みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、2016年度に栃木県で出題された「規則性」の難問を解説していきます。
栃木県は平面図形の難問は少ないものの、「規則性」が毎年出題されます。
特に2016年の問題の最後の小問は、動かす変数の個数が多く、手のつかないものであったかと思います。
このようなケースではどのように考えたらよいのかを詳しく解説していきます。
ここで紹介する考え方は難関私立高の入試でも役に立つかと思いますので、
難関私立高志望の方も是非取り組んでみましょう。
問題はこちらから参照できます。
また、以下の記事も本記事と合わせてぜひご覧ください。
「規則性」の問題に強くなるためのおすすめの問題集
必ず1問は出る「規則性」の問題ですが、以下の書籍を用いて問題演習を行うとよいでしょう。
規則性の問題はいろいろなパターンの問題を経験しておくと、未知の問題に太刀打ちしやすくなります。
また、この手の問題は塾に通っていても対策が手薄となりがちです。
ですので、上記書籍を用いて問題演習を行い、規則性の問題を得点源にしましょう!
1,2の解説
1,2は正解してほしい問題です。
長方形Aの面積は40cm2であり、それを2×5=10枚並べるので、1の答えは400cm2となります。
続いて、2です。
上の図において、青色の部分の面積の合計は、1×29×2=58cm2です。
一方、緑色の部分の面積の合計は、1×13×3=39cm2です。
ここで、青色の部分と緑色の部分の共通部分が6か所あり、共通部分の面積の合計は1×1×6=6cm2となります。
以上を踏まえると、58+39-6=91cm2が答えとなります。
3の解説
まず長方形Bの縦の長さを求めてゆきましょう。
長方形Aをすべて下方向にテープ貼りした場合に縦の長さが最大となり、その値は\(5m\)です。
\(m\)枚をすべてのり付けするということですが、このときのり付けされた箇所は\((m-1)\)個となります。
なお、のり付けされる箇所が1か所増えるたびに、全体の長さは1cm小さくなることに注意すると、
長方形Bの縦の長さは、\(5m-(m-1)=(4m+1)\)cmとなりますね。
長方形Cを作るとき、右方向の数が下方向の数よりも4枚多いので、右方向の数は\((m+4)\)となります。
よって長方形Bを右方向にテープで\((m+4)\)枚連結させると、
長方形Cの横の長さは、\(8(m+4)=(8m+32)\)cmとなります。
これらより、\(l=2(4m+1)+2(8m+32)=(24m+66)\)です。
これを6でくくると、\(l=6(4m+11)\)となり、\((4m+11)\)は整数なので\(l\)は6の倍数となります。
「文字式による証明問題」の解き方に不安のある方は、こちらもご覧ください。
上記の内容を答案にすると、以下のようになります。
(証明)
\(m\)は正の整数であるとする。
長方形Cの右方向の列の数は\((m+4)\)である。
長方形Cの縦の長さは\(5m-(m-1)=(4m+1)\)cmであり、
長方形Cの横の長さは\(8(m+4)=(8m+32)\)cmとなる。
よって、
\begin{eqnarray}
l&=&(4m+1)+(8m+32)\\
&=&24m+66\\
&=&6(4m+11)
\end{eqnarray}
\(m\)は正の整数であるから、\((4m+11)\)も正の整数となる。
したがって、\(6(4m+11)\)は6の倍数である。
よって、\(l\)は6の倍数となる。
(Q.E.D.)
4の解説
正方形の1辺の長さが40cmのときは最小?
