みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、「イオンと電気分解」に関する発展問題を解説していきます。
「電気分解」に関する問題も難関校ではよく出題されます。
ですので、この分野に関しても問題演習を行っていくことが大切です。
それでは、早速やっていきましょう。
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【Ⅰ】の解説
【Ⅰ】では、「電気分解における量的関係」がテーマとなっています。
高校化学では電子が1.0[mol](\(=6.02×10^{23}\)個)集まったとき、それの持つ電気量が96,500[C]となることを学習します(これを「ファラデー定数」といいます)。
今回の問題ではファラデー定数に相当する「電子1個のもつ電気量」を算出し、それをもとに電気分解で発生する銅や塩素の質量を求めさせる構成となっています。
問1の解説
塩化銅(Ⅱ)を水に溶かすと、「銅(Ⅱ)イオン」と「塩化物イオン」に電離するため、
CuCl2 → Cu2+ + 2Cl–
となります。
問2の解説
陰極では「銅の析出」が起こるため、これを半反応式で表すと、
Cu2+ + 2e– → Cu
となります。
問3の解説
図1より、電気分解で発生した銅の質量は3.2[g]と分かります。
質量保存の法則より、発生した塩素の質量は、6.8 – 3.2 = 3.6[g]となります。
問4の解説
塩化銅(Ⅱ)の電気分解の化学反応式および、反応に関わった粒子の個数、各物質の質量をまとめると以下のようになります。
CuCl2 | → | Cu | + | Cl2 | |
粒子の個数 | \(N\) | \(N\) | \(N\) | ||
質量[g] | 6.8 | 3.2 | 3.6 |
塩素分子は2個の塩素原子が結びついていることに注意して、この表から以下のことが分かります。
- 銅原子は\(N\)個で3.2[g]
- 塩素分子は\(N\)個で(塩素原子\(2N\)個で)3.6[g]であるため、塩素原子\(N\)個は3.6÷2=1.8[g]
以上より、
銅と塩素原子の質量比は、3.2:1.8=16:9と求まります。
問5の解説
問4の電気分解の化学反応式より、生成される銅の原子数は\(N\)です。
問2の半反応式において、反応に関わるイオンや電子の個数をまとめると以下のようになります。
Cu2+ | + | 2e– | → | Cu | |
粒子の個数 | \(N\) | \(2N\) | \(N\) |
また、電気量[C]=電流の大きさ[A]×時間[s]より、
回路を流れた電気量は、9.65[A]×1,000[s]=9,650[C]となります。
この電気量が電子\(2N\)個分に相当するため、電子1個あたりの電気量は、
$$\frac{9650}{2N}=\frac{4825}{N}[C]$$
となります。
問6の解説
(イ)の解説
化学変化の量的関係の問題では、
ことが鉄則でした。
そうすると、問3より電気分解によって生成される「銅」と「塩素」の質量比は、
銅 : 塩素 = 3.2 : 3.6 = 8 : 9
です。
表1より、発生した塩素の質量は5.4[g]を超えることはないため、電気分解が完全に進行すると塩素は5.4[g]発生することが分かります。
よって、求める銅の質量を\(x\)[g]として、
\begin{gather}
8:9=x:5.4\\
x=4.8[g]
\end{gather}
と求まります。
(ロ)の解説
回路には一定の大きさの電流が流れるため、銅と同じように、発生する塩素の質量と電気分解を行った時間は比例します。
よって、求める時間を\(t\)[s]として、①の結果を用いて、
\begin{gather}
400:1.44=t:5.4\\
t=1500[s]
\end{gather}
となります。
(ハ)の解説
問4において、銅原子が\(N\)個で3.2[g]となるため、
銅の質量が4.8[g]であるとき、それに含まれる銅原子の個数は、
$$\frac{4.8}{3.2}N=\frac{3}{2}N$$
です。
問5の半反応式より、(銅原子の個数):(電子の個数)=1:2で反応するため、回路に流れた電子の個数は
$$\frac{3}{2}N×2=3N$$
です。
