みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
以前は原子と分子の違いについて解説しました。
今回の記事のテーマは、「化学反応式」です。
化学反応式の係数を合わせるのに苦労する方も多いかと思います。
そこで今回は、絶対に失敗しない化学反応式の合わせ方について解説していきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
化学反応式の係数の合わせ方
化学反応式の係数の合わせ方には、「目算法」と「未定係数法」の2つがあります。
化学反応式の係数を合わせるときは、
とよいです。
また、どちらの方法においても
ことを忘れないでください。
早速、これら2つの係数の合わせ方について解説します。
「目算法」とは?
「目算法」は学校で習う化学反応式の係数の合わせ方です。
例えば、メタンの燃焼の化学反応式を考えてみましょう。
この化学反応式は、以下のように表せます。
CH4 + O2 → CO2 + H2O
この反応式の係数を合わせていきましょう。
まず、化学反応式の両辺で各原子の個数がそろっているか確認します。
- C原子…左辺1個、右辺1個
- H原子…左辺4個、右辺2個
- O原子…左辺2個、右辺3個
となっており、C原子以外は個数がそろっていないので、これらの個数を合わせていきます。
O原子に注目すると考えづらいので、H原子に注目し、この個数を合わせていきます。
H原子を合わせるために、右辺のH2Oの係数を2にします。
CH4 + O2 → CO2 + 2H2O
となりますが、ここで各原子の個数を確認すると、
- C原子…左辺1個、右辺1個
- H原子…左辺4個、右辺4個
- O原子…左辺2個、右辺4個
となります。
今度は左辺のO原子の個数が足りないので、左辺のO2の係数を2にします。
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
これで両辺で各原子の個数がそろったので、化学反応式は完成となります。
「未定係数法」とは?
続いて、「未定係数法」についてみていきましょう。
未定係数法を用いるときは以下の手順を踏むようにしましょう。
例えば、炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式を考えてみましょう。
NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
この反応式における各物質の係数を文字で置きます。
\(a\)NaHCO3 → \(b\)Na2CO3 + \(c\)H2O + \(d\)CO2
次に、各原子の個数に関して方程式を立てると次のようになります。
- Na原子の個数に関して、\(a=2b\)
- H原子の個数に関して、\(a=2c\)
- C原子の個数に関して、\(a=b+d\)
- O原子の個数に関して、\(3a=3b+c+2d\)
ここで、仮に\(a=1\)とすると、
$$(a,b,c,d)=(1,\frac{1}{2},\frac{1}{2},\frac{1}{2})$$
を得ます。
ここで、係数に分数が混じっているので、2をかけて分母を払うと、
$$(a,b,c,d)=(2,1,1,1)$$
となります。
よって、炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式は以下のようになります。
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
未定係数法を用いればどんな問題でも解けますが、計算量が多くなるので、まずは目算法で対応してみることが大切です。
例題演習
これまでのおさらいとして、次の問題に挑戦してみましょう。
(問)次の各化学反応式の係数を決定し、完成させよ。
(1)CuO + C → Cu + CO2
(2)C3H6 + O2 → CO2 + H2O
(3)HNO3 + Ca(OH)2 → Ca(NO3)2 + H2O
(1)の解説
(1)は酸化銅(Ⅱ)の炭素による還元の化学反応式を表しています。
原則通り、目算法で解いてみます。
O原子以外は両辺で個数がそろっているので、この数を合わせます。
このとき、O原子が左辺に1個、右辺に2個ある状況になるので、
酸化銅(Ⅱ)の係数を2としてその個数を合わせます。
2CuO + C → Cu + CO2
そうすると、Cu原子が左辺では2個、右辺では1個となるので、右辺の銅の係数を2にします。
2CuO + C → 2Cu + CO2
これで両辺で各原子の個数がそろうので、完成です。
(2)の解説
(2)はプロピレンの燃焼の化学反応式です。
こちらも原則通り目算法で解いていきます。
各原子ともに両辺で個数が揃っていないので、まずC原子の個数を合わせます。
そのため、右辺の二酸化炭素の係数を3とします。
C3H6 + O2 → 3CO2 + H2O
続いて、H原子の個数を合わせるために、右辺の水の係数を3にします。
C3H6 + O2 → 3CO2 + 3H2O
これでC原子とH原子の個数が両辺でそろいました。
残りのO原子に関しては、左辺は2個、右辺は9個となります。
ここで、個数を合わせるために、左辺の酸素の係数を\(\frac{9}{2}\)にしてみます。
C3H6 + \(\frac{9}{2}\)O2 → 3CO2 + 3H2O
化学反応式の係数はすべて正の整数でないといけないため、両辺に2をかけて分母を払います。
2C3H6 + 9O2 → 6CO2 + 6H2O
となって化学反応式が完成します。
ここで、
ことがポイントです。
これも覚えておくとよいでしょう。
(3)の解説
(3)は硝酸と水酸化カルシウムの中和の化学反応式です。
目算法でやるのは厳しそうなので、未定係数法で解いてみます。
まず、各物質の係数を文字で置きます。
\(a\)HNO3 + \(b\)Ca(OH)2 → \(c\)Ca(NO3)2 + \(d\)H2O
続いて、各原子の個数に関して方程式を立てます。
- H原子に関して、\(a+2b=2d\)
- N原子に関して、\(a=2c\)
- O原子に関して、\(3a+2b=6c+d\)
- Ca原子に関して、\(b=c\)
となりますね。
いま、\(b=1\)とおいてみると、上記の方程式から\((a,b,c,d)=(2,1,1,2)\)を得ます。
よって、完成した化学反応式は次のようになります。
2HNO3 + Ca(OH)2 → Ca(NO3)2 + 2H2O
この問題では次のような別解があります。
硝酸は酸なので、電離すると次のイオン反応式が成り立ちます。
HNO3 → H+ + NO3–
また、水酸化カルシウムはアルカリ(塩基)なので、電離すると次のイオン反応式が成り立ちます。
Ca(OH)2 → Ca2+ + 2OH–
中和反応では電離後、H+とOH–が結びつき、その他のイオンを結びつきます。
そうすると、硝酸のイオン反応式の各係数を2倍するとH+とOH–の個数がそろいます。
よって、各イオン反応式を足し合わせて、
2HNO3 → 2H+ + 2NO3
+) Ca(OH)2 → Ca2++ 2OH–2HNO3 + Ca(OH)2 → Ca(NO3)2 + 2H2O
を得ます。
まとめ:[中学理科]絶対に失敗しない「化学反応式」の係数の合わせ方を解説!
いかがでしたか。
今回の記事では、「化学反応式の係数の合わせ方」について解説しました。
まずは目算法でやってみて、無理そうなら未定係数法で解いていくとよいと思います。
化学反応式の係数決定にはある程度慣れも必要なので、教科書に載っている反応式を自分で係数を合わせて訓練してみるとよいのではないでしょうか。
是非参考にしてみてください。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
ご一読いただきありがとうございました。
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