みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
これまで、「力」に関していろいろと解説してきました。
今回のテーマは、「物体の運動」の応用問題についてです。
等速直線運動や等加速度運動が混ざった運動において、移動距離を計算させる問題が度々あります。
このような問題は1つのことを理解できていれば、一瞬で解けてしまいます。
今回はそのような問題へのアプローチ法を解説していきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
「移動距離」=「面積」である
物体の「移動距離」に関しては、以下のことを覚えてしまえばどんな問題でも対応できます!
このことを用いて、以前の記事で解説した「等速直線運動」と「等加速度運動」の性質を証明していきます。
「等速直線運動」の性質の証明
「等速直線運動」では常に速さが一定ですから、この速さを\(V\)とすると、
時間が\(T\)だけ経過したときに、グラフで囲まれる部分の面積は\(VT\)となります。
これこそが移動距離になり、\(T\)は変数なので、「移動距離が時間に比例する」ことが分かります。
「等加速度運動」の性質の証明
加速度を\(a\)とします。
「等加速度運動」では常に加速度が一定ですから、、グラフで囲まれる部分の面積は\(\displaystyle \frac{1}{2}aT^2\)となります。
これこそが移動距離になり、\(T\)は変数なので、「移動距離が時間の2乗に比例する(2次関数)」ことが分かります。
久留米大附設高の入試問題を考えてみよう
これまでのおさらいとして、久留米大附設高の入試問題を考えてみましょう。
問題はこちらから参照できます。
問題Aの解説
時刻\(t\)におけるAの速さを\(v_A(t)\)、Bの速さを\(v_B(t)\)とおきます。
Aは「等加速度運動」を行うため、\(v_A(t)=10\)[m/s]となります。
一方、Bは\(t=60\)までは「等加速度運動」を行い、それ以降は「等速直線運動」を行うため、
\begin{gather}
v_B(t)
=
\begin{cases}
\dfrac{15}{60}t = \dfrac{1}{4}t[m/s] & ( 0 ≦ t ≦ 60 ) \\
15[m/s] & ( 60 ≦ t )
\end{cases}
\end{gather}
となります。
よって、時刻\(t\)におけるAとBの位置をそれぞれ\(x_A(t),x_B(t)\)とすると、図2のグラフで囲まれる部分の面積を考えれば、\(x_A(t)=10t\)[m]となります。
\(x_B(t)\)について、\(t≧60\)では「下底=\(t\), 上底=\((t-60)\), 高さ=\(15\)の台形」の面積を考えれば、
\begin{gather}
x_B(t)
=
\begin{cases}
\dfrac{1}{2} × \dfrac{1}{4}t × t = \dfrac{1}{8}t^2[m] & ( 0 ≦ t ≦ 60 ) \\
\dfrac{1}{2} × \{t + (t-60) \}× 15 = 15(t-30)[m]& ( 60 ≦ t )
\end{cases}
\end{gather}
となります。
これらを踏まえ、問1から問4の解説をしていきます。
問1の解説
\(x_A(t),x_B(t)\)の各式に\(t=20\)に代入して、
\begin{eqnarray}
x_A(t)&=&10×20=200[m]\\
x_B(t)&=& \frac{1}{8}×20×20=50[m]
\end{eqnarray}
を得ます。
問2の解説
\(x_B(t)\)において、\(t=60\)を境に式が変わるため、\(0<t≦60, 60≦t\)の2つに分けて考えます。
\(0<t≦60\)の下で、\(x_A(t)=x_B(t)\)すなわち、2次方程式
$$10t=\frac{1}{8}t^2$$
を解くと、\(t=0,80\)となりますが、いずれも不適です。
続いて、\(60≦t\)の下で、\(x_A(t)=x_B(t)\)すなわち、1次方程式
$$10t=15(t-30)$$
を解くと、\(t=90\)[s]となって\(60≦t\)を満たすので、これが答えとなります。
問3の解説
この問題に関連し、「相対速度」は次のように定義されます。
これを踏まえればBから見たAの速さは、\(v_A(t)-v_B(t)\)と表されるため、
\begin{gather}
v_A(t)-v_B(t)
=
\begin{cases}
10-\dfrac{1}{4}t[m/s] & ( 0 ≦ t ≦ 60 ) \\
10-15=-5[m/s]& ( 60 ≦ t )
\end{cases}
\end{gather}
これを踏まえ、グラフを描くと以下のようになります。
問4の解説
先ほど「相対速度」という概念を導入しましたが、これの意味するところとして、この問題では
「Bから見たAの速さ」=「Bが静止していると考えたときのAの速さ」
と解釈できます。
その解釈の下では問3の結果より、Bから見れば、\(0≦t≦40\)ではAが遠ざかって見えます。
一方で、Bから見れば、\(40≦t\)ではAが近づいてくるように見えます。
よって、AとBが最も遠ざかるとき、\(t=40\)となりますから問3のグラフで囲まれる部分の面積を考えて
$$\frac{1}{2}×40×10=200[m]$$
と答えが求まります。
問題Bの解説
問5の解説
Cは\(t=100\)のときに初めて速さが0となるため、\(0≦t≦100\)の範囲でグラフが囲む部分の面積を考え、
$$\frac{1}{2}×\{100+(80-20)\}×15=1200[m]$$
と答えが求まります。
問6の解説
Dは1,200[m]を120[s]で進むため、その速さは1200÷120=10[m/s]となります。
問7~問9の解説
図4のグラフで囲まれる部分の面積を考えて時刻\(t\)におけるCの位置および、Dの位置をグラフにすると以下のようになります。
なお、\(100≦t≦120\)ではCは静止しているので、位置が変わらないことに注意しましょう。
このグラフから、両者が\(t=30\)ではじめて交わることが分かるので、問7の答えは\(t=30\)[s]です。
2回目に両者が交わるのは\(t=120\)[s]であり(問8の答え)、3回目に両者が交わるのは\(t=180\)[s](問9の答え)だと分かります。
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まとめ:[中学理科]理解すべきことは1つだけ!「物体の運動」の応用問題の解き方のコツを解説!
いかがでしたか。
今回の記事では、「物体の運動」の応用問題について解説しました。
「物体が移動した距離」=「グラフで囲まれる部分の面積」であることを覚えてしまえば、今回ご紹介した入試問題でも立ち向かうことができます。
今後も引き続きエネルギーなどの解説を行っていきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
最後までご一読いただきありがとうございました。
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