みなさんこんにちは、ゆーきゃんです!
中学理科の物理分野で、「力のつり合い」や「作用と反作用」を学習すると思いますが、これらを初学者は混同してしまいがちです。
これらは力学の語る上では、なくてはならない概念ですから、しっかりと理解することが大切です。
今回の記事では、それらについて詳しく解説していきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
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「作用と反作用」とは?
まずは「作用と反作用」の解説に入っていきます。
そもそも作用と反作用というのは、ニュートンが考案した「運動の第3法則」で述べられている概念です。
運動の第3法則では、
を主張しています。
これだけだとイメージしづらいので、下の例を用いて具体的に説明します。
この場合では、人が壁に力を及ぼしています。
ですので、人が壁を押す力が作用にあたりますね。
このとき、壁は人を同じ大きさで押し返します。この力が反作用となります。
「作用と反作用」は大きさが同じで正反対の向きですから、両者がつり合っているように感じるかもしれません。
しかし、「作用と反作用」と「力のつり合い」は異なる概念です。
両者の違いはどこにあるのでしょうか?
「力のつり合い」とは?
では、「力のつり合い」とは何でしょうか?
「力のつり合い」とは
をいいます。
力学(力や運動を研究する物理学の1領域)では、必ずどの物体に注目するのかを決定し、
注目する物体に働く力を洗い出して、その物体の運動を解析していきます。
(具体的には、高校で学習する運動方程式を立式するということです)
ですので、力のつり合いに関しても、どの物体に働く力がつりあうのかを考えているのです。
そのように考えれば、
ということになりますので、注意しましょう。
さて、以下のケースを考えてみましょう。
(問1)なめらかで水平な床の上に、物体を置いたところそれは静止した。このとき、つりあっている力を図示せよ。
この問題でもまずは何に注目するか決めましょう。
いま物体が床上で静止しているので、これに注目しましょう。
次に、物体に働く力を図示していきます。
このとき、
を意識してもらえれば、力を漏れなくあぶりだすことができます。
物体に働く力を図示すると、上記のようになり、重力と垂直抗力がつりあっていることが分かります。
「垂直抗力」とは接触している面から垂直に受ける力のことをいいます。
今後もよく出てくるワードなので、覚えておいてください。
ちなみに、重力と垂直抗力それぞれの反作用は以下のようになります。
垂直抗力の反作用は、「物体が床を押す力」になります。
では、重力の反作用は何でしょうか。
重力とは「地球が物体を引く力」ですから、その反作用は「物体が地球を引く力」となります。
ばねに関する問題
「作用と反作用」・「力のつり合い」についてこれまで解説してきました。
よく入試や定期テストで出てくる問題について考えていきましょう。
(問2)1Nの大きさで引っ張ると1cmのびるばねがある。このばねに1Nのおもりを以下のようにつるすといずれも静止した。このとき、(1)~(7)におけるばねののびを求めよ。なお、ばねの質量は無視する。
(1)の解説
(1)の解説に入ります。
まずばねの性質として、両側から力をかけないとのびないということをおさえましょう。
ですから、片側から力をかけてもばねは伸びたりしないのです。
今回のばねは、両側から1Nの力で引っ張ると1cmのびるといった方が適切です。
それを踏まえて、ばねに注目し、それに働く力を図示すると以下のようになります。
このとき、ばねは上下から1Nの大きさで引っ張られて静止するため、ばねは1cmのびます。
(2)の解説
(2)では下側にあるおもりを1つにまとめて考えると解きやすいです。
そう考えると、ばねには2Nのおもりがつるされることになるので、ばねののびは2cmとなります。
(3)・(4)の解説
まずは解きやすい(4)から解説します。
(4)のばねでは(1)と全く同じ力が働くため、このばねののびは1cmとなります。
次に(3)です。
(3)のばねには、ばねの質量は無視できるため、1Nのおもりが2つ吊るされているとみなすことができます。
よって、ばねののびは2cmとなります。
(5)・(6)の解説
続いて、(5)・(6)の解説です。
2つのばねの下部に質量が無視できる棒がつながれ、その中央におもりがつるされています。
いまこの棒が水平を保っていることに注意します。
棒が水平であるということは、(5)と(6)のばねののびは同じであるということです。
今回は棒とおもりを一体とみなし、これに注目します。
そうすると、それに働く力は以下のようになります。
この一体物には、ばねの弾性力(ばねがもとに戻ろうとする力)とおもりの重力が働きます。
いま、2つのばねののびが等しいから、それぞれのばねの弾性力も等しくなるので、
1つのばねにかかる力は、1/2 = 0.5N となります。
よって、(5)・(6)の答えはともに 0.5cm と求まります。
(7)の解説
最後に(7)です。
この場合も、ばねに働く力を図示してみましょう。
ばねの両端には1Nのおもりがつるされているため、両側からおもり1N分の力で引っ張られることになります。
これは結局、(1)の場合と全く同じですね。
ですから、ばねののびは 1cm となります。
浮力に関する問題
次に、浮力に関する問題について解説します。
問題に入る前に、浮力について説明します。
「浮力」とは?
