
BHの計算過程で、乗法公式を駆使しながら、簡単に計算できるよう工夫するとよいです。
(2)の解説
この問題は、「内心」の半径に関する公式を用いればすぐに解けます。
よって、円Iの半径は、
$$\frac{2△ABC}{AB+BC+CA}=\frac{2×12\sqrt{5}}{9+8+7}=\sqrt{5}$$
となります。
(3)の解説
この問題は、「外心」の半径に関する公式を用いればすぐに解けます。
よって、円Oの半径は、
$$\frac{AB×BC}{2BH}=\frac{9×8}{2×\frac{24\sqrt{5}}{7}}=\frac{21\sqrt{5}}{10}$$
を得ます。
(3)の解説
点Eから半直線AB, AC, 線分BCに下ろした垂線の足をそれぞれG,H,Jとします。
また、点IからABに下ろした垂線の足をFとします。
いま、円Eは半直線AB,ACに接するので、AG=AHが成り立ちます。
円Eは半直線ABおよび線分BCに接しているので、BG=BJが成り立ちます。
円Eは半直線ACおよび線分BCに接しているので、CH=CJ=BCーBJ=8-BJが成り立ちます。
以上より、\(AG=AB+BG=AB+BJ=9+BJ\),
\(AH=AC+CH=7+(8-BJ)=15-BJ\)であることを踏まえ、
\(9+BJ=15-BJ\)となるため、\(BJ=3\)を得ます。
そのため、AG=AB+BG=9+3=12となります。
E, Iはともに半直線AB,ACに接する円の中心なので、A, I, Eは一直線上に並ぶことに注意します。
ここで、点IからBC, CAに下ろした垂線の足をそれぞれK, Lとします。
点Iは△ABCそれぞれの角の二等分線の交点であるため、
BK=BF=(9-AF)および、KC=LC=(7-AF)となります。
よって、BC=BK+KC=(9-AF)+(7-AF)=16-2AF=8となるので、AF=4です。
∠IFA=∠EGA=90°であるから、FIとGEは平行となるので、AF:AG=FI:GEが成り立ちます。
以上から、
$$GE=\frac{AG×FI}{AF}=\frac{12×\sqrt{5}}{4}=3\sqrt{5}$$
を得ます。
ちなみに、円Eの中心を「傍心」と呼びます。
まとめ:[中学数学]難関校で頻出!三角形の「内心・外心・重心」を解説!
いかがでしたか。
今回は、三角形の「内心・外心・重心」について解説しました。
これらを背景とする問題は、難関校ではこぞって出題されます。
ですので、それぞれの性質をしっかりと覚えておくとよいです。
引き続き、平面図形に関する解説を行っていくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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