みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、「平行四辺形の証明問題」の解き方を解説していきます。
三角形の合同・相似のみでなく、平行四辺形に関する証明問題も苦手とする方が多いかと思います。
平行四辺形に関する証明では、三角形の合同・相似のときよりも勘案すべきことが多いのは事実です。
とはいえ、これから解説することを実践し、演習してもらえれば様々な問題に対応できるようになるかと思います。
それでは、早速解説していきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
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「平行四辺形の証明問題」の解き方
それでは、「平行四辺形の証明問題」の解き方について解説していきます。
その証明にあたっては、以下の5つを必ず覚えてください。
5.が特殊なので、これも忘れないようにしましょう。
これを踏まえて、「平行四辺形の証明問題」の解き方を見ていきましょう。
結局のところ、平行四辺形の証明問題においても「逆算思考」と「積み上げ思考」の行き来をすることが大切ということです。
平行四辺形の厄介なところはその成立条件が5つあり、それらのうちどれを適用すべきかを試行錯誤しなければいけないところにあります。
とはいえ、学習する段階ではそのような思考錯誤を経て問題を解くための糸口を探ってゆくことが大切です。
以下では実際の問題を用いて、この解き方を実践してみたいと思います。
例題演習1
まず以下の問題に挑戦してみましょう。
四角形ABCDは平行四辺形である。
その対角線BDに点A,Cから垂線を下ろし、それぞれの足をP,Qとする。
このとき、四角形APCQが平行四辺形になることを示せ。
図に情報を整理し、方針を立てる
図に情報を整理していきます。
∠APB=∠APD=∠BCQ=∠CQD=90°より、錯角が等しくなるので、APとQCは平行になります。
そうするとこの時点で、
AP=CQを証明できれば、平行四辺形の成立条件「向かい合う1組の辺が平行で、長さが等しい」
が適用できることに気づきます。
ですので、AP=CQを示す方法について考えます。
辺の長さが等しいことを示すには三角形の合同を示すのが基本なので、ここでは△ABP≡△CDQを示すことでAP=CQを導きます。
四角形ABCDは平行四辺形ですから、向かい合う辺は等しいです。
そのため、AB=DCとなります。
また、ABとDCは平行ゆえ錯角は等しいので、∠ABP=∠CDQが成り立ちます。
そうすると、「直角三角形の斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」ので、△ABP≡△CDQといえますね。
よってAP=CQが分かり、冒頭の考察よりAPとQCが平行なので、
「向かい合う1組の辺が平行で、長さが等しい」ゆえ四角形APCQは平行四辺形であるといえます。
これらを証明にまとめていきます。
証明の解答例
今回の問題では、
- △ABP≡△CDQゆえ、AP=CQ
- APとCQであることを導き、1.と合わせて、「1組の辺がそれぞれ平行」だから四角形APCQは平行四辺形である
という順番で証明を書くとやりやすいです。
以下、証明の解答例です。
(証明)
△ABPと△CDQにおいて、
仮定より、∠APB=∠APD=∠BCQ=∠CQD=90°…①
四角形ABCDは平行四辺形ゆえ、
ABとDCは平行なので、∠ABP=∠CDQ…②
向かい合う辺の長さは等しいので、AB=DC…③
①~③より、直角三角形の斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しいので、△ABP≡△CDQ
よって、AP=CQ…④
また、①より錯角が等しいので、APとQCは平行である…⑤
④・⑤より、1組の向かい合う辺が平行で、長さが等しいので、四角形APCQは平行四辺形
(Q.E.D.)
例題演習2
続いて、次の問題に挑戦してみましょう。
以下の図のように、平行四辺形ABCDの各辺上に各点E,F,G,Hをとる。
四角形EFGHの対角線の交点をIとする。
点Iが平行四辺形ABCDの交点と一致するとき、四角形EFGHが平行四辺形であることを示せ。
(2021・都立西)
図に情報を整理し、方針を立てる
いま、四角形EFGHの対角線の交点と、平行四辺形ABCDの交点が一致することが分かっています。
そうすると、「対角線の交点がそれぞれの中点で交わる」という条件を適用すれば題意を示すことができるのではないかと発想できるかと思います。
いったんその方針で、考えてみたいと思います。
そうすると、示すべきことはIE=IGおよびIH=IFですから、
これらを導くには△AIE≡△CIGおよび△AIH≡△CIFを証明できればよいでしょう。
そうすると、平行四辺形ABCDの対角線に関して、AI=IGが分かります。
平行線の錯角を考えれば、∠IAE=∠ICGおよび∠IAH=∠ICFが分かります。
対頂角より、∠AIE=∠CIGおよび∠AIH=∠CIFも成り立ちます。
以上から、「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」のでそれぞれの三角形の組が合同だといえます。
これらを証明にまとめていきます。
証明の解答例
以下、証明の解答例です。
今回の場合は冒頭に四角形ABCDが平行四辺形であることからいえることを述べ、
その後にそれぞれの三角形のペアの合同を示す流れで記述するとよいかと思います。
(証明)
四角形ABCDは平行四辺形より、
対角線はそれぞれの中点で交わるので、AI=CI…①
ABとDCは平行なので、∠IAE=∠CIG…②
ADとBCは平行なので、∠IAH=∠ICF…③
さて、△AIEと△CIGにおいて、
対頂角は等しいので、∠AIE=∠CIG…④
①・②・④より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、△AIE≡△CIG
よって、IE=IG…⑤
次に、△AIHと△CIFにおいて、
対頂角は等しいので、∠AIH=∠CIF…⑥
①・③・⑥より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、△AIH≡△CIF
よって、IH=IF…⑦
⑤・⑦より、対角線がそれぞれの中点で交わるので、四角形EFGHは平行四辺形
(Q.E.D.)
まとめ:[中学数学]どんな問題でも解ける!「平行四辺形の証明問題」の解き方を解説!
いかがでしたか。
今回は、「平行四辺形の証明問題」の解き方を解説しました。
繰り返しになりますが、以下の平行四辺形の成立条件を暗記し、
その上で、問題を解く流れを身に着けてもらいたいと思います。
解き方を一通り解説しましたが、さまざまな問題に挑戦して試行錯誤しながら解答を導く練習は必要かと思います。
今回解説したことを意識しながら、問題演習に励んでもらえれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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