[中学数学]「不等式」の扱い方をマスターしよう!2023年度早大学院「整数問題」を解説!

[中学数学]「不等式」の扱い方をマスターしよう!2023年度早大学院「整数問題」を解説!中学数学

みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。

今回は、2023年度早大学院で出題された「整数問題」を解説します。

この問題のテーマは「不等式評価」です。

中学数学ではあまり見かけないテーマかもしれません。

しかしながら、不等式評価をテーマとする入試問題もたびたび出題されています。

ですので、これを機に「不等式」の扱い方を習得してもらえればと思います。

また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。

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今回解説する問題の概要

今回は、2023年度早大学院で出題された大問4を解説します。

問題はこちらから参照できます。

<\(a\)>を不等式評価するとどうなる?

まずは具体的な考察から

この問題は\(y=2x+5\)の関係を満たす正の数\(x,y\)について、

<\(x\)>および<\(y\)>を不等式評価して答えを導けるかがテーマとなっています。

その足掛かりとしてまずは、正の数\(a\)に対して<\(a\)>を不等式評価することを考えてみます。

とはいえいきなりその評価をするのは難しいので、いつものように具体的なところから考えます

<\(a\)>=2となるとき、四捨五入して2になるような\(a\)の範囲は、\(1.5≦a<2.5\)となります。

<\(a\)>=3となるとき、四捨五入して3になるような\(a\)の範囲は、\(2.5≦a<3.5\)となります。

<\(a\)>=4となるとき、四捨五入して4になるような\(a\)の範囲は、\(3.5≦a<4.5\)となります。

このように考えていけば、\(N\)を正の整数として<\(a\)>=\(N\)となるとき、

\(\displaystyle N-\frac{1}{2}≦a<N+\frac{1}{2}\)…(*)

ということが分かります。

しかし、<\(a\)>を不等式評価するのがいまの目標なので、(*)を変形してゆく必要があります。

以下ではこの不等式の変形を行ってゆきます。

不等式を変形する上でのポイント

不等式を変形してゆく際は以下のことに注意しましょう。

  • 不等式を解く際は、方程式を解くときとほとんど一緒である
  • 不等式の各辺に同じ数を足すときは、不等号の向きは変わらない
  • 不等式の各辺に負の数を掛け算するとき、不等号の向きが反転する

まず(*)の各辺をマイナス倍します。

このとき、不等号の向きが反転するので、以下のようになります。

$$\displaystyle -N-\frac{1}{2}<-a≦-N+\frac{1}{2}$$

そして、各辺に\(N\)を加えると以下のようになります。

このとき、不等号の向きが反転しないことに注意します。

$$\displaystyle -\frac{1}{2}<N-a≦\frac{1}{2}$$

各辺に\(a\)を加え、<\(a\)>=\(N\)ですから、目標とする不等式を得ます。

このときも不等号の向きが反転しないことに注意しましょう。

\(\displaystyle a-\frac{1}{2}<<a>≦a+\frac{1}{2}\)…(**)

(**)をもとに(1)~(3)の問題を考えます。

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(1)の解説

(**)を利用すると、\(y=2x+5\)の関係式が成り立っているので、

\(\displaystyle y-\frac{1}{2}<<y>≦y+\frac{1}{2}\)

\(\displaystyle (2x+5)-\frac{1}{2}<<y>≦(2x+5)+\frac{1}{2}\)…①

を得ます。

さて、\(<x>=1\)なので、\(\displaystyle \frac{1}{2}≦x<\frac{3}{2}\)…②が成り立ちます。

①・②より、

\begin{gather}
\displaystyle (2×\frac{1}{2}+5)-\frac{1}{2}<<y><(2×\frac{3}{2}+5)+\frac{1}{2}\\
\displaystyle 5.5<<y><8.5…③
\end{gather}

を得ます。

ここで、①の左側にある不等号にイコールがついていないので、③の左側においても不等号にイコールがつかないことに注意しましょう。

\(<y>\)は整数となるので、③を満たす整数を列挙すると、\(<y>=6,7,8\)となります。

(2)の解説

(*)を利用すると、

\(\displaystyle x-\frac{1}{2}<<x>≦x+\frac{1}{2}\)…④

を得ます。

④の両辺を-2倍して、\(\displaystyle -2x-1≦-2<x><-2x+1\)…④’が得られます。

①と④’の辺々を足し合わせて、

\begin{gather}
\displaystyle (2x+5)-\frac{1}{2}-2x-1<<y>-2<x><(2x+5)+\frac{1}{2}-2x+1\\
\displaystyle 4-\frac{1}{2}<<y>-2<x><6+\frac{1}{2}…⑤
\end{gather}

を得ます。

ここで、①の左側にある不等号にイコールがついていないので、④の左側においても不等号にイコールがつかないことに注意しましょう。

⑤より、\(<y>-2<x>\)は整数ゆえ、\(<y>-2<x>=4,5,6\)となります。

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(3)の解説

④の各辺を2倍して、\(2x-1<2<x>≦2x+1\)…⑥を得ます。

①と⑥の辺々を足し合わせ、\(<y>+2<x>=30\)を踏まえると、

\(\displaystyle (2x+5)-\frac{1}{2}+(2x-1)<<y>+2<x>≦(2x+5)+\frac{1}{2}+(2x+1)\)

\(\displaystyle 4x+\frac{7}{2}<30≦4x+\frac{13}{2}\)…⑦

となります。

⑦の左側の不等式を解くと、

\begin{gather}
\displaystyle 4x+\frac{7}{2}<30\\
\displaystyle 4x<30-\frac{7}{2}=\frac{53}{2}\\
\displaystyle x<\frac{53}{8}…⑧
\end{gather}

続いて、⑦の右側の不等式を解くと、

\begin{gather}
\displaystyle 30≦4x+\frac{13}{2}\\
\displaystyle 30-\frac{13}{2}=\frac{47}{2}≦4x\\
\displaystyle \frac{47}{8}≦x…⑨
\end{gather}

⑧および⑨より、\(\displaystyle \frac{47}{8}≦x<\frac{53}{8}\)となります。

\(y=2x+5\)であり、\(\displaystyle x=\frac{y-5}{2}\)となるので、

\begin{gather}
\frac{47}{8}≦\frac{y-5}{2}<6+\frac{53}{8}\\
\frac{47}{4}≦y-5<\frac{53}{4}\\
\frac{47}{4}+5≦y<\frac{53}{4}+5\\
16+\frac{3}{4}≦y<18+\frac{1}{4}
\end{gather}

を得ます。

これにより、\(<y>=17,18\)のいずれかとなります。

\(<y>=30-2<x>=2(15-<x>)\)ですから、\(<y>\)は偶数である必要があります。

したがって、\(<y>=18\)と決まります。

\(<y>=18\)となるような\(y\)の最小値は\(\displaystyle \frac{35}{2}\)なので、

取り得る\(x\)の最小値は\(\displaystyle \frac{35}{2}=2x+5\)を解いて、\(\displaystyle x=\frac{25}{4}\)となります。

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まとめ:[中学数学]「不等式」の扱い方をマスターしよう!2023年度早大学院「整数問題」を解説!

いかがでしたか。

今回は、2023年度早大学院で出題された「整数問題」を解説しました。

不等式評価に慣れておらず、戸惑った方も多いかもしれません。

「整数問題」では不等式評価が強力な武器となり得るので、難関校を目指される方はぜひこの扱いに慣れていってもらいたいと思います。

引き続き過去問等を解説していきますのでお楽しみに。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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