みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、2022年度秋田県の大問5の「円の総合問題」のうち、正答率が著しく低かった「面積比」の問題を解説します。
例年、秋田県では最後の大問が各学校が選択するようになっており、
Ⅰ(2)②の正答率が2.4%で、Ⅱ(2)②の正答率が0.0%でした。
非常に難しかったようで、秋田県教育委員会の分析においてもそこに課題があると述べられていました。
とはいえ、これまでやってきた方法を駆使すれば決して解けない問題ではありません。
そこで、今回は、これまで教授してきた方法を用いてこれらの問題を解説していきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
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「解法のエッセンス」では平面図形で学習する内容をどう実際の問題に活用するかに重点をおいて執筆されています。
いきなり問題集に取り組む前に、これらを通して問題を解く際の方法論を身につけるとよいでしょう。
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大問5・Ⅰ・(2)②の概要と解説
問題の概要
大問5・Ⅰ・(2)②は次のような問題でした。
∠ACB=90°の直角三角形ABCがあり、点Dは辺AB上の点で、AB⊥CDである。
直角三角形ABCの頂点A,B,Cを通る円Oがあり、点Eは線分CDをDの方向に延長した直線と円Oの交点である。
BE=6cm,AC=8cmとするとき、△BCDの面積は△ABCの面積の何倍か。
問題の解説
問題の図に分かっている情報を書き込むと以下のようになります。
そうすると、△BCDと△BACは相似となるため、両者の相似比が分かれば面積比も分かります。
よって、相似比を求めていきます。
さて、△OCDと△OEDにおいて、
OCとOEは円Oの半径であり、∠OCD=∠OED=90°、ODが共通であることが分かっています。
よって、直角三角形の斜辺と他の一辺がそれぞれ等しいので両者は合同となり、CD=EDです。
それを踏まえると、△BCDと△BEDにおいて、
CD=ED, ∠OCD=∠OED=90°, BDは共通ゆえ、
2辺とその間の角がそれぞれ等しいので、両者は合同です。
よって、BE=BC=6cmとなります。
ゆえに、△ABCは3:4:5の直角三角形となるので、AB=10cmとなります。
以上から、BC:BA=6:10=3:5より、
△BCDと△ABCの面積比は、\(3^2:5^2=9:25\)となります。
答えは、△BCDの面積は△ABCの面積の\(\displaystyle \frac{9}{25}\)倍と求まります。
大問5・Ⅱ・(2)②の概要と解説
問題の概要
大問5・Ⅱ・(2)②は次のような問題でした。
点Oを中心とし、線分ABを直径とする円Oがある。
直線\(l\)は点Bを通る円Oの接線である。
点Cは円Oの周上にあり、点A,Bと異なる点である。
点Dは直線ACと直線\(l\)の交点であり、線分ODと線分BCの交点をEとする。
OB:AD=3:8であるとき、△OBEの面積は△ABDの面積の何倍か。
問題の解説
図に分かっている情報を記入すると以下のようになります。
なお、三平方の定理より、\(BD=\sqrt{AB^2-BD^2}=2\sqrt{7}\)です。
△OBEと△ABCの面積比は、BE:ECの値が分かれば求まりそうです。
また、△ABDと△ACBが相似であるため、両者の相似比が分かれば面積比が求まりますね。
そうすると、\(AD:AB=8:6=4:3\)となりますから、△ABD:△ABC\(=4^2:3^2=16:9\)となります。
ですので、\(△ABC=\displaystyle △ABD×\frac{9}{16}\)です。
以上からBE:ECが分かれば、問題の答えが求まるため、以下ではそれを求めていきます。
図の緑線で囲まれた部分に注目すると、「メネラウスの定理」が利用できそうです。
そうすると、AC:CDが分かれば、メネラウスの定理よりBE:ECの値が求まります。
AD:CDはどのようにして求めればよいでしょうか。
そうすると、「方べきの定理」が利用できるため、
\(BD^2=CD×AD\)より、\(CD=\displaystyle \frac{7}{2}\)と求まります。
よって、\(CD:AD=\displaystyle \frac{7}{2}:8=7:16\)です。
したがって、メネラウスの定理より、
$$\frac{AD}{CD}×\frac{OB}{AO}×\frac{EC}{BE}=\frac{16}{7}×\frac{1}{1}×\frac{EC}{BE}=1$$
\(BE:EC=16:7\)となります。
以上からを踏まえると、
\begin{eqnarray}
△OBE&=&△ABC×\frac{OB}{AB}×\frac{BE}{BC}\\
&=&△ABC×\frac{1}{2}×\frac{16}{23}\\
&=&△ABC×\frac{8}{23}\\
&=&△ABD×\frac{9}{16}×\frac{8}{23}\\
&=&△ABD×\frac{9}{46}
\end{eqnarray}
と求まります。
まとめ:[中学数学]正答率0.0%!2022秋田県「面積比」の問題を解説!
いかがでしたか。
今回は、2022年度秋田県の大問5の「円の総合問題」のうち、正答率が著しく低かった「面積比」の問題を解説しました。
円に関する便利な定理およびメネラウスの定理を駆使すれば、実は答えに辿り着ける問題でした。
数学は点差がつきやすい科目ですから、数学で差をつけたい受験生はこれらの定理を知っておくとよいでしょう。
引き続き、高校入試の過去問を解説していきますのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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