みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、2023年度千葉県公立高校入試「融合問題」(大問4)の解説していきます。
問題文が長く解きづらいと感じた受験生の方も多かったかと思いますが、
例年と比較してこの大問4は解きやすい問題でした。
この大問の(2)は、高校以降で学ぶ数学で重要となる考え方が実は問われています。
今回はこの大問の解説および、その考え方の核心の解説を行っていきます。
中学2年生の方でも解ける問題なので、ぜひ挑戦してみて欲しいと思います。
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
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問題の概要
今回解説する問題はこちらから参照できます。
(1)の解説
早速、解説に入っていきます。
(1)はしっかりと得点できることが望ましいです。
(a)の解説
AさんとBさんの各回で獲得する得点をまとめると以下のようになります。
この際、10ページに記載されている表を活用すると分かりやすいです。
1回目 | 2回目 | 3回目 | |
Aさんに入る得点 | -1 | 2 | 1 |
Bさんに入る得点 | 5 | -5 | -2 |
よって、3回目終了時におけるAさんの持ち点は、\((-1)+2+1=2\)点となります。
(b)・(c)の解説
Aが2回勝つ場合の勝ち方の組み合わせを樹形図を用いて整理してみましょう。
そうすると以下の樹形図が描けると思います。
よって、(b)には6が入ります。
3回のじゃんけんをし終わったときにAさんの持ち点が9点となるには、
上記の樹形図を踏まえると、「Aさんがパーを出して2回勝利し、Aさんがグーを出して1回負ける」ということしかあり得ません。
ですので、Bさんの最終的な持ち点は、\((-1)+(-1)+5=3\)点となります。
したがって、(c)には3が入ります。
(d)・(e)の解説
問題文に書いてあるように各回のじゃんけんでは、
「どちらかがグーで勝つ」・「どちらかがチョキで勝つ」・「どちらかがパーで勝つ」
のどれか1つが起こります。
そのため10回のじゃんけんを行うとき、\(a+b+c=10\)が成立しなければなりません。
この等式を\(c\)について解き、\(c=10-a-b\)を得ます。
これが(d)の答えです。
これを踏まえれば、
\begin{eqnarray}
M&=&(-1)×a+(-3)×b+4×(10-a-b)\\
&=&40-5a-7b
\end{eqnarray}
と求まります。
これが(e)の答えです。
(2)の解説
続いて、(2)の解説に入っていきます。
(e)の結果を踏まえると、\(5a+7b=40…(*)\)を満たす整数\((a,b,c)(0≦a,b,c≦10)\)の組を求めればよいことが分かります。
以下ではその解き方を考えてみましょう。
「1次不定方程式」の解き方
一般に、\(mx+ny=k\)(\(m,n,k\)は整数)の形をした方程式のことを「1次不定方程式」と呼びます。
「1次不定方程式」では\(m,n\)が互いに素(両者の最大公約数が1)の場合にのみ解が無数に存在することが知られています。
その下において、「1次不定方程式」は以下の手続きで解くことができます。
- \(mx+ny=k\)を満たす整数解\((x,y)=(x_0,y_0)\)を1つ見つける。
- \(mx+ny=k\)と\(mx_0+ny_0=k\)の辺々を引き算して整理し、
\(m(x-x_0)=n(y_0-y)\)を導く。 - \(m,n\)が互いに素であることから、整数\(j\)を用いて、
\(x-x_0=nj\)および\(y_0-y=mj\)が成立する。 - 3.の結果を式変形し、\(x=x_0+nj,y=y_0-mj\)を得る。
3.について、補足をします。
\(m(x-x_0)=n(y_0-y)\)について、この等式から、
- 左辺の\(m(x-x_0)\)は\(n\)で割り切れなけばならない
- 右辺の\(n(y_0-y)\)は\(m\)で割り切れなけばならない
ことがいえます。
\(m,n\)が互いに素であることを考えれば、
- \((x-x_0)\)は\(n\)で割り切れなけばならない
- \((y_0-y)\)は\(m\)で割り切れなけばならない
といえます。
例えば、\(2x=5y\)という1次不定方程式を考えます。
\(2,5\)は互いに素ですから、\(2x\)が5で割り切れるには\(x\)が5で割り切れなければなりません。
同様に考えて、\(5y\)が2で割り切れるには\(y\)が2で割り切れなければなりません。
ですので、\(x-x_0=nj\)および\(y_0-y=mj\)が成立する必要があるのです。
この解き方は大学入試でも難関大でたびたび問われる内容なので、ぜひ慣れていってほしいところです。
今解説した解き方で、(2)を解いていきましょう。
問題の解説
(*)を満たす解の1つとして、\((a,b)=(8,0)\)がすぐに見つかると思います。
(*)と\(5×8+7×0=40\)の辺々を引き算して整理すると、\(5(8-a)=7b\)を得ます。
よって整数\(j\)を用いると、\(8-a=7j\)および\(b=5j\)が成立します。
整理すると、\(a=8-7j\)および\(b=5j\)が得られます。
さて、\(0≦b≦10\)ですから、\(j=0,1,2\)です。
\(j=0\)のとき\((a,b,c)=(8,0,2)\)となり、\(j=1\)のとき\((a,b,c)=(1,5,4)\)となります。
\(j=2\)のとき、\(a<0\)となって不適です。
以上より答えとして、\((a,b,c)=(8,0,2),(1,5,4)\)が得られます。
まわりくどいように見えるかもしれませんが、この解き方は今後の学びで非常に重要になってくるのでいまのうちに慣れておきましょう。
まとめ:[中学数学]「不定方程式」の解き方をおさよう!2023年度千葉県公立高校入試「融合問題」を解説!
いかがでしたか。
今回は、2023年度千葉県公立高校入試「融合問題」(大問4)の解説しました。
問題文が長く圧倒された方もいるかと思いますが、例年と比較して解きやすい問題であったと感じます。
とはいえ問題文を正確に読解できないと答えを導けないので、慣れていないと難しい問題であったかもしれません。
また、(2)で問われている「1次不定方程式」は高校の学習でも出てきます。
いまのうちにこの解き方を覚えておくと、今後の学びがスムーズになると思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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