みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、2022年度埼玉県選択問題で出題された「空間図形」を解説していきます。
公立の問題は特別な知識がなくても解けるように作成されておりますが、
今回解説する問題はそうであるはずなのにかなりの難易度になっております。
とはいえ、空間認知能力を鍛えるにはうってつけの問題かと思います。
埼玉県選択問題を受けられる方および公立入試で「空間図形」が出題される方はぜひ考えてみてください。
また、本記事と合わせて以下の記事も是非ご覧ください。
日々の問題演習におすすめの書籍
日々の問題演習におすすめの書籍を紹介します。
定期試験のみならず、公立高校に向けた問題演習を行いたい方は「ハイクラス徹底問題集」がおすすめです。
定期試験レベルから無理なく徐々にステップアップでき、日ごろの学習を通して入試で求められる力を養うことができます。
問題の概要
今回は、埼玉県選択問題で出題された大問5を解説します。
問題はこちらから参照できます。
(1)の解説
まず(1)の解説を行っていきます。
求める立体の体積は、結局のところ、球の\(\displaystyle \frac{1}{2}×\frac{1}{4}=\frac{1}{8}\)倍となります。
ですので、答えとして、\(\displaystyle \frac{1}{8}×\frac{4}{3}\pi r^3=\frac{1}{6} \pi r^3\)を得ます。
これはぜひ出来て欲しい問題でした。
(2)の解説
続いて、(2)です。
Dはその定義から、∠BOD=∠COD=45°となります。
これを踏まえ、A・B・C・D・Oを頂点とする立体を図示すると以下のようになります。
このとき、四角形OBCDを底面と見れば、AOが高さとなります。
また、△BODと△CODは合同となりますから、お互いの面積も等しくなります。
ですので、(四面体A-BODの体積):(四面体A-CODの体積)=1:1となりますから、
求める立体の体積は、四面体A-CODの体積を2倍すればよいと分かります。
そうすると、AO\(=r\)ですから、△CODの面積が分かればその体積は求まりますね。
そこで、△CODの面積を考えましょう。
点Cから辺ODにむけて垂線を引き、その足をHとします。
このとき、△OCHが直角二等辺三角形となるので、\(OH:HC:CO=1:1:\sqrt{2}\)となります。
よって、CO\(=r\)ですから、CH\(\displaystyle = \frac{1}{\sqrt{2}}r\)と分かります。
そのため、△CODの面積はOD\(=r\)より、\(\displaystyle \frac{1}{2}×r×\frac{1}{\sqrt{2}}r=\frac{\sqrt{2}}{4}r^2\)となります。
以上から、A・B・C・D・Oを頂点とする立体の体積は、
\(\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{\sqrt{2}}{4}r^2×r×2=\frac{\sqrt{2}}{6}r^3\)となります。
本番では、ここまで解ければ十分であったかと思います。
(3)の解説
最後に、(3)です。
これは、試験本番では正直捨ててもよい問題かと思います。
この問題を解く際に特別な知識が必要というわけではありませんが、正確に立体の全貌を把握することが求められます。
図示すると以下のようになります。
求めづらい立体の体積は「分割」してみるのが解法の定石ですから、
(求める立体の体積)
=(四面体E-OCFの体積)+(四面体G-OAFの体積)+(四面体F-OEGの体積)
となります。
以下では、これら3つの体積を求めていきましょう。
四面体E-OCFの体積は?
四面体E-OCFの概形は以下のようになります。
Fは弧ACを1:2に分ける点であるから、∠COF\(=\displaystyle 90°×\frac{2}{3}=60°\)です。
そのため、△OCFは正三角形であり、OC=OF\(=r\)です。
よってその面積は、\(\displaystyle \frac{1}{2}×r×\frac{\sqrt{3}}{2}r=\frac{\sqrt{3}}{4}r^2\)となります。
また、EからOCにむけて垂線を下ろし、その足をH1とします。
△OCFを底面と見たときに、EH1が高さとなります。
このとき△OEH1は「90°・60°・30°の直角三角形」なので、OE\(=r\)より、\(EH_1=\displaystyle \frac{1}{2}r\)です。
以上より、体積は\(\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{\sqrt{3}}{4}r^2×\frac{1}{2}r=\frac{\sqrt{3}}{24}r^3\)…①となります。
四面体G-OAFの体積は?
