みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は「電気に関する総合問題」を解説していきます。
難関校で出題例の見られるテーマや、出題例があまりない目新しいテーマを背景とした問題を製作してみました。
あまり問題集で見かけない問題になっているかと思いますので、力試しとして挑戦してみてください!
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
難関校を目指す方におすすめの問題集
難関校を目指す方におすすめの問題集をご紹介します。
公立高校に向けた対策を行いつつ、難関校の対策を行う場合には「ハイクラス徹底問題集」がおすすめです。
定期テスト対策も行える問題集でもあり、難易度が3段階に分かれており、無理なくステップアップできます。
最高レベルは難関私立レベルになっているので、こちらを目指す方にとっても日々の学習を通じて入試を見据えた学習が可能です。
基礎が固まり、難関校に向けて問題演習を行う場合には「最高水準問題集」がおすすめです。
全国の難関私立国立高校の入試から厳選して演習価値の高い問題が収録されており、
よく出る問題には「頻出」マークがついているなど入試で出やすい問題から対策できるなど、入試本番に向けて効率的に最高レベルの学力を養うことができます。
問題の概要
今回扱う問題は以下の通りです。
まずは自力で挑戦してみましょう!
≪Ⅰ≫の解説
≪Ⅰ≫は「発光ダイオードを用いた電気回路およびキルヒホッフの法則」をテーマとした問題です。
これを題材にした問題は、灘や東大寺学園で出題されています。
特に、灘では現象を数式化し、そこから数学的議論に持ち込んでそれを考察する問題が度々出題されます。
この問題においても、そのような思考ができるかが問われています。
それでは解説に入っていきましょう。
答えは以下の通りです。
問1 | (ロ) |
問2 | \(\displaystyle \frac{190}{7}[mA]\) |
問3 | \(\displaystyle \frac{1}{2}[V]\) |
問4① | \((V=)Ri_1-100i_2\) |
問4② | \((i_1+\displaystyle \frac{I}{1000})[A]\) |
問4③ | \(100(i_1+\displaystyle \frac{I}{1000})+Ri_1=E\) |
問4④ | \(100(i_2-\displaystyle \frac{I}{1000})+100i_2=E\) |
問4⑤ | \((I=)\displaystyle -\frac{20(100+R)}{100+3R}V+\frac{10(R-100)}{100+3R}E\) |
問4⑥ | \(\displaystyle \frac{R+100}{R-100}\) |
問4⑦ | b |
問1の解説
(抵抗)=(電圧)÷(電流)ですから、図2の直線上の点と原点を結んだ直線の傾きがそれに相当します。
そうすると、電圧が大きくなると、傾きが小さくなってゆくことが読み取れます。
よって、答えは(ロ)となります。
問2の解説
発光ダイオードに流れる電流の大きさを\(I\)[mA], それにかかる電圧の大きさを\(V\)[V]とします。
直列回路ではどこでも電流の大きさは等しいので、抵抗に流れる電流の大きさも\(I\)[mA]です。
このとき、抵抗にかかる電圧は、\(\displaystyle 100[Ω]×\frac{I}{1000}[A]=\frac{I}{10}\)[V]です。
「キルヒホッフ第2法則」から、\(10=\displaystyle \frac{I}{10}+V\)が成り立ちます。
これを式変形し、\(I=-10V+100\)…(1)を得ます。
さて、図2において\(V≧0.5\)では、\(I=4(V-0.5)=4V-2\)…(*)が成り立っています。
ここで、(*)と(1)を連立させて解くと、\(V=\displaystyle \frac{51}{7}[V], I=\frac{190}{7}[mA]\)を得ます。
問3の解説
引き続き、発光ダイオードに流れる電流の大きさを\(I\)[mA], それにかかる電圧の大きさを\(V\)[V]とします。
電源の電圧を\(x\)[V]とすると、問2と同様に考えて、\(x=\displaystyle \frac{I}{10}+V\)が成り立ちます。
これを式変形し、\(I=-10V+10x\)…(2)を得ます。
発光ダイオードに電流が流れるとき、(*)と(2)が\(V>0.5\)で交点を持たなければなりません。
そうすると、②が\((0.5,0)\)を通るときが、発光ダイオードに電流が流れるかどうかのぎりぎりの状態となるため、\(x=\displaystyle \frac{1}{2}[V]\)を答えとして得ます。
問4の解説
この問題では、「キルヒホッフの法則」を知っていれば誘導に乗って解答できるかと思います。
まず①ですが、電圧は「標高の差」であり、\(R_3\)にかかる電圧が\(R_4\)よりも大きい必要があるので、\(V=Ri_1-100i_2\)…(3)となります。
②についてですが、「キルヒホッフ第1法則」より、\((i_1+\displaystyle \frac{I}{1000})[A]\)となります。
③に関しては、「キルヒホッフ第2法則」より、\(100(i_1+\displaystyle \frac{I}{1000})+Ri_1=E\)…(4)が成り立ちます。
④に関して、抵抗\(R_2\)に流れる電流は\((i_2-\displaystyle \frac{I}{1000})[A]\)なので、
