みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回の記事のテーマは、「原子」と「分子」です。
学校の授業ではいきなり両者が一緒に登場するため、これら2つの違いがよく分からないと感じる方も多いかと思います。
なぜ、「原子」のみならず「分子」という概念が生まれたかを理解できれば、両者を明確に区別できるようになります。
そこで今回は、この2つの考え方がどのように生まれたのかの歴史的背景から説明していきます。
この歴史的背景は難関校の入試でも題材として用いられることも多いので、難関校を目指している方もぜひご一読ください。
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「原子説」の誕生
そもそも、「原子」とは物質を構成する最小の粒子のことをいいます。
「ドルトン」という化学者によって、各物質を構成する最小の粒子が「原子」がであるという「原子説」が生み出されました。
ドルトンが原子説を生み出すに至るまで、以下のような発見がありました。
「質量保存の法則」の発見
1774年に、フランスの化学者「ラボアジエ」は「質量保存の法則」を発見します。
「質量保存の法則」とは、化学変化の前後では物質の総質量は保存されることをいいます。
例えば、銅4.0[g]と酸素1.0[g]を反応させると、酸化銅(Ⅱ)が5.0[g]生じます。
このとき、化学変化の前後で物質の総質量が5.0[g]で、変化しないことが分かります。
「定比例の法則」の発見
1799年に、フランスの化学者「プルースト」は「定比例の法則」を発見します。
「定比例の法則」とは、各物質が反応するときは常に質量比が一定であることをいいます。
例えば銅と酸素の反応では、銅8[g]と酸素2[g]が、銅16[g]と酸素4[g]が完全に反応するように、
両者は常に銅 : 酸素 = 4 : 1の質量比で反応します。
「原子説」の考案
これら2つの法則を説明するために、1803年にドルトンは「原子説」を考案します。
ドルトンは「原子」に関して、次のような性質をもつと主張しました。
- すべての物質は原子からなり、原子はそれ以上分割することはできない
- ある元素の原子はすべて同じ大きさ、同じ質量、同じ性質をもつ
- 化合物は2種類以上の原子が一定の割合で結びついてできている
- 化学変化は単に原子の組み合わせが変化するだけで、新たに原子が誕生したり消滅したりしない
ドルトンの原子説は画期的な理論でしたが、徐々にほころびが生じ始めます。
「分子説」の誕生
「気体反応の法則」の発見
ドルトンの原子説が発表された4年後の1808年に、フランスの化学者「ゲーリュサック」は「気体反応の法則」を発見します。
「気体反応の法則」とは、気体の反応に関して常に同じ体積比で反応することをいいます。
例えば、水素と酸素の反応では、常に水素 : 酸素 : 水 = 2 : 1 : 2の体積比となります。
「原子説」の矛盾
ゲーリュサックは原子説を用いて、
「すべての気体は同温・同圧・同体積の下では、常に同じ個数の原子を含む」という仮説を立てて、気体反応の法則の説明を試みました。
しかし、原子説を用いると以下のように説明されることになり、原子が分割されることになって矛盾が生じてしまいます。
「分子説」の考案
1811年にイタリアの化学者「アボガドロ」はこの矛盾を解決できる理論を発表します。
これこそが、「分子説」なのです。
アボガドロは「分子」に関して、
- 各気体は、原子が何個か結合されてできる「分子」からなる
- 各気体は同温・同圧・同体積下では同数の分子を含む
ということを主張します(これを「アボガドロの法則」といいます)。
分子説に基づけば、水素と酸素の反応は以下のように説明できるので、原子の分割に関する矛盾を解決できます。
そう考えれば、「分子」とはいくつかの原子が結びついて、物質としての性質を示す粒子ということになります。
水素の場合は、水素原子が2個結びついて分子を形成することによって、酸素と反応したりするといった物質の性質を示すようになるのです。
「原子」と「分子」の違いは?
上記の背景を踏まえて、「原子」と「分子」の違いをまとめると次のようになります。
つまり、「分子」をもっと細かくみていくと、「原子」に行き着くわけです。
例えば、水分子を細かく見ていくと、水素原子2個・酸素原子1個からそれが成り立っているというわけです。
まとめ:[中学理科]「原子」と「分子」の違いはなに?~歴史的背景とともに解説~
いかがでしたか。
今回の記事では、「原子」と「分子」の違いを解説しました。
「原子」と「分子」の違いは以下のようにまとめられます。
- 「分子」とは、いくつかの原子が結びついて、物質としての性質を示す粒子
- 「原子」とは、物質を細かく分けていったときにそれ以上分割できない最小の粒子
次回は、「失敗しない化学反応式の係数の揃え方」について解説していきます。
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ご一読いただきありがとうございました。
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