みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回のテーマは、「確率漸化式」についてです。
高校入試数学では、あまり聞かない言葉かもしれません。
しかしこれを知っておくと、複雑な場合分けをせずにスムーズに問題が解ける場合もあります。
そこで今回は「確率漸化式」を慶應義塾高校の入試問題を通じて解説していきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
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問題の概要
今回解説する慶應義塾高の入試問題は以下の通りです。
2016年1月~2月まで日吉の気温を観測したところ、最高気温10℃以上の日(W日と言うことにする。)と最高気温が10℃未満の日(C日と言うことにする。)には次のような傾向があることがわかった。
“ある日がW日ならば、次の日がW日の確率は\(\displaystyle \frac{4}{5}\)、C日の確率は\(\displaystyle \frac{1}{5}\)である。
また、ある日がC日ならば、次の日がW日の確率は\(\displaystyle \frac{3}{10}\)、C日の確率は\(\displaystyle \frac{7}{10}\)である。”
あとの問に答えよ。
(1)今日(2月12日)がC日であるとして、2月14日がW日となる確率を求めよ。
(2)今日(2月12日)がC日であるとして、2月16日がW日となる確率を求めよ。
まずは愚直に考えてみる
各日がC日になるかW日になるかを樹形図を用いてすべて書き出すと以下のようになります。
2月14日までなら、まだ自力で計算するにはそこまで苦労しないかと思います。
しかし、2月16日にW日になる確率を求めようとすると、パターンがあまりにも多く計算するのにかなり骨が折れます。
効率よく確率を計算するにはどうしたらよいのでしょうか。
「確率漸化式」を導入する
ここで、「確率漸化式」を導入してみます。
今回の問題では次のように解いてゆくとよいでしょう。
今日から\(n\)日後においてW日となる確率を\(p_n\)としたとき、
各日はW日またはC日のどちらかとなるので、その日がC日になる確率は\((1-p_n)\)となります。
今日から\(n\)日後がW日である場合・C日である場合それぞれにおける、
その次の日(今日から\((n+1)\)日後)の状態遷移図を以下に示します。
そうすると、
\(p_{n+1}=\)(今日から\(n\)日後がW日で、その次の日がW日になる確率)
+(今日から\(n\)日後がC日で、その次の日がW日になる確率)
と式を作ることができます。
また、
- (今日から\(n\)日後がW日で、その次の日がW日になる確率)\(=\displaystyle p_n×\frac{4}{5}\)
- (今日から\(n\)日後がC日で、その次の日がW日になる確率)\(=\displaystyle (1-p_n)×\frac{3}{10}\)
となりますので、
\begin{eqnarray}
p_{n+1}&=&p_n×\frac{4}{5}+(1-p_n)×\frac{3}{10}\\
&=&\frac{1}{2}p_n+\frac{3}{10}
\end{eqnarray}
という確率漸化式が得られました。
これが得られれば、あとは順に各確率を計算してゆくだけです。
なお、今日はC日であるため、その翌日がW日になる確率\(p_1\)は、
\(p_1=\displaystyle \frac{3}{10}\)となることに注意します。
よって、
- \(p_2=\displaystyle \frac{1}{2}p_1+\frac{3}{10}=\frac{9}{20}\)
- \(p_3=\displaystyle \frac{1}{2}p_2+\frac{3}{10}=\frac{21}{40}\)
- \(p_4=\displaystyle \frac{1}{2}p_3+\frac{3}{10}=\frac{9}{16}\)
となり、
(1)の答えは\(\displaystyle \frac{9}{20}\)で、(2)の答えは\(\displaystyle \frac{9}{16}\)となります。
このように、「確率漸化式」を導入すると、
というメリットがあるので、これを用いることができそうなら積極的に用いるとよいでしょう。
まとめ:[中学数学]場合分けがグッと減る!「確率漸化式」を慶應義塾高の入試問題を通じて解説!
いかがでしたか。
今回は、「確率漸化式」について解説しました。
複雑な場合分けが減り、計算が非常に楽になるので、これが利用できそうな場面では積極的に利用するようにしましょう。
今後も過去問の解説を行っていくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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