「キルヒホッフ第2法則」より、\(100(i_2-\displaystyle \frac{I}{1000})+100i_2=E\)…(5)が成り立ちます。
(4),(5)より、\(\displaystyle i_1=\frac{1}{100+R}(E-\frac{I}{10}),i_2= \frac{1}{200}(E+\frac{I}{10})\)を得ます。
これらを(3)に代入し、\(I\)について解くと、
\(I=\displaystyle -\frac{20(100+R)}{100+3R}V+\frac{10(R-100)}{100+3R}E\)…(6)を得ます(⑤の答え)。
問3と同様に考えると、(*)と(6)が\(V>0.5\)で交点を持つためには、
(6)において\(V=0.5\)のとき、\(I=\displaystyle -\frac{10(100+R)}{100+3R}+\frac{10(R-100)}{100+3R}E\)となるため、
この値が0より大きくなる必要があります。
よって、\(\displaystyle -\frac{10(100+R)}{100+3R}+\frac{10(R-100)}{100+3R}E>0\)を式変形すると、
\((R-100)E>100+R\)を得ます。
\(R>100\)より、\((R-100)\)で割っても不等号の向きは反転しないので、
\(E>\displaystyle \frac{R+100}{R-100}\)となります(⑥・⑦の答え)。
≪Ⅱ≫の解説
≪Ⅱ≫は「自己誘導」をテーマとした問題です。
複数の実験結果からコイルに発生する電圧の大きさにはどのような法則性があるかを考察できるかがこの問題のカギとなっています。
最後の問題では「非直線的に」電流を変化させていますが、問題文を的確に把握し、今まで見出してきた法則を適用できるかが問われています。
答えは以下の通りです。
問5(イ) | b |
問5(ロ) | c |
問5(ハ) | a |
問6 | プラスの向きに50[V] |
問7 | \(\sqrt{5}N\) |
問8(ア) | \(\displaystyle \frac{1}{n}\) |
問8(イ) | \(\displaystyle \frac{1}{n}\)[V] |
問8(ウ) | \(\displaystyle \frac{2k+1}{n}\)[V] |
問8(エ) | 2 |
問5の解説
「電磁誘導」に関して、次のことを確認しておきましょう。
(イ)の場合においては、N極が近づいてくるので、コイルの上部はN極となります。
そのため、親指は上を向くので、他の指の向きを考えれば、電流はbの方向に流れます。
(ロ)の場合では、この前後で磁場の変化が全く逆になります。
そのため、この瞬間における磁場の変化が0となり、答えはcとなります。
(ハ)の場合は、S極が離れてゆくため、コイルの下部はN極となります。
そのため、電流の流れる向きは(イ)と反対になるので、答えはaとなります。
問6・問7の解説
実験1・実験2から分かることを整理しましょう。
- 実験1の結果より、「変化の割合」が一定であれば、コイルに発生する電圧も一定
- 実験1の結果より、「変化の割合」と「コイルに発生する電圧」は比例する
- 実験2の結果より、「コイルに発生する電圧」は「コイルの巻き数」の2乗に比例する
そのため、コイルの巻き数を\(K\), 「変化の割合」を\(a\)とすれば、
コイルに発生する電圧の大きさは、\(\displaystyle \frac{aK^2}{N^2}\)という式で与えられます。
これを踏まえ、問題を考えます。
問6ですが、コイル内部の磁場は右ねじの法則より、左向きに強くなってゆきます。
そのためコイルにはそれを打ち消すために、右向きの磁場を作り出そうとします。
そのため、コイルには矢印の向きに電流を流す向きに電圧が発生するので、向きは「プラス」です。
また、発生する電圧の大きさは、\(\displaystyle \frac{0-(-2)}{1}×\frac{(5N)^2}{N^2}=50[V]\)となります。
問7を続いて考えます。
電圧が5倍となるとき、コイルの巻き数は\(\sqrt{5}\)倍となるので、答えは\(\sqrt{5}N\)となります。
問8の解説
問8は問題の誘導に乗れば、スムーズに解けます。
アには、\(\displaystyle \frac{\frac{1}{n^2}-0}{\frac{1}{n}}=\frac{1}{n}\)が入ります。
イには、\(\displaystyle \frac{1}{n}×\frac{N^2}{N^2}=\frac{1}{n}\)が入ります。
ウには、\(\displaystyle \frac{(\frac{k+1}{n})^2-(\frac{k}{n})^2}{\frac{1}{n}}×\frac{N^2}{N^2}=\frac{2k+1}{n}\)が入ります。
エには、ウの結果より\(k\)が大きくなると電圧の大きさも大きくなることが分かるので、2が入ります。
このように「非直線的」に電流が変化する場合は、折れ線グラフに細かく分割してゆくと考えやすくなります(これを無限に細かくすれば「微分」という概念につながってゆきます)。
[中学理科]難関校志望者向け「電気に関する総合問題」を解説!
いかがでしたか。
今回は「電気に関する総合問題」を解説しました。
現象を数式を用いて定量的に分析する力は難関校突破のみならず、理系に進学しようとする方にとっても非常に大切です。
理科の学習は暗記に走りがちですが、特に難関校を目指す方はそのようなことを意識しながら学習を進めるとよいでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
コメント