みなさんこんにちは、Yutaです。
今回は、「順列」・「組み合わせ」の使い分けについて解説します。
私自身、高校で数学Aの授業を担当しておりますが、両者の使い分けに悩む生徒さんは非常に多いです。
しかし、そもそもの「場合の数」に対する本質を理解していれば、おのずとどうすべきかが見えてきます。
そこで、「順列」・「組み合わせ」の使い分けの仕方とその背景にある「場合の数」の本質について説明していきます。
「樹形図」を用いた考え方
本題に入る前に、次の問いを考えてみてください。
クレヨンしんちゃんに登場する、野原ひろし・みさえ・しんのすけ・ひまわりは毎晩川の字になって寝ている。
このとき、4人の並び方は何通りあるか。
中学生で学んだことを思い出してみてください。
でしたね。
では、そのルールに則って、樹形図を書いて考えてみましょう。
そうすると以下のような樹形図ができるはずです。
この樹形図から、すべてで24通りだということが分かります。
場合の数を求める際は、「樹形図」を描けば間違いなくすべてを網羅できるはずです。
今回は4人の並び方を考えましたが、これが5人・6人・7人・・・と増えてゆくと、樹形図をかくのがしんどくなってきます。
では、そのようなケースで上手く効率的に数える方法はないのでしょうか?
「順列」とは何か?
先ほどの例題を用いて、上手く効率的に数える方法を考えます。
一番左を「ひろし」に固定した場合の樹形図を見てみましょう。
そうすると、左から2番目は3通りに分岐します。
次に左から3番目に注目すると、それより左側のそれぞれの並び方に対して2通りに分岐します。
最後に左から4番目に注目すると、それより左側のそれぞれの並び方に対して1通りに分岐します。
よって、左から1番目を固定した場合、3×2×1通りの並び方が考えられるわけです。
また左から1番目には4通りの可能性があり、先ほどの樹形図に注目すると、全く同じ形をした樹形図が4つできることが分かります。
以上から、4人の並び方というのは、4×3×2×1=24通りと求めることができます。
実はこの考え方こそが、「順列」そのものなのです。
ここで、公式です。
異なる\(n\)個の中から、\(r\)個を選び、1列に並べる順列の総数は以下のようになります。
このとき、\(n\)をスタートとして、連続する\(r\)個の整数を掛け算するのがポイントです。
ですので、10人の中から3人選び、その3人を1列に並べるときの場合の数は、
\({}_{10} P_3=10×9×8=720\)通りと求めることができます。
なお、
と書くことも今後増えてゆきますので、こちらも覚えておきましょう。
これを「階乗」といいます。
「組み合わせ」とは何か?
さて、次の問いを考えてみてください。
食後のデザートとして、いちご・メロン・パイナップル・キウイの4種類から3つ選ぶ。
このとき、考えられる組み合わせは何通りあるか。
場合の数を考えるときは、冒頭で説明したように「樹形図」が基本です。
今回も樹形図を書いて考えましょう。
そうすると、24通りだと分かります。
先ほどの順列の公式を利用して、\({}_{4} P_3=4×3×2=24\)通りと求めることももちろんできます。
今回の問題では、あくまでも「組み合わせ」に注目しているため、選んだフルーツをどの順番で食べるかは考える必要がありません。
そうすると、例えば、「キウイ-メロン-いちご」と「メロン-キウイ-いちご」は区別する必要がないのです。
(キウイ,メロン,いちご)を食べる場合について、その食べ方の順番に関して順列の公式を用いれば、
\({}_{3} P_3=3!=3×2×1=6\)通りあるわけです。
どの3つのフルーツの組み合わせに対しても、選んだフルーツの食べ方は\(3!\)通りありますので、
今回の問題の答えは\(\displaystyle \frac{{}_{4} P_3}{3!}=4\)通りとなります。
ここで用いた考え方によって、\({}_{n} C_r\)が導かれるのです。
異なる\(n\)個の中から、\(r\)個を選ぶ組み合わせの総数は以下のようになります。
例えば、異なる10個のものから3つを選ぶ組み合わせは、\(\displaystyle {}_{10} C_3=\frac{10×9×8}{3×2×1}=120\)通りとなります。
「順列」・「組み合わせ」はどう使い分ける?
これまで、「順列」と「組み合わせ」の定義について説明してきました。
場合の数の問題で、両者を使い分ける際は、
のがポイントです。
ここで、例題を見てみましょう。
次の問に答えよ。
(1)30人のクラスから、2人の学級委員を選出する。このとき、学級委員の選び方は何通りか。
(2)(1)において、選んだ学級委員の片方を学級委員長に、もう片方を副学級委員長に任命する。これは何通りあるか。
(1)の解説
30人から2人を選べばよいだけですから、選んだ2人の並べ方を気にする必要はありません。
したがって、「組み合わせ」を用いればよいことになります。
よって、答えは\(\displaystyle {}_{30} C_2=\frac{30×29}{2×1}=435\)通りとなります。
(2)の解説
(2)が少し厄介ですね。
(2)の問題を次のように解釈してみるとどうでしょうか?
30人から学級委員の2人を選び、その2人を1列に並べて、左にいる人を学級委員長に、もう片方を副学級委員長に任命する。
このように解釈すれば、2人の並べ方を気にすることになります。
したがって、「順列」で計算するとよいです。
よって、答えは\({}_{30} P_2=30×29=870\)通りとなります。
一見してどちらを用いるべきか判断に困る場合は、並べ方と対応づけて考えることはできないかを検討しましょう。
まとめ:[高校数学]もう迷わない!「順列」・「組み合わせ」の使い分けを解説!
いかがでしたか。
今回は、「順列」・「組み合わせ」の使い分けについて解説しました。
両者の使い分けについては、
がポイントでした。
もし判断に困るときは、並べ方と対応づけて考えることはできないかを検討するとどうすべきかが見えてきます。
引き続き、解説を行っていきますのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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