[高校入試]中和反応の本質が分かれば解ける!2022兵庫県理科「イオンと中和反応」の難問を解説!

[高校入試]中和反応の本質が分かれば解ける!2022兵庫県理科「イオンと中和反応」の難問を解説!中学理科

みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。

今回は、2022年度兵庫県で出題された「イオンと中和反応」の難問を解説します。

今回ご紹介する問題の最後の小問では正答率が2.2%と非常に難しい問題でした。

とはいえ、これまで解説してきたことが理解できていれば、正解を導くことができます。

それでは、この問題について考えていきましょう。

また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。

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問題の概要

今回は、大問Ⅱ-2を解説します。

問題はこちらから参照できます。

問題の解説

電離式を書くことから始めよう

化学に関する問題では、まずは化学反応式や電離式を書くことが大切です。

硫酸および水酸化バリウムの電離式は以下のようになります。

  • 硫酸の電離式:H2SO4 → 2H+ + SO42-…①
  • 水酸化バリウムの電離式:Ba(OH)2 → Ba2+ + 2OH…②

そして、中和反応では、

  • 水素イオン水酸化物イオンの反応→が生成
  • 上記以外のイオンの反応→が生成

されるので、今回の場合は

  • 水の生成に関するイオン反応式:H+ + OH → H2O…③
  • 塩の生成に関するイオン反応式:Ba2+ + SO42- → BaSO4…④

と書き表すことができます。

反応式の考察

反応式①~④を考察してみましょう。

まず、反応式①・②より、以下のことが分かります。

  • 硫酸分子1個から、水素イオン2個硫酸イオン1個が生じる…⑤
  • 水酸化バリウム粒子1個から、バリウムイオン1個水酸化物イオン2個が生じる…⑥

次に、反応式③・④より、「中和反応」に関して以下のことが分かります。

  • 水素イオン1個水酸化物イオン1個から、水分子1個が生じる…⑦
  • バリウムイオン1個硫酸イオン1個から硫酸バリウム粒子1個が生じる…⑧

これらを踏まえると、硫酸分子\(K\)個・水酸化バリウム粒子\(N\)個を反応させると、各種イオンの個数は以下のようになります。

(i)\(N≧K\)のとき

水素イオン硫酸イオンバリウムイオン水酸化物イオン
電離した直後の個数\(2K\)\(K\)\(N\)\(2N\)
中和反応における変化量\(-2K\)\(-K\)\(-K\)\(-2K\)
中和反応後の個数\(0\)\(0\)\(N-K\)\(2(N-K)\)

(ii)\(K≧N\)のとき

水素イオン硫酸イオンバリウムイオン水酸化物イオン
電離した直後の個数\(2K\)\(K\)\(N\)\(2N\)
中和反応における変化量\(-2N\)\(-N\)\(-N\)\(-2N\)
中和反応後の個数\(2(K-N)\)\(K-N\)\(0\)\(0\)

これらをもとに各問を考えていきます。

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(1)の解説

バリウムイオンは「バリウム原子が電子を2個失ってできる陽イオン」です。

よって、答えはイです。

(2)・(3)の解説

表2に注目すると、ビーカーA~Dでは、硫酸の体積と白い沈殿(硫酸バリウム)の質量が比例関係にあります。

一方、ビーカーDとEで白い沈殿の質量が0.82gで一定になっています。

いま、ビーカーA~Eでは、一定量の水酸化バリウム水溶液を用いて実験を行っているので、

  • ビーカーA~C:硫酸が完全に反応
  • ビーカーD, E:硫酸が余ってしまう
  • 20cm3の水酸化バリウム水溶液と硫酸が過不足なく反応するとき、白い沈殿は0.82g生じる

ことがいえます。

以上より、化学反応の量的関係を考えると、硫酸10cm3が完全に反応すると硫酸バリウム0.24g生じるため、

硫酸バリウムが0.82gが生じるとき、硫酸は\(10×\displaystyle \frac{0.82}{0.24}≒34\)cm3必要となります。

ここで、(2)を考えます。

水酸化バリウム水溶液はアルカリ性を示すため、青色となります。

①にはイが入ります。

ビーカーEでは、中和反応後、硫酸が余っている状態なので、水溶液は酸性となり、黄色となります。

よって、②にはエが入ります。

次に(3)を考えます。

冒頭の考察から、硫酸と水酸化バリウムが過不足なく反応する瞬間において、ビーカー内のイオンの総数が最少となり、

これ以降はビーカー内のイオンの総数が増えていきます

よって、硫酸を約34cm3をビーカーに加えた瞬間に電流の大きさは最小となり、これ以降は電流の大きさは大きくなってゆくため、答えはウとなります。

(4)の解説

実験2では、ビーカーAとEに滴下した水酸化バリウム水溶液が、合計20×2=40cm3であり、

ビーカーAとEに滴下した硫酸が、合計10+50=60cm3であることが分かります。

今回の問題では、水酸化バリウム水溶液40cm3と硫酸60cm3を反応させると各イオンの個数がどうなるかを考えると解きやすくなります。

水酸化バリウム水溶液40cm3に含まれるバリウムイオンは、200×2=400個であり、

⑥から、水酸化物イオンは、400×2=800個となります。

硫酸60cm3に含まれる水素イオンは、100×6=600個であり、

⑤より、硫酸イオンは、600÷2=300個となります。

今回は、電離時における水素イオンの個数が水酸化物イオンよりも多いため、冒頭で考察した(i)のパターンとなります。

そうすると、中和反応後における各種イオンの個数は以下のようになります。

水素イオン硫酸イオンバリウムイオン水酸化物イオン
電離した直後の個数600300400800
中和反応における変化量-600-300-300-600
中和反応後の個数00100200

よって、反応後における全イオンに占める陰イオン(水酸化物イオン)の個数の割合は、

$$\frac{200}{100+200}×100≒67[\%]$$

を得ます。

まとめ:[高校入試]中和反応の本質が分かれば解ける!2022兵庫県理科「イオンと中和反応」の難問を解説!

いかがでしたか。

今回は、2022年度兵庫県で出題された「イオンと中和反応」の難問を解説しました。

この問題の難易度は高いものの、中和反応および化学反応の量的関係に関する本質的な理解が問われる良問です。

これと同じ題材を背景とした問題も解説しておりますので、こちらもぜひ取り組んでみましょう。

今後も、過去問の解説を行っていくのでお楽しみに。

最後までご覧いただきありがとうございました。

また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。

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