みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
前回の記事では、整数問題の解き方をご紹介しました。
今回は、「約数と倍数」にテーマを絞って解説していきます。
「約数と倍数」を背景にした問題もよく出題されるので、こちらもマスターしましょう。
では、早速解説に入っていきます。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
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約数の個数と約数の総和
約数の個数
まずは、約数の個数についてみていきます。
例えば、\(12=2^2×3\)と素因数分解できるため、
12の正の約数の個数は\((2+1)×(1+1)=6\)となります。
なぜこの公式が導かれるか簡単に説明します。
\(N\)の正の約数はそれを割り切るため、その正の約数では
- 素因数\(a\)の個数について、\(0,1,…,(x-1),x\)の\((x+1)\)通り
- 素因数\(b\)の個数について、\(0,1,…,(y-1),y\)の\((y+1)\)通り
- 素因数\(c\)の個数について、\(0,1,…,(z-1),z\)の\((z+1)\)通り
が考えられるので、積の法則から\((x+1)(y+1)(z+1)\)と個数が求まります。
なお、\(a^0=b^0=c^0=1\)です。
また、有名な性質として、平方数の正の約数の個数は奇数になることも覚えておきましょう。
約数の総和
次に、約数の総和についてみていきましょう。
例えば、\(48=2^3×3\)ですから、48の正の約数の総和は
$$(1+2^2+2^3)(1+3)=52$$となります。
また、
こちらも入試で問われることもあるので、覚えておくとよいでしょう。
最大公約数と最小公倍数の関係
次に、最大公約数と最小公倍数の関係についてみていきます。
この式がなぜ成り立つのかを説明します。
\(k,l\)を互いに素(最大公約数が1)の整数とすると、
$$M=Gk, N=Gl, L=Gkl$$
と表されるため、
$$MN=LG=G^2kl$$
となり、この式が成り立つことが分かります。
この事実も覚えておくとよいでしょう。
問題演習
次の問題を考えてみましょう。
(問1)1から200までの数が書かれたカードをすべて表にしておく。
このとき、\(n\)回目の操作では\(n\)の倍数が書かれているカードを裏返す。
この操作を200回行ったとき、裏になっているカードの枚数を求めよ。(立教新座)
(問2)正の約数の総和が120で、正の約数の逆数の総和が\(\frac{15}{7}\)となる整数を求めよ。(慶應志木)
問1の解説
早速、問1の解説に入りましょう。
最初にカードを表にしてあるので、200回目の操作が終了した段階でカードが裏になっているためには奇数回裏返されていればよいわけです。
各カードはそのカードに書かれている数の約数回目に裏返されるため、
結局のところ、1から200までの整数のうち、奇数個の約数を持つものは何個あるかを考えればよいわけです。
先ほどの解説にもあったように、平方数の約数の個数は奇数になるため、
\(14^2=196,15^2=225\)ですから、1から200までの整数のうち平方数は14個存在すると分かります。
よって、答えは14枚です。
問2の解説
続けて、問2の解説です。
ある自然数\(N\)が、\(a,b,c\)を素数、\(x,y,z\)を正の整数として、
\(N=a^xb^yc^z\)と素因数分解できるとき、
正の約数の総和およびその逆数の総和はそれぞれ
\begin{gather}
(1+a+…+a^{x-1}+a^x)(1+b+…+b^{y-1}+b^y)(1+c+…+c^{z-1}+c^z)\\
(1+\frac{1}{a}+…+\frac{1}{a^{x-1}}+\frac{1}{a^x})(1+\frac{1}{b}+…+\frac{1}{b^{y-1}}+\frac{1}{b^y})(1+\frac{1}{c}+…+\frac{1}{c^{z-1}}+\frac{1}{c^z})
\end{gather}
と表されるのでしたね。
ここで、正の約数の総和を\(N=a^xb^yc^z\)で割ってみると、
\begin{align}
&\frac{(1+a+…+a^{x-1}+a^x)(1+b+…+b^{y-1}+b^y)(1+c+…+c^{z-1}+c^z)}
{a^xb^yc^z}\\
&=(\frac{1+a+…+a^{x-1}+a^x}{a^x})(\frac{1+b+…+b^{y-1}+b^y}{b^y})(\frac{1+c+…+c^{z-1}+c^z}{c^z})\\
&=(1+\frac{1}{a}+…+\frac{1}{a^{x-1}}+\frac{1}{a^x})(1+\frac{1}{b}+…+\frac{1}{b^{y-1}}+\frac{1}{b^y})(1+\frac{1}{c}+…+\frac{1}{c^{z-1}}+\frac{1}{c^z})
\end{align}
が導かれます。
つまり、(正の約数の総和)÷(もとの整数)=(正の約数の逆数の総和)が成り立つことが分かります。
ここで問題に戻りましょう。
求める正の整数を\(n\)とすると、上記のことから、
$$\frac{120}{n}=\frac{15}{7}$$
が成り立ち、\(n=56\)と求まります。
まとめ:[高校入試]整数問題「約数と倍数」の考え方を解説!
いかがでしたか。
今回の記事では、「約数と倍数」について解説しました。
今回ご紹介したことは約数と倍数に関する問題では大きな威力を発揮するので、是非覚えておきましょう。
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ご一読いただきありがとうございました。
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