みなさんこんにちは、Yutaです。
今回は、市川高校で出題された「規則性」の問題を解説していきます。
公立高校で出題されるにはやや難しいレベルですが、問題演習には適する問題になっています。
受験への実戦力を高めるためにも、難関公立高校を志望される方も挑戦してみてください。
本記事と合わせて、以下の記事もぜひご覧ください。
全7回で「規則性」が無敵に!
公立高校入試で必ずと言ってよいほど出題される「規則性」
しかし、よく出るにも関わらず、これを対策するための書籍はあまりないのも事実です。
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今回解説する問題
1辺の長さが1の立方体を重ねて直方体を作り、そこに含まれる様々な大きさの立方体の個数を考える。
例えば、3辺の長さが2,3,2である直方体には、1辺の長さが1である立方体が12個、1辺の長さが2である立方体が2個、1辺の長さが3以上である立方体が0個であるから、そこに含まれる立方体の個数は全部で14個となる。
(1)3辺の長さが\(n\),\(n\),4の直方体に関して(\(n\)は\(4\)以上の整数)、
①1辺の長さが2である立方体の個数を\(n\)を用いて表せ。
②この直方体に含まれる様々な大きさの立方体の個数が全部で500個であるとき、\(n\)の値を求めよ。
(2)\(n\)が自然数のとき、
$$n^3+(n-1)^3+…+2^3+1^3=\{\frac{1}{2}n(n+1)\}^2$$
が成り立つ。
1辺の長さが\(n\)である立方体に含まれる様々な大きさの立方体の個数が全部で44,100となるとき、\(n\)の値を求めよ。
なかなかいかつい問題ですが、ぜひ考えてみましょう。
(1)の解説
具体的な数値で実験してみる
まずは、具体的な数値から実験をしましょう。
\(n=6\)のときをここでは考えます。
1辺の長さが1の立方体の個数は、この直方体の体積そのものですから、\(6×6×4=144\)となります。
1辺の長さが2の立方体の個数はどう求める?
次に、1辺の長さが2の立方体の個数を考えます。
これを考えるにあたり、縦・横・高さの3方向から検討します。
まずは縦・横方向から検討しましょう。
1辺の長さが2の立方体を縦方向(赤矢印)に、1ずつずらしていきます。
そうすると、以下の図のように5個の立方体がそこに含まれていることが分かります。
続いて、横方向(緑矢印)に1ずつずらしたときも、いまとまったく同じように5個の立方体がそこに含まれていることが分かります。
最後に、高さ方向に立方体を1ずつずらしてゆくとき、同様に考えて3個の立方体がそこに含まれていることが分かりますね。
以上より、\(5×5×3=75\)個の1辺の長さが2の立方体が含まれていることがいえます。
1辺の長さが3の立方体の個数はどう求める?
今回も同様にして、縦・横・高さ方向の3つから検討します。
縦方向に1ずつずらしてゆくと、以下の図のように4個の立方体が含まれていることが分かります。
横方向に動かす場合も同様に、4個の立方体が含まれることが分かります。
高さ方向では2個の立方体が含まれることになるので、合計で\(4×4×2=32\)個の立方体が含まれます。
どのような規則性が存在するか?
同様にして、1辺の長さが4の立方体の個数を考えると、\(3×3×1=9\)となることが分かります。
ここで、分かったことを表にしてみましょう。
立方体の1辺の長さ | 1 | 2 | 3 | 4 |
縦方向の個数 | 6 | 5 | 4 | 3 |
横方向の個数 | 6 | 5 | 4 | 3 |
高さ方向の個数 | 4 | 3 | 2 | 1 |
総個数 | 6×6×4 | 5×5×3 | 4×4×2 | 3×3×1 |
この表から、何か気づくことはありませんか?
立方体の1辺の長さが1増えると、各方向に含まれるその立方体の個数は1減る
ことがいえます。
これをもとに、\(n\),\(n\),4の直方体に含まれる様々な大きさの立方体の個数を検討すると、
- 1辺の長さが1の立方体の個数=\(n×n×4=4n^2\)
- 1辺の長さが2の立方体の個数=\((n-1)×(n-1)×3=3(n-1)^2\)(①の答え)
- 1辺の長さが3の立方体の個数=\((n-2)×(n-2)×2=2(n-2)^2\)
- 1辺の長さが4の立方体の個数=\((n-3)×(n-3)×3=(n-3)^2\)
となり、②については次の2次方程式を解けばよいことになります。
$$4n^2+3(n-1)^2+2(n-2)^2+(n-3)^2=500$$
\(n>0\)に注意して、\(n=8\)と求まります。
(2)の解説
(1)での考察をもとに、1辺の長さが\(n\)である立方体に含まれる様々な大きさの立方体の個数を考えると、
$$n^3+(n-1)^3+…+2^3+1^3…(*)$$
となります。
この式は左から、1辺が1・1辺が2…・1辺が\((n-1)\)・1辺が\(n\)の立方体の個数を表しています。
(*)は問題文に記載のある通り\(\displaystyle \{\frac{1}{2}n(n+1)\}^2\)と等しく、\(44,100=210^2\)となるので、
\(\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)=210\)つまり、\(n(n+1)=420\)を満たす\(n\)を求めればよいことになります。
\(n(n+1)\)は連続する2整数の積であり、\(n\)にいろいろな値を代入して考えてみると、\(n=20\)と分かります。
今回の問題は立方数の和を背景とした問題でしたが、平方数の和について以下が知られています。
$$n^2+(n-1)^2+…+2^2+1^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$
これらの導出について、今後記事にしてゆこうかと思いますのでお楽しみに。
まとめ:[中学数学]連続する立方数の和は?市川高校で出題された「規則性」の問題を解説!
いかがでしたか。
今回は市川高校で出題された「規則性」の問題を解説しました。
立方数の和を背景とした興味深い問題でした。
このような難度の高い問題に対しても、具体的な数値から実験して考えることが大切です。
今後も過去問等を解説していきますのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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