こんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、2018年度の立教新座高校で出題された「確率」の問題を解説していきます。
今回解説する問題は新傾向で、なかなか一筋縄ではいかないものでした。
とはいえ、未知の問題でもやるべきことは決まっていますから、それを駆使しながら問題を考えていきましょう。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
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問題の概要
今回解説する問題は以下の通りです。
以下の図のように、縦横すべての道路が等間隔に整備された街がある。
太郎君はA地点からB地点まで、次郎君はP地点からQ地点まで、それぞれ最短経路で移動する。
太郎君と次郎君が同時に出発し、同じ速さで移動するとき、次の確率を求めよ。
ただし、縦方向の道と横方向の道のどちらかを選べる地点においては、どちらを選ぶことも同様に確からしいものとする。
①太郎君と次郎君が途中で直線AP上ですれ違う確率
②太郎君と次郎君が途中ですれ違う確率
①の解説
数学ではどのような未知の問題が来たとしても、まずは実験をしてみることが大切です。
簡単のために、各格子の間を毎秒1で移動するとします。
このとき、A’に到達するまでに、太郎君は1秒、次郎君は4秒かかるのでここですれ違うことはあり得ませんね。
P’に関しても同様に、ここで両者がすれ違うことはあり得ません。
A”に関しては、太郎君はここに達するまで2秒、次郎君は3秒かかるのでここですれ違うことはありません。
P”に関しても同様です。
では、2人がすれ違うとしたらどこでしょうか。
両者がすれ違うとき、両者の進んだ距離が等しいので、A”とP”の中間地点ですれ違います。
これが実現するには、
太郎君がA”を通過後下向きに移動し、次郎君がP”を通過後に上向きに移動する
必要があります。
太郎君がA”を通過後下向きに移動する確率は、「Aで下向き、A’で下向き、A”で下向き」と意思決定を行えばよいので、
$$\frac{1}{2}×\frac{1}{2}×\frac{1}{2}=\frac{1}{8}$$
となります。
次郎君がP”を通過後に上向きに移動する確率は、同様にして\(\displaystyle \frac{1}{8}\)と計算できます。
以上より、求める確率は\(\displaystyle \frac{1}{8}×\frac{1}{8}=\frac{1}{64}\)と求まります。
なお、太郎君の意思決定と次郎君の意思決定は互いに影響を及ぼさないので、ここでは掛け算をすることに注意します。
②の解説
太郎君・次郎君がすれ違うとき、直線AP上・直線Ⅰ上・直線Ⅱ上・直線QB上のどこかであることがいえます。
各直線上ですれ違うとき、①と同様に考えて、その地点は各直線の中点となることが分かります。
ですので、各直線の中点ですれ違う確率を順に求め、それらを足し合わせれば答えとなりますね。
なお、各直線の中点をそれぞれM,N,Kとします。
直線Ⅰ上ですれ違う確率
太郎さんがMのすぐ真上にある格子に至るまで、「右に1回・下に2回」進めばよいことが分かります。
結局のところ、その行き方は「3回の意思決定のうち、右に進むのを1回選択する」場合の数に等しいです。
また、各格子では等確率に進む方向を決定するため、太郎さんがそこに行く確率は
$${}_3 C_1×(\frac{1}{2})^3=\frac{3}{8}$$
となります。
また、Mのすぐ真上の格子からMを通るように意思決定を行うとき、下向きに進む意思決定を行えばよいことが分かります。
よって、太郎さんがMを通過する確率は、\(\displaystyle \frac{3}{8}×\frac{1}{2}=\frac{3}{16}\)となります。
同様にして、次郎君がMを通過する確率は、\(\displaystyle \frac{3}{16}\)となります。
以上から、直線Ⅰ上で両者がすれ違う確率は、\(\displaystyle \frac{3}{16}×\frac{3}{16}=\frac{9}{256}\)と求まります。
直線Ⅱ上ですれ違う確率
太郎さんがNのすぐ真上にある格子に至るまで、「右に2回・下に2回」進めばよいことが分かります。
結局のところ、その行き方は「4回の意思決定のうち、右に進むのを2回選択する」場合の数に等しいです。
また、各格子では等確率に進む方向を決定するため、太郎さんがそこに行く確率は
$${}_4 C_2×(\frac{1}{2})^4=\frac{3}{8}$$
となります。
また、Nのすぐ真上の格子からNを通るように意思決定を行うとき、下向きに進む意思決定を行えばよいことが分かります。
よって、太郎さんがNを通過する確率は、\(\displaystyle \frac{3}{8}×\frac{1}{2}=\frac{3}{16}\)となります。
同様にして、次郎君がNを通過する確率は、\(\displaystyle \frac{3}{16}\)となります。
以上から、直線Ⅰ上で両者がすれ違う確率は、\(\displaystyle \frac{3}{16}×\frac{3}{16}=\frac{9}{256}\)と求まります。
直線QR上ですれ違う確率
最後に直線QR上ですれ違う確率を求めます。
太郎君が点Kを通過する確率はどのようにして求めればよいのでしょうか。
太郎君がAからBに行くとき、必ず直線ABの中点・点M・点N・点Kのいずれかを通過します。
ですので、点Kを通過する確率は、余事象を考えれば、
$$1-\frac{1}{8}-\frac{3}{16}-\frac{3}{16}=\frac{1}{2}$$
となります。
同様にして、次郎君が点Kを通過する確率も\(\displaystyle \frac{1}{2}\)となります。
よって、両者がすれ違う確率は、\(\displaystyle \frac{1}{2}×\frac{1}{2}=\frac{1}{4}\)と求まります。
以上から、答えは、
$$\frac{1}{64}+\frac{9}{256}+\frac{9}{256}+\frac{1}{4}=\frac{43}{128}$$
となります。
まとめ:[中学数学]実験から傾向を見破る!2018立教新座高校「確率」の問題を解説!
いかがでしたか。
今回は、2018年度の立教新座高校で出題された「確率」の問題を解説しました。
最短距離でマス目を進むときの場合の数を求める問題はよくありますが、それを背景としてすれ違う確率を求めさせる問題は珍しいです。
とはいっても、実験を行いどこで両者がすれ違う可能性があるかを考察してゆくことが求められておりました。
未知の問題が出てきたら、まずは実験から始めることが大切です。
引き続き、過去問の解説を行っていきますのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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