みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
これまで「化学変化と物質の質量」について方法論をレクチャーしてきました。
これまでの内容で公立高校入試は事足りますが、難関私立校を受験される方は補足で覚えておくべきことがあります。
そこで今回は、難関校志望者に必須である、そのような「化学変化と物質の質量」の難問へのアプローチを解説していきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
例題をまず考えてみよう
本題に入る前に、こちらの例題を考えてみましょう。
「化学変化と物質の質量」の難問へのアプローチ法
それでは、本題に入りましょう。
「化学変化と物質の質量」の難問では次のことを意識しましょう。
これらを実際の問題でどう用いるのかについて、冒頭の問題の解説を交えながら説明していきます。
例題の解説
問1の解説
以前の記事で、化学反応式の係数の合わせ方を説明しておりますので、不安が残る方はこちらもご確認ください。
そこで説明している原則に従うと、各炭化水素の燃焼の化学反応式は以下のように書けます。
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O
2C4H10 + 13O2 → 8CO2 + 10H2O
問2の解説
この問題では、気体の体積が問われているので、(化学反応式の係数比)=(各物質の体積比)を用いて解いていきます。
問1で作ったメタンの燃焼の化学反応式は以下の通りでした。
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
この反応式から、メタンと酸素は1:2の体積比で反応することが分かります。
もし酸素が完全に反応したとすると、メタンは2.5[L]存在したことになるので、完全に反応したのはメタンであると分かります。
これを踏まえ、気体の体積に注目し、反応前後の収支を示すと以下のようになります。
CH4 | 2O2 | CO2 | 2H2O | |
反応前[L] | 1.0 | 5.0 | 0 | 0 |
変化量[L] | -1.0 | -2×1.0 | +1.0 | 0 |
反応後[L] | 0 | 3.0 | 1.0 | 0 |
よって、反応後の気体の体積は 3.0+1.0=4.0[L] となります。
問3の解説
この問題では、原子の質量比から、過不足なく反応するときの質量比を作って解いていきます。
プロパンの燃焼は以下のように表されるのでした。
C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O
問題文ではC : H : O = 12 : 1 : 16の質量比が与えられています。
C3H8は炭素原子が3個、水素原子が8個から構成されるので、プロパン分子1個の質量は
\((12×3+1×8)\)となります。
また、O2は酸素原子2個から構成されるので、酸素分子1個の質量は\((16+16)\)となりますが、
化学反応式の係数が5なので、質量比を作るときはそれを5倍します。
反応に関わる各物質の分子1個あたりの質量を計算し、化学反応式の係数を考慮すると、この反応における質量比は
C3H8 : O2 : CO2 : H2O
=(12×3+1×8) : 5×(16+16) : 3×(12+16×2) : 4×(1×2+16)
=44:160:132:72
となります。
水が36[g]生じているので、この反応で用いた酸素を\(a\)[g]とすると、
\(160:72=a:36\)より、\(a=80\)[g]となります。
一方、ブタンの燃焼は以下のように表されるのでした。
2C3H8 + 13O2 → 8CO2 + 10H2O
よって、この反応における質量比は
C3H8 : O2 : CO2 : H2O
= 2×(12×3+1×8) : 13×(16+16) : 8×(12+16×2) : 10×(1×2+16)
=88:416:352:180
です。
いま酸素が80[g]であるため、ブタンと二酸化炭素の質量をそれぞれ\(b,c\)[g]とすると、
\(88:416=b:80\)より、\(b=22.31\)[g]となり、
\(416:352=80:c\)より、\(c=67.69\)[g]を得ます。
問4の解説
まずは浴槽の水を40℃まで上昇させるのに必要な熱量を求めましょう。
1.0[g/cm3] × (200 × 1000[cm3]) × (40-25)[℃] × 4.2[J/(g・℃)] ÷ 1000 = 12,600[kJ]
となりますね。
これを踏まえて解いていきます。
体積\(V\)[L]のメタンの燃焼熱は800[kJ]ゆえ、燃焼させたメタンは\(\frac{12600}{800}V=15.75V\)[L]と分かります。
また、プロパン\(4V\)[L]とブタン\(V\)[L]を完全燃焼させると、2,200×4+2,880=11,680[kJ]ですから、
燃焼させた混合気体は\(\frac{12600}{11680}×5V=5.394V\)[L]です。
ここで、「同温・同圧の下では、同体積の気体には常に同じ個数の分子が含まれる」ことに注目します。
この問題では二酸化炭素の質量を比較していますが、その事実を踏まえれば、
各燃焼で生じる二酸化炭素の質量比=各燃焼で生じる二酸化炭素分子の個数比
=各燃焼で生じる二酸化炭素の体積比
ということになりますね。
メタンの燃焼ではメタンと二酸化炭素の係数比が1:1なので、発生した二酸化炭素の体積は\(15.75V\)です。
次に、プロパンとブタンの混合気体について考えます。
燃焼したプロパンの体積は\(\frac{4×5.394}{5}V=4.3152V\)[L], ブタンの体積は\(\frac{5.394}{5}V=1.0788V\)[L]です。
各化学反応式における、プロパンと二酸化炭素の係数比は1:3で、ブタンと二酸化炭素の係数比は1:4ですから、以下の表のようになります。
体積[L] | 発生した二酸化炭素の体積[L] | |
C3H8 | \(4.3152V\) | \(4.3152V×3\) |
C4H10 | \(1.0788V\) | \(1.0788V×4\) |
よって、発生した二酸化炭素の体積は以下のようになります。
$$4.3152V×3+1.0788V×4=17.2608V$$
以上から、Xには「メタン」が、Yには「プロパンとブタンの混合気体」が入ります。
そして、Zには、以下の値が入ります。
$$\frac{15.75}{17.2608}=0.91$$
難関校を目指す方におすすめの問題集
難関校を目指す方におすすめの問題集をご紹介します。
公立高校に向けた対策を行いつつ、難関校の対策を行う場合には「ハイクラス徹底問題集」がおすすめです。
定期テスト対策も行える問題集でもあるので、日々の学習に最適の書籍です。
基礎が固まり、難関校に向けて問題演習を行う場合には「最高水準問題集」がおすすめです。
全国の難関国公私立校の入試問題から厳選された問題が収録されているので、効率的に難関校で求められる学力を養うことができます。
まとめ:[高校入試]原子の質量比による「化学変化と物質の質量」の難問の解き方のコツを解説
いかがでしたか。
本記事では、「化学変化と物質の質量」の難問へのアプローチを解説しました。
- 原子の質量比から、過不足なく反応するときの質量比を作る
- 気体の反応においては、(化学反応式の係数比)=(各物質の体積比)
- 同温・同圧の下では、同体積の気体には常に同じ個数の分子が含まれる
の3つに気を付けるとよいでしょう。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
最後までご一読いただきありがとうございました。
コメント