そもそも浮力とは何でしょうか。
浮力は、アルキメデスの原理において、
と説明されています。
そのため、以下の図に示すように流体中の物体には重力と浮力が働きます。
浮力の大きさというのは、100gに働く力を重力の大きさを1Nとすると、
で求めることができます。
この公式は覚えてしまいましょう。
水圧は水深が深いほど大きくなるので、物体の上面と下面で圧力差が生じます。
この圧力差が浮力を生み出し、浮力の向きが上向きとなるのです。
さて、浮力に関する次の問題を考えてみましょう。
(問3)ビーカーに水を入れて電子てんびんで質量を測定したところ、500gとなった。このビーカーに質量100g, 体積50cm3 の物体を静かに落下させた。100gの物体に働く重力の大きさを1N、水の密度を1.0g/cm3 としたとき、
①物体がビーカーの底に到達したときにビーカーの質量を測ると、電子てんびんは何gを示すか。
②物体が水中を落下した直後にビーカーの質量を測ると、電子てんびんは何gを示すか。
①の解説
解説に入る前に、そもそも電子てんびんはどのような力を受けて質量を測定しているのでしょうか。
まず、(水+ビーカー)に注目して、それにかかる力を図示してみます。
このように、重力と垂直抗力が働いてきます。
電子てんびんは垂直抗力の反作用として、ビーカーが電子てんびんを押す力を受けます。
電子てんびんはこの力の大きさを計測して、質量をはかっているのです。
それを頭の片隅に入れて、①の解説に入っていきましょう。
このような問題では、流体中の物体と水+ビーカーという2つの物体に注目すると解きやすくなります。
それぞれに働く力を図示すると、次のようになります。
なお、浮力の大きさは
50[cm3] × 1.0[g/cm3] / 100[N/g] = 0.50[N] です。
まず、物体に関して、力のつり合いを考えて
ビーカーからの垂直抗力 = 重力 – 浮力 = 0.50N となります。
次に、水+ビーカーが受ける力のつりあいを考えます。
このとき、物体の浮力および物体がビーカーから受ける垂直抗力の反作用が下向きにかかることに注意しましょう。
力のつりあいを考え、
電子てんびんから受ける垂直抗力
= 重力 + 物体の浮力の反作用 + 物体がビーカーから受ける垂直抗力の反作用
= 6.0N となります。
よって、ビーカーが電子てんびんを押す力の大きさは6.0Nゆえ、600gを示します。
②の解説
続いて、②の解説です。
同様に、物体と水+ビーカーに働く力を図示すると、以下のようになります。
よって、
電子てんびんから受ける垂直抗力
= 重力 + 浮力の反作用 = 5.5N となるため、
電子てんびんは550gを示します。
まとめ:[中学理科]これで疑問解消!「力のつり合い」・「作用と反作用」の攻略!~ばね・浮力も解説~
いかがでしたか。今回の記事では、
- 力のつりあいと作用・反作用は1つの物体に働く力が打ち消し合うかどうかに注目しているか否かで異なっている
- 力のつりあいを考えるときは、注目する物体を決めて、重力そして反作用を含めた接触力を図示する
ことが主なポイントでした。
力に関しては分力などの概念もあり、そこを苦手とする学生さんも多いので、
次回はその解説を行っていきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
ご一読いただきありがとうございました。
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