[中学数学]「完全順列」を背景とした面白い問題!2023年度都立西高校で出題された「規則性」の問題を解説!

[中学数学]「完全順列」を背景とした面白い問題!2023年度都立西高校で出題された「規則性」の問題を解説!中学数学

みなさんこんにちは、Yutaです。

今回は、2023年度都立西高校で出題された「規則性」の問題を解説します。

例年都立西高校では最後の大問で新傾向問題が出題されていますが、

今年の最後の大問では興味深い数学的な背景を持つ問題が出題されました。

この大問は難易度が高く、(3)までを時間内に解けた受験生はほとんどいなかったのではないかと思います。

とはいえ非常に面白い問題ですので、ぜひ難関校を目指す方はトライしてみてください。

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今回解説する問題の概要

今回は、2023年度都立西高校自校作成問題の大問4を解説します。

問題はこちらから参照できます。

(1)の解説

(1)は多くの受験生ができたものと思います。

問題文に記載されている操作を行うと、

31452413525314224135421353124521345→12345

と変化してゆくため、\(N(31452)=7\)となります。

(2)の解説

①~③の条件を順にみていきましょう。

①より、\(N(bcda)=0\)となることが分かりますから、\(b=1\)だと決まります。

②より、\(N(abcd)=0\)または\(N(cadb)=1\)となります。

しかし③より\(N(abcd)=4\)なので、\(N(cadb)=1\)です。

いま\(b=1\)ですから、\(N(cadb)=1\)となるとき、\(c=4\)でなければなりません。

上記を踏まえて、\(N(abcd)=N(a14d)=4\)となる条件を考えます。

そうすると\((a,d)=(3,2)\)または\((2,3)\)のどちらかに絞られ、\((a,d)=(3,2)\)とすれば、

3142413223143214→1234となって\(N(3142)=4\)となります。

以上から、\(a=3,b=1,c=4,d=2\)と求まります。

ここまでは何とか正解しておきたいところです。

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(3)の解説

さて、本題の(3)に入ります。

問題文を読んでいて、「全てのAに対して操作が終了したときに存在しなかった数が9個ある」というのがそもそも謎ですよね。

どうして9個だと分かるのかと疑問に思った方も多いはずです。

しかし、この問題ではこれら9個の数を特定しなければなりません

ではどのようにして特定してゆけばよいのでしょうか。

愚直にすべてのAに対して得られる数の並びを調べるという方針が思い浮かぶと思います。

しかしながら、Aは\(5!=120\)通りあるので、すべてを試験時間内に調べるのは困難です。

では、どうしたらよいのしょうか。

ここでは最終的に得られる数の並びの1つ前の数の並びに注目します。

そうすると、以下の5つのパターンが考えられます。

  • 21○○○
  • 3○1○○
  • 4○○1○
  • 5○○○1

それぞれに対して、操作を施すと以下のようになります、

2112
3113
4114
5115

この結果より、「全てのAに対して操作が終了したときに存在しなかった数」は上記の4パターンいずれにも該当しません

よって、この数は

  • 2上から2桁目に来ない
  • 3上から3桁目に来ない
  • 4上から3桁目に来ない
  • 5上から3桁目に来ない

4条件がすべてが満たされる

こととなります。

よって、これらを満たす5桁の数をすべて書き出すと以下のようになります。

  • 13254
  • 13452
  • 13524
  • 13524
  • 14253
  • 14523
  • 15234
  • 15423
  • 15432

よって、9個の数がすべて求めることができ、答えは15234となります。

ここまでを自力で導くことができれば、かなりの力がついてきているといえます。

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「完全順列」とは?

さて、この問題の背景となっている「完全順列」について解説します。

「完全順列」とは、

プレゼント交換をするときに、各人が自分の用意したプレゼントをもらわない

ようなプレゼントの交換方法のことをいう。

先ほどの(3)では、「9人でプレゼント交換するときに、各人が自分の用意したプレゼントもらわない」場合の数が9通りであるということを実は考えていたのです。

\(n\)人に対する完全順列の場合の数を\(D(n)\)と表し、\(D(n)\)のことをモンモール数と呼んだりします。

完全順列については興味深い性質が知られており、

十分に多い人数でプレゼント交換をするとき、各人が自分の用意したプレゼントを貰わない確率は約37%になります。

人数を増やせばその確率が0になりそうな気がしますが、実際はわたしたちの直観と反する形になって興味深いですよね。

完全順列は大学入試共通テストを始めとした大学入試ではたびたび出題されますが、

高校入試で出題されるのは非常に珍しいと思います。

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まとめ:[中学数学]「完全順列」を背景とした面白い問題!2023年度都立西高校で出題された「規則性」の問題を解説!

いかがでしたか。

今回は、2023年度都立西高校で出題された「規則性」の問題を解説しました。

「完全順列」を背景とした問題でしたが、非常に難しい問題でした。

しかし数学的に非常に興味深い性質を持っているので、ぜひその背景まで立ち入ることができると面白いかと思います。

高校生向けに「完全順列」の記事も執筆しようと考えているので、興味のある方はぜひこちらもチェックしてみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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