みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、2022年度に関西学院高等部で出題された「二等辺三角形の証明問題」を解説します。
関西学院高等部では例年証明問題が出題されますが、誘導がなく自力でその道筋を作らせるのが特徴です。
そのような問題でもこれまで解説してきた「思考法」が役に立ちます。
自分自身で証明の道筋が作れるようになることは公立高校の入試でも役に立ちますので、
この問題は非常に良いトレーニングになるかと思います。
まずは自分で考えてみましょう!
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
「平面図形」攻略におすすめの書籍
「平面図形」攻略におすすめの書籍をご紹介します。
「解法のエッセンス」では平面図形で学習する内容をどう実際の問題に活用するかに重点をおいて執筆されています。
いきなり問題集に取り組む前に、これらを通して問題を解く際の方法論を身につけるとよいでしょう。
難関校を目指す方や平面図形を得意になりたい方にはおすすめです。
問題の概要
2022年度に関西学院高等部で出題された「二等辺三角形の証明問題」は以下の通りです。
下図のように長方形ABCDと、2つの頂点A,Bを通る円がある。
辺AD、BC、対角線BDが円と交わる点を、それぞれE,F,Gとする。
また、直線EGと直線BCの交点をHとする。
点Gが線分EHの中点であるとき、△BDEは二等辺三角形になることを証明せよ。
まずは「逆算思考」で!
特に、図形の問題では、「結論から逆算して考える」ことが大切です。
いま、△BDEが二等辺三角形であることを示したいので、BE=DEとなることを証明できればOKですね。
以下、BE=EDを証明するためにどうしたらよいかを考えていきましょう。
ことが定石ですから、△BGEと△DGEが合同であると示せれば、BE=DEを証明できます。
ですので、△BGEと△DGEの合同を証明していきましょう。
ここで、図に分かっている情報を記入してゆくと以下のようになります。
∠BADは四角形ABCDが長方形であるので、90°となります。
そうすると、「円周角の定理」より、線分BEは円の直径となります。
再び円周角の定理を用いれば、∠BGE=90°となります、
ここで、この2つの三角形について、分かっていることを整理すると、
- ∠BGE=∠DGE=90°
- 辺GEは共通である
となります。
このとき、BG=DGであることが分かれば「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」ことから、
両者が合同であるといえますね。
では、BG=DGをどう示せばよいのでしょうか。
もう1組の三角形の合同を考える
辺の長さが等しいことを示すには、「三角形の合同」を証明するのが定石だと説明しました。
今回も、三角形の合同を示すことによって、BG=DGを証明していきましょう。
そうすると、△BHGと△DEGの合同を証明すればよいという方針が立ちますね。
以下、この方針で解いていきましょう。
先ほどの図より、
- 仮定より、HG=EG
- 四角形ABCDは長方形ゆえADとBCは平行であるため、∠BHG=∠DEG(錯角)
- 対頂角は等しいので、∠BGH=∠DGE
これらより「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」ので、両者が合同だといえます。
それにより、BG=DGとなります。
これで証明を書く準備が整いましたので、実際に書いていきましょう。
証明の解答例
実際に証明を書く際は、
- △BHGと△DEGの合同を証明し、BG=GDを示す。
- △BGEと△DGEの合同を証明し、BE=DEを示し、△BDEが二等辺三角形であると述べる。
という順にすると自然かと思います。
以下、証明の解答例となります。
(証明)
△BGEと△DGEにおいて、
仮定より、HG=EG…①
四角形ABCDは長方形ゆえADとBCは平行であるため、∠BHG=∠DEG…②
対頂角は等しいので、∠BGH=∠DGE…③
①~③より1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、△BGE≡△DGE
よって、BG=DG…④
続いて、△BGEと△DGEにおいて、
四角形ABCDは長方形ゆえ∠BAE=90°であり、
円周角の定理から、Gを含む弧BEの中心角は180°となり、
線分BEは点A,B,E,Fを通る円の直径であるといえる
よって、円周角の定理より、点Aを含む弧BEに対する円周角∠BGEに関して、
∠BGE=90°…⑤
∠BGE+∠DGE=180°であるから、⑤より、
∠DGE=90°…⑥
EGは共通…⑦
④~⑦より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、△BGE≡△DGE
よって、BE=DE
ゆえに、△BDEは二等辺三角形
(Q.E.D.)
まとめ:[中学数学]「証明」の道筋をどう作る?2022年度関西学院高等部「二等辺三角形の証明問題」を解説!
いかがでしたか。
今回は、2022年度に関西学院高等部で出題された「二等辺三角形の証明問題」を解説しました。
積み上げ式で考えようとすると方針が立ちづらいですが、
結果から考えてゆくとおのずとやるべきことが見えてくることを実感して頂けたかと思います。
やはり「図形」の問題では、結果から逆算して考えてゆくことが大切です。
証明を含めた「図形」の問題に取り組む際は、これを意識していきましょう。
引き続き過去問の解説を行っていくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
コメント