みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
力のつりあい、作用・反作用、浮力に関して、以前の記事で解説しました。
今回のテーマは、難関校でたびたび出題される「大気圧と水圧」についてです。
この問題が出題されると難問化する傾向があるので、しっかりと解き方のコツをおさえていきたいところです。
早速、解説に入っていきましょう。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
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意識すべきことは2つ!
この問題において、2つのことを意識することが大切です。
例題として、次の問題を考えてみましょう。
(問)水銀で満たされた水槽内に試験管を沈め、その中を水銀で満たす。その後、試験管を直立させたところ、試験管の上部は真空となった。このとき、水銀柱の高さは何cmとなるかを小数第1位まで求めよ。
なお、大気圧は10[N/cm2], 水銀の密度は13.6[g/cm3], 100[g]の物体に働く重力の大きさを1[N]とする。
水銀柱に注目すると、上部が真空であるため、水銀柱の重力と水槽内の水銀がそれを押す力のみが働きます。
水銀柱の重力の大きさは、試験管の断面積を\(S\)[cm2]とすると、
\(13.6×Sh÷100=0.136Sh\)[N]です。
また、同じ液面では常に圧力が等しいですから、水槽内の水銀が水銀柱を押す圧力は大気圧と等しいので、
水槽内の水銀が水銀柱を押す力の大きさは、\(10×S\)[N]となります。
以上から、\(0.136Sh=10S\)を解いて、\(h=73.5\)[cm]となります。
ちなみに、試験管内で生じた真空は「トリチェリーの真空」と呼ばれています。
このようにして、大気圧と水圧に関する問題を考えていくことが大切です。
問題演習1(2012・久留米大学附設高)
まず、2012年の久留米大附設高の過去問に挑戦してみましょう。
問題はこちらから参照できます。
問1~問3の解説
問1~問3の解説に入っていきましょう。
まずは問1です。
こちらは冒頭で解説した例題と同様にして、
大気圧は、(13.6×75×1.0÷100)÷1.0=10.2[N/cm2]となります。
続いて、問2です。
「圧力=力の大きさ÷面積」であり、大気圧は常に一定であることから、
断面積が2倍になるとき、水銀柱の重力の大きさも2倍にならないといけません。
また、「水銀柱の重力の大きさ=密度×断面積×高さ÷100」であり、
密度の値は一定ですから、断面積が2倍となるとき、高さが変化しなければ「水銀柱の重力の重力の大きさ」は2倍となります。
よって、答えは75.0[cm]と求まります。
続いて、問3です。
水柱の高さを\(H\)[cm]とすると、問1と同様にして、以下の式が成り立ちます。
$$\frac{1.0×1.0×H}{100×1.0}=10.2$$
よって、\(H=1020\)[cm]となります。
問4の解説
次に、問4の解説に入ります。
水銀柱に働く力のつりあいを考えると、
(水銀柱の重力)+(試験管内の気圧による受ける力)=(水銀柱が水槽内の水銀から受ける力)
となります。
また、深さ0[cm]における液面の圧力を考えれば、それは大気圧と等しくなります。
よって、試験管内の気圧を\(P_1\)[N/cm2]とすると、上記の力のつり合いの式から、
$$\frac{13.6×1.0×55.0}{100}+P_1×1.0=10.2×1.0$$
が成り立つので、\(P_1=2.72\)[N/cm2]と求まります。
問5・問6の解説
最後に、問5・問6の解説です。
問5において、試験管内の気圧を\(P_2\)[N/cm2]とすると、水銀柱に働く力のつりあいより、
(水銀柱の重力)+(大気圧による力)=(試験管内の気圧による力)
が成立するので、
$$\frac{13.6×1.0×10}{100}+10.2×1.0=P_2×1.0$$
より、\(P_2=11.56\)[N/cm2]となります。
次に問6です。
試験管内の気圧を\(P_3\)[N/cm2]とすると、水銀柱に働く力のつりあいより、
(水銀柱の重力)+(試験管内の気圧による力)=(大気圧による力)
が成立するので、
$$\frac{13.6×1.0×10}{100}+P_3×1.0=10.2×1.0$$
より、\(P_3=8.84\)[N/cm2]となります。
問題演習2(2011・洛南高)
次に、2011年・洛南高の過去問に挑戦してみましょう。
問題はこちらから参照できます。
問1・問2の解説
問1,問2の解説に入っていきましょう。
水がピストンを押す力の大きさを\(F_1\)[N],ピストンの下面が深さ\(h\)[cm]にあるとします。
ピストンに注目すると、大気圧による力(100[N])・重力(2.0[N])・水から受ける力(\(F_1\)[N])を受けるので、力のつりあいから、
$$F_1=100+2.0=102[N]$$
と求まります。(問1の答え)
また、深さ\(h\)[cm]における圧力は、大気圧と高さ\(h\)[cm]の水柱による圧力の和となります。
$$10+1×h÷100=10+\frac{h}{100}[N/cm^2]$$
問1の結果を踏まえると、ピストンの断面積は10[cm2]なので、
$$(10+\frac{h}{100})×10=F_1=102$$