四面体G-OAFの概形は以下のようになります。
GからOAに垂線を下ろし、その足をO1とします。
このとき、∠GO1E=∠EOC=30°です。
このとき、△OGO1および△OFO1は「90°・60°・30°の直角三角形」なので、
\(FO_1=GO_1=\displaystyle \frac{1}{2}r\)となります。
そのため、△OFO1の面積はOA\(=r\)より、\(\displaystyle \frac{1}{2}×r×\frac{1}{2}r=\frac{1}{4}r^2\)です。
また、GからFO1に向けて垂線を下ろしその足をH2とすると、∠GO1E=30°ですから、
△GO1H2は「90°・60°・30°の直角三角形」なので、
\(GH_2=\displaystyle \frac{1}{2}GO_1=\frac{1}{4}r\)となります。
以上から、体積は、\(\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{1}{4}r^2×\frac{1}{4}r=\frac{1}{48}r^3\)…②です。
四面体F-OEGの体積は?
四面体F-OEGの概形は以下のようになります。
Gは弧AEを1:2に分ける点なので、∠GOE\(=\displaystyle 90°×\frac{2}{3}=60°\)となり、
OE=OG\(=r\)ですので、△OGEの面積は、
\(\displaystyle \frac{1}{2}×r×\frac{\sqrt{3}}{2}r=\frac{\sqrt{3}}{4}r^2\)となります。
ここで、FからOAに垂線の足O2を下ろし、
それを通りOAに垂直で、O2Fとなす角が30°である直線を\(l\)とします。
Fから\(l\)に垂線の足H3を下ろしたとき、FH3が△OGEを含む平面との距離になります。
∠AOF=30°ですから、△OFO2は「90°・60°・30°の直角三角形」なので、
FO2\(\displaystyle =\frac{1}{2}OF=\frac{1}{2}r\)です。
また、△O2FH3も「90°・60°・30°の直角三角形」なので、
FH3\(\displaystyle =\frac{1}{2}FO_2=\frac{1}{4}r\)です。
以上から、四面体F-OEGの体積は\(\displaystyle \frac{1}{3}×\frac{\sqrt{3}}{4}r^2×\frac{1}{4}r=\frac{\sqrt{3}}{48}r^3\)…③と求まります。
最後に、①~③を足し合わせることにより、
求める答えは、\(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{24}r^3+\frac{1}{48}r^3+\frac{\sqrt{3}}{48}r^3=\frac{3\sqrt{3}+1}{48}r^3\)となります。
この問題は立体の全貌をつかむのも大変な上、分割した立体の体積を求めるのもかなり骨が折れます。
入試本番ではこの問題を捨てて、他の問題にあたった方がよかったと思われます。
まとめ:[中学数学]特別な知識が不要な難問!2022年度埼玉県選択問題で出題された「空間図形」を解説!
いかがでしたか。
今回は、2022年度埼玉県選択問題で出題された「空間図形」を解説しました。
(3)は時間制約的に解かない方が賢明でしたが、(1)・(2)はぜひ正解しておきたい問題でした。
公立高校の問題は特別な知識が必要ないため、一般的な知識の範囲内でここまで難しくできるのはすごいことだと感じました。
(3)は受験生の空間認知能力を問うよい問題ですから、試行錯誤しながら答えを導いてみるとよいかと思います。
今後も過去問等の解説を行ってゆくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
本記事と合わせて以下の記事も是非ご覧ください。
コメント