いよいよ、最難関である4の解説に入ります。
長方形Cが正方形になるとき、長方形Aの縦・横の長さの最小公倍数をとり、40cmを導いた方も多いのではないでしょうか。
確かに、長方形Cが正方形になるとき、1辺が40cmになるのは起こり得る話です。
しかし、その値は長方形Cが正方形となるときの1辺の長さの最小値となるのでしょうか。
問題の設定上、のり付けをするのも可能であるため、
条件を整えれば1辺の長さが40cmよりも小さい正方形も作ることはできそうです。
そうすると、\(m,n\)の値を動かしてゆくことになるかと思いますが、
それと同時に下方向および右方向でのり付けをする箇所の個数も操作する必要が出てきます。
つまり、4つの変数を同時に動かさなければいけない状況となり、
そのような状況で長方形Cが正方形になるときの1辺の長さの最小値を見つけるのは困難です。
では、どのようにしたら効率よくそれを求めることができるのでしょうか。
「\((m,n)\)の組が存在するための条件」を考える
長方形Cが正方形となるときの1辺の長さを\(x\)cmとします。
ここで、発想を転換し、
\(x\)の値を決めたときに、それが実現するような\((m,n)\)の組が存在するかを考える
という手法をとることにしましょう。
そうすると、変数が\(x\)のみになり、1辺の長さが短い方から見つけることができます。
さて、\(x\)の値を決めたときに、\(m,n\)が満たすべき条件を考えてゆきましょう。
\(m\)が満たすべき条件は?
まずは、\(m\)についてです。
下方向に長方形Aをすべてテープ貼りすれば、縦の長さは最大となり、その値は\(5m\)となります。
ですので、明らかに\(x≦5m\)がいえます。
のり付けされる箇所が1か所増えるたびに全体の長さは1cm小さくなるので、
長方形Cの縦の長さが\(x\)であるとき、のり付けをした箇所の個数は\((5m-x)\)となりますね。
のり付けをする箇所の個数は、最大でも\(m\)枚をすべてのり付けしたとき、
つまり\((m-1)\)がその最大値となるので、\(5m-x≦m-1\)が成立します。
\begin{gather}
5m-x≦m-1\\
5m-m≦x-1\\
4m≦x-1\\
m≦\frac{x-1}{4}
\end{gather}
なお、不等式における式変形は、負の数で割る以外は等式の変形と同様に行うことができます。
不等式では負の数で割ったときにのみ不等号の向きが反転することに注意です。
\(x≦5m\)の両辺を5で割って、\(\displaystyle \frac{x}{5}≦m\)となることを踏まえ、\(m\)が満たすべき不等式として、
\(\displaystyle \frac{x}{5}≦m≦\frac{x-1}{4}\)
が得られます。
\(n\)が満たすべき条件は?
続いて、\(n\)についてです。
長方形Cの横の長さの最大値は\(8n\)より、\(x≦8n\)が導かれます。
不等式の両辺を8で割って、\(\displaystyle \frac{x}{8}≦n\)が得られます。
長方形Cの横の長さが\(x\)であるとき、のり付けをしたか所の個数は \((8n-x)\)です。
また、のり付けをする箇所の個数の最大値は\((n-1)\)であるから、\(8n-x≦n-1\)が成り立ちます。
よって、
\begin{gather}
8n-x≦n-1\\
8n-n≦x-1\\
7n≦x-1\\
n≦\frac{x-1}{7}
\end{gather}
が得られます。
以上より、\(n\)が満たすべき不等式は、
\(\displaystyle \frac{x}{8}≦n≦\frac{x-1}{7}\)
となります。
長方形Cが正方形になるときの1辺の長さの最小値は?
これまでの結果より、
\(x\)を正の整数とし、これを1から順に変化させてゆくとき、以下の2つの不等式
- \(\displaystyle \frac{x}{5}≦m≦\frac{x-1}{4}\)
- \(\displaystyle \frac{x}{8}≦n≦\frac{x-1}{7}\)
を満たす正の整数の組\((m,n)\)が存在するか調べればよい
ということになります。
というわけで、上記の2つの不等式に\(x\)を1から変化させながら代入してゆくと、
\(x=15,22,23\)のときに条件を満たす正の整数の組\((m,n)\)が存在することになります。
よって、\(x=15,22,23\)が答えとなります。
まとめ:[中学数学]動かす変数の個数が多いときはどうする?栃木県で出題された「規則性」の難問を解説!
いかがでしたか。
今回は、2016年度に栃木県で出題された「規則性」の難問を解説しました。
動かす変数の個数が多い場合、目的とする値を出力するような変数が存在するかどうかに注目すると、混乱なく解くことができるかと思います。
難関私立高を志望する方においても役立つ考え方かと思いますので、ぜひこのような考え方も覚えておいてもらいたいと思います。
引き続き過去問等の解説を行ってゆくので、お楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
また、以下の記事も本記事と合わせてぜひご覧ください。
コメント