より、\(h=20\)[cm]と求まります。(問2の答え)
問3・問4の解説
続いて、問3・問4の解説です。
水がピストンを押す力の大きさを\(F_2\)[N], ピストンを引く力の大きさを\(F_3\)[N]とします。
ピストンに働く力は先ほどの力の他に、ピストンを引く力が加わりますので、力のつりあいを考えると、
$$F_2+F_3=100+2.0=102$$
が成立します。
また、同じ深さの水面での圧力は等しいので、水がピストンを押す力による圧力は10[N/cm2]となるため、
$$F_2=10×10=100[N]$$
となります。(問3の答え)
この値を先ほどの式に代入して、
$$F_3=102-F_2=102-100=2.0[N]$$
となります。(問4の答え)
問5・問6の解説
問5の解説です。
水面が高さ10[cm]の水柱を押す力の大きさを\(F_4\)[N], ピストンからの圧力を\(P\)[N/cm2]とします。
深さ0[cm]における水面の圧力は大気圧と等しいため、
$$F_4=10×10=100[N]$$
となります。
高さ10[cm]の水柱の重力の大きさは\(1.0×10×10÷100=1.0\)[N], ピストンから受ける力は\(10P\)[N]となります。
水柱にはたらく力のつりあいを考えて、
$$10P+1.0=F_4=100$$
よって、\(P=9.9\)[N/cm2]となります。(問5の答え)
最後に問6です。
ピストンを引く力の大きさを\(F_6\)[N]とします。
ピストンに働く力を考えると、
「ピストンの重力・ピストンが水柱を押す力の反作用・大気圧からの力・ピストンを引く力」
の4つがはたらくので、力のつりあいより、
$$F_5+10P=100+2.0=102$$
が成り立ちます。
よって、\(F_5=3.0\)[N]と求まります。
問題演習3(2021・東海高)
最後に総仕上げとして、2021年の東海高の過去問(1.問2)に挑戦してみましょう。
問題はこちらから参照できます。
(1)~(3)の解説
(1)について、大気から受ける力が10×10=100[N]となるので、答えは100[N]となります。
次に(2)と(3)を考えます。
解法原則に則り、おもりとピストンをひとかたまりとみなして、それに働く力を図示すると以下のようになります。
ここでは、おもりの質量を\(x\)[g],ピストンが水から受ける力の大きさを\(F_1\)[N]とおいています。
このひとかたまりにはたらく力のつりあいより、以下の式が成立します。
$$100+\frac{x}{100}=F_1$$
また、水色の破線部における圧力が常に一定であり、ここには大気圧および高さ10[cm]の水柱による圧力がかかるので、
$$\frac{F_1}{10}=10.0+\frac{1×10×10}{100×10}$$
よって、\(F_1=101\)[N]となります。
この値を上記のつり合いの式に代入して、\(x=100\)[g]と求まります。((2)の答え)
ですので、円筒内の水面がピストンから受ける圧力の大きさは、
101÷10=10.1[N/cm2]と求まります。((3)の答え)
(4)・(5)の解説
まず、(4)について考えましょう。
深さ10[cm]のところでは、前述したように10.1[N/cm2]の圧力がかかります。
円筒の水面における力のつりあいを考えれば、閉じ込められた気体の圧力も10.1[N/cm2]です。
ピストンにはたらく力のつりあいを考えれば、
(大気から受ける力)+(ピストンを押す力)=(閉じ込められた気体から受ける力)
となるので、答えは\(10.1×10-100=1\)[N]と求まります。
次に(5)です。
①:体積が小さくなるので、気体の密度は「大きく」なります。
②:閉じ込められた気体の圧力が「大きく」なると、水面が下がります。
③:①と正反対のことばである「小さく」が入ります。
④:②と正反対のことばである「小さく」が入ります。
(6)・(7)の解説
最後に、(6)・(7)です。
水柱の下面が水槽内の水から受ける力の大きさを\(F_2\)[N], 閉じ込められた気体の圧力を\(P\)[N/cm2]とします。
水柱にはたらく力のつりあいを考えれば、以下の式が成立します。
$$10P+1.0=F_2$$
深さ0[cm]における水面にはたらく圧力を考えれば、大気圧と等しくなるので、\(F_2=100\)[N]となります。
これを上記の式に代入して、\(P=9.9\)[N/cm2]を得ます。
最後に(7)です。
水柱の高さが最大となるとき、ピストンの下面と水柱の上面の空間は真空となるため、
求める高さを\(h\)[cm]とすると、これまでの議論と同様に水柱にはたらく力のつりあいから、
水柱の重力とそれが水槽内の水から受ける力の大きさが等しいので、
$$\frac{1×10×h}{100}=10×10$$
が成立し、\(h=1000\)[cm]となります。
まとめ:[高校入試]「大気圧と水圧」に関する難問の解き方のコツを解説!
いかがでしたか。「大気圧と水圧」に関する難問では、
- 何に注目するかを決めて、力のつり合いの式を立てる
- 同じ深さの液面では、圧力が等しい
を意識することが大切です。
これをテーマとした問題は難関校ではたびたび出題されるので、繰り返し解くことが大切です。
ご一読いただきありがとうございました。
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