[中学数学]八王子東高校で出題された「三平方の定理」と「ピタゴラス数」に関する「規則性」の問題を解説!

[中学数学]八王子東高校で出題された「三平方の定理」と「ピタゴラス数」に関する「規則性」の問題を解説!中学数学

みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。

今回は、八王子東高校で出題された「三平方の定理」と「ピタゴラス数」に関する「規則性」の問題を解説していきます。

今回解説する問題は「規則性」に関する問題なのに、なぜか「三平方の定理」が現れる不思議なものとなっています。

「三平方の定理」は幾何に関する定理ですが、実は整数の世界においても興味深い性質があることが知られています。

今回は、八王子東高校の問題を通じてそれに関して詳しく説明していきます。

また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。

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今回解説する問題の概要

今回は2021年度八王子東高校の自校作成問題の大問4を解説します。

問題はこちらから参照できます。

問1の解説

この問題においては、「規則性」の解法原則に則り、まずは表を書いて情報を整理しましょう

\(k\)を正の整数とすると、奇数が\((2k-1)\)と表されることに注意すると、以下の表が書けます。

\(k\)123\(n\)
\(x\)135\(2n-1\)
球の総数149

この表より、「規則性」の問題ではよく出てくるパターンで、球の総数が「平方数」になっていることに気が付きます。

そのため、\(x=2n-1\)のとき、球の総数は\(n^2\)となります。

よって、\(n^2=784\)を満たす正の整数\(n\)は、\(n=28\)です。

以上から、\(x=2×28-1=55\)を得ます。

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問2の解説

続いて、問2の解説です。

問題文に書いてある情報を整理すると、以下のようになります。

  • \(3^2=9=4+5\)より、\(3^2+4^2=5^2\)となるので、\((a,b,c)=(3,4,5)\)
  • \(5^2=25=12+13\)より、\(5^2+12^2=13^2\)となるので、\((a,b,c)=(5,12,13)\)
  • \(7^2=49=24+25\)より、\(7^2+24^2=25^2\)となるので、\((a,b,c)=(7,24,25)\)

これらからどのような性質が分かるでしょうか。