ここで回路に流れた電流の大きさを\(I\)[A]とし、問5を用いて回路に流れた電気量に関して以下の方程式が成り立ちます。
$$I×1500=\frac{4825}{N}×3N$$
これを解き、\(I=9.65\)[A]と求まります。
【Ⅱ】の解説
【Ⅱ】では、前半は「電気分解の結果によるイオン化傾向の順序推定」を、後半は「水酸化ナトリウムの工業的製法」をテーマとした問題です。
電解質水溶液の種類を変えると、陰極で生じる物質は変わっていきます。
その背景には「イオン化傾向」があり、電気分解の結果を通じて各元素の陽イオンのなりやすさを考察させる問題となっています。
また、「水酸化ナトリウムの工業的製法」に関しては食塩水の電気分解が応用されています。
与えられた条件から、生成される水酸化ナトリウムの質量の理論値を「電子1個のもつ電気量」を用いて算出する問題となっています。
しかし【Ⅱ】に書かれている情報のみではそれを算出できず、【Ⅰ】での結果や原子の質量比も用いて複合的に思考する力が問われています。
問7の解説
≪実験1≫では、ナトリウムイオンが電子と結びつかず、銅・銀が電子と結びついたことが分かります。
陽イオンのなりやすさを考えるとき、
「陽イオンになりやすい」=「一度陽イオン化すると、電子と結びつきにくい」
ということを意味するので、陽イオンのなりやすさを考えると、「ナトリウム>銅・銀」となります。
≪実験2≫では水溶液中には陽イオンとして、塩酸から電離して放出された「水素イオン」と塩化銅(Ⅱ)の電離によって生じた「銅(Ⅱ)イオン」が存在します。
電気分解を行うと銅がまず発生したため、陽イオンのなりやすさは、「水素>銅」となります。
同様に考えれば、≪実験3≫からは、陽イオンのなりやすさは「ナトリウム>水素」と分かります。
≪実験4≫からは、陽イオンのなりやすさは「銅>銀」と分かります。
以上から、答えは「ナトリウム・水素・銅・銀」の順番になります。
問8の解説
問7の結果より、陽イオンのなりやすさは「銅>銀」です。
よって、銅板と銀板を用いて電池を作るとき、銅が陽イオン化(電子を放出)します。
そうすると、電流は電子と逆向きに流れるので、答えは「銀板から銅板」となります。
問9の解説
965[A]の電流を100,000[s]流すと、電気量の大きさは965×100,000[C]となるため、問5の結果を用いると回路に流れた電子の個数は
$$965×100000×\frac{N}{4825}=20000N$$
となります。
陽極での半反応式は、
2Cl– → Cl2 + 2e–
であり、この反応では、(塩素分子の個数):(電子の個数)=1:2となります。
よって、電気分解で生じる塩素分子の個数は
$$20000N×\frac{1}{2}=10000N$$
となります。
また、【Ⅰ】で塩化銅(Ⅱ)6.8[g]を電気分解したとき、陽極での反応に関わった粒子の個数・塩素の物質の質量をまとめると以下のようになります。
2Cl– | → | Cl2 | + | 2e– | |
粒子の個数 | \(2N\) | \(N\) | \(2N\) | ||
質量[g] | – | 3.6 | – |
これらより、塩素分子\(10000N\)個の質量は、
$$3.6×\frac{10000N}{N}=36000[g]=36[kg]$$
と分かります。
ここで、反応式③に注目すると、この反応で生じる「水酸化ナトリウム」と「塩素」の質量比は化学反応式の係数を考慮し、
水酸化ナトリウム : 塩素 = 2×(23+16+1) : (36+36) = 40 : 36
となります。
以上から、生成される水酸化ナトリウムの質量は40[kg]と求められます。
まとめ:[中学理科]難関校志望者向け「イオンと電気分解」の発展問題を解説!
いかがでしたか。
今回は、「イオンと電気分解」に関する発展問題を解説しました。
今回扱った問題も、高校で学習する内容を中学生が解けるように焼き直したものとなっています。
水酸化ナトリウムの工業的製法に関しては、まだあまり出題実績がないため出題が狙われる可能性が高いです。
1回でできなかったとしても繰り返し解いて、理解できるようになることが大切です。
今後もオリジナル問題を作成し、解説していきますのでお楽しみに。
最後までご一読いただきありがとうございました。
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