みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回の記事では、「地震の計算問題」について解説していきます。
地震の計算問題を苦手とする人も多々いらっしゃるかと思います。
しかし、この問題は入試においてしばしば出題されます。
とはいっても、コツをつかめれば十分に対応可能なので、頑張っていきましょう。
「地震の計算問題」の解き方のコツ
早速、地震の計算問題の解き方のコツについて解説します。
この問題を解くときは、次のことに気を付けましょう。
基本的には、P波とS波の速さを求める方針でよいかと思います。
もしP波とS波の速さを求められそうにないときは、2つ目の「比を用いたやり方」をとるとよいでしょう。
また余談ですが、これらの比が等しくなる理由を説明します。
いま、P波の速さを\(V_P\)[km/秒], S波の速さを\(V_S\)[km/秒]とおきます。
このとき、次のような結果が得られたとします。
地点A | 地点B | |
震源からの距離[km] | \(L_A\) | \(L_B\) |
地震発生からP波が到達するまでの時間[秒] | \(t_A^P\) | \(t_B^P\) |
地震発生からP波が到達するまでの時間[秒] | \(t_A^S\) | \(t_B^S\) |
初期微動継続時間[秒] | \(t_A^S-t_A^P\) | \(t_B^S-t_B^P\) |
このとき、\(L_A=V_Pt_A^P=V_St_A^S ,L_B=V_Pt_B^P=V_St_B^S\)が成り立ちますから、
\begin{eqnarray}
L_A:L_B&=&V_Pt_A^P:V_Pt_B^P\\
&=&t_A^P:t_B^P
\end{eqnarray}
および、
\begin{eqnarray}
L_A:L_B&=&V_St_A^S:V_St_B^S\\
&=&t_A^S:t_B^S
\end{eqnarray}
より、(地震発生から各波が到達するまでの時間の比)=(各地点における震源からの距離の比)となることが分かります。
また、
$$t_A^P=\frac{L_A}{V_P},t_A^S=\frac{L_A}{V_S},t_B^P=\frac{L_B}{V_P},t_B^S=\frac{L_B}{V_S}$$
となりますから、
\begin{eqnarray}
(t_A^S-t_A^P):(t_B^S-t_B^P)&=&(\frac{L_A}{V_S}-\frac{L_A}{V_P}):(\frac{L_B}{V_S}-\frac{L_B}{V_P})\\
&=&L_A(\frac{1}{V_S}-\frac{1}{V_P}):L_B(\frac{1}{V_S}-\frac{1}{V_P})\\
&=&L_A:L_B
\end{eqnarray}
より、(各地点における初期微動継続時間の比)=(各地点における震源からの距離の比)が成り立ちます。
P波とS波の速さを求めるパターンの例題
P波とS波の速さを求めるパターンの問題に挑戦してみましょう。
(問1)ある時刻に発生した地震に関して、次のデータが得られた。
このとき、この地震の発生時刻および震源から32km離れた地点Cでの初期微動継続時間を求めよ。
なお、P波およびS波の速さは常に一定であるとする。
A | B | C | D | E | |
震源からの距離[km] | 16 | 24 | 32 | 64 | 88 |
P波の到達時刻 | 午前0時10分23秒 | – | 午前0時10分29秒 | ||
S波の到達時刻 | – | 午前0時10分27秒 | – | – | 午前0時10分43秒 |
まず定石通り、P波とS波の速さを求めましょう。
地点AとDに注目すると、両者は 64-16=48[km] 離れており、両者のP波の到達時刻の差をとると6秒となるので、
P波の速さは 48÷6=8[km/秒] です。
続いて、地点BとEに注目すると、両者は 88-24=64[km] 離れており、両者のQ波の到達時刻の差をとると16秒となるので、
P波の速さは 64÷16=4[km/秒] です。
よって、地点Aは震源から16km離れているので、地震の発生からP波が伝わるまで 16÷8=2[秒]ですから、
地震の発生時刻は地点AにおけるP波の到達時刻から2秒さかのぼればよいので、午前0時10分21秒となります。
続いて、地点Cにおける初期微動継続時間について考えていきましょう。
この問いに関しては、P波とS波の到達時刻を考えるとすぐに求まります。
P波が到達する時刻は、P波が地点Cに到達するまでに 32÷8=4[秒] かかることより、午前0時10分25秒です。
S波が到達する時刻は、S波が地点Cに到達するまでに 32÷4=8[秒] かかることより、午前0時10分29秒です。
以上から、初期微動継続時間は4秒となります。
比を利用して求めるパターンの例題
次に、比を利用して求めるパターンの例題についてみていきましょう。
(問2)ある時刻に発生した地震に関して、以下のデータが得られた。このとき、地震の発生時刻を求めよ。
地点A | 地点B | |
P波の到達時刻 | 午前1時32分13秒 | 午前1時32分20秒 |
S波の到達時刻 | 午前1時32分18秒 | 午前1時32分32秒 |
先ほどの説明の通り、(各地点における初期微動継続時間の比)=(各地点における、発生時刻から、P波あるいはS波が到達するまでの時間の比)となります。
初期微動継続時間は、P波の到達時刻とS波の到達時刻の差を取り、地点Aでは5秒・地点Bでは12秒となります。
ここで、P波が地震の発生から地点Aに到達するまでの時間を\(T\)とすると、
P波が地震の発生から地点Bに到達するまでの時間は\((T+7)\)となり、いまの比の関係を用いれば、
\(5:12=T:(T+7)\)が成立します。
これを解いて、\(T=5\)[秒]得ます。
よって、地点AにおけるP波の到達時刻を5秒さかのぼり、地震の発生時刻は午前1時32分8秒となります。
なお、P波でなくS波で考えても同じように解けます。
まとめ:[中学理科]これで解ける!「地震の計算問題」の考え方を丁寧に解説
いかがでしたか。今回の記事では、
- 距離および観測時刻から、P波とS波の速さを求める。
- (各地点における初期微動継続時間の比)
=(各地点における震源からの距離の比)
=(各地点における、発生時刻から、P波あるいはS波が到達するまでの時間の比)
がポイントでした。
地震の計算問題が出てきたらこれらを意識すれば、基本的にはどんな問題でも対応できます。
次回は実際に出題された問題を解説してゆくので、お楽しみに。
ご一読いただきありがとうございました。
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