みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、灘高校で出題された「三角形の相似の証明問題」を解説していきます。
今回解説する問題は不思議な点の取り方をしていますが、それが証明を行うにあたって重要な役割を果たしています。
行き詰ったときは発想を転換し、見方を変えると何か新しいことが見えてくるかもしれません。
意表を突く良い問題ですから、ぜひ考えてみてください。
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
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問題の概要
今回解説する問題はこちらから参照できます。
問題の解説
早速、問題の解説に入っていきましょう。
(1)の解説
三角形の相似を示す問題ですが、たいていの場合「2組の角がそれぞれ等しい」という相似条件を用いることが多いです。
しかしながら、この問題では角度に関して、∠POBを2つの三角形が共有していること以外の情報がありません。
そのため、その相似条件を適用させようとすると頓挫してしまいます。
そこで、発想を転換して、違う相似条件を適用できないかを考えてみます。
いま線分の長さに関して情報が得られており、\(OA=l(0<l<1)\)とすると、\(OB=\displaystyle \frac{1}{l}\)となりますから、
OB:OP=\(\displaystyle \frac{1}{l}:1=1:l=\)OP:OAつまり、OB:OP=OP:OAが成り立ちます。
よって、「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」ので、△OPBと△OAPが相似であるといえます。
これまでの内容を証明にまとめると以下のようになります。
(証明)
△OPBと△OAPにおいて、
共通の角なので、∠POB=∠AOP…①
\(OA=l(0<l<1)\)とすると((2)・(3)の証明に現れる\(l\)もこれを表すものとする)、
OB:OP=\(\displaystyle \frac{1}{l}:1=1:l=\)OP:OA
つまり、OB:OP=OP:OAが成り立つ。…②
①・②より、2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいので、
△OPB∽△OAP
(Q.E.D.)
(2)の解説
PCが∠APBの二等分線であることを示す問題です。
角の二等分線といえば、「角の二等分線定理」をまず想起したいところです。
(1)の結果より、PA:PB=OP:OB=\(\displaystyle 1:\frac{1}{l}=l:1\)となることが分かります。
また以下の図より、AC:CB=\(\displaystyle (1-l):(\frac{1}{l}-1)=l:1\)が成立します。
よって、角の二等分線の逆から、∠APC=∠BPCがいえます。
これまでの内容を証明にすると以下のようになります。
(証明)
(1)より、PA:PB=OP:OB=\(\displaystyle 1:\frac{1}{l}=l:1\)…①
また、AC:CB=\(\displaystyle (1-l):(\frac{1}{l}-1)=l:1\)…②
①・②より、PA:PB=AC:CB
よって、角の二等分線定理の逆より、∠APC=∠BPC
(Q.E.D.)
(3)の解説
複雑な状況設定ですが、図に1つ1つ情報を整理していきましょう。
この問題でも、相似条件として「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」を適用するのではないかとあたりをつけて考えてみることにしましょう。
点DはPQに関して点Aと対称な位置にあるので、PA=PDおよび∠APQ=∠DPQが成り立ちます。
そのため、DP:PB=AP:PB\(=l:1\)…(a)がいえます((1)より△OPB∽△OAPなので)。
また、(2)より∠APC=∠CPBであるので、
∠BPD=∠APQ+∠DPQ+∠APC+∠CPB=2(∠APQ+∠CPA)と表すことができます。
次に、円周角の定理より、∠BOQ=2(∠APQ+∠CPA)が成り立ちます。
よって、∠BPD=∠BOQ…(b)がいえますね。
また、OP=OQ=1であることも分かりますので、
QO:OB=OP:OB\(=l:1\)…(c)がいえます((1)より△OPB∽△OAPなので)。
以上から、(a)~(c)より「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」ので2つの三角形が相似であるといえます。
これまでの内容を証明にすると以下のようになります。
(証明)
△DPBと△QOBにおいて、
仮定より、PA=PD…①
仮定より、∠APQ=∠DPQ…②
(1)と①より、DP:PB=AP:PB\(=l:1\)…③
(2)と②より、
∠BPD=∠APQ+∠DPQ+∠APC+∠CPB=2(∠APQ+∠CPA)…④
円周角の定理より、∠BOQ=2(∠APQ+∠CPA)…⑤
④・⑤より、∠BPD=∠BOQ…⑥
OPおよびOQは円\(K\)の半径ゆえ、OP=OQ=1であるから、
(1)より、QO:OB=OP:OB\(=l:1\)…⑦
③・⑥・⑦より、2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいので、
△DPB∽△QOB
(Q.E.D.)
まとめ:[中学数学]「あの」条件を活用する証明問題!灘高校で出題された「三角形の相似の証明問題」を解説!
いかがでしたか。
今回は、灘高校で出題された「三角形の相似の証明問題」を解説しました。
盲点となる「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」という相似条件を適用することに気づければ、解答方針が立ちやすかったかと思います。
やはり行き詰ったときこそ発想を転換し、見方を変えることを意識したいです。
今後も過去問等を解説していきますので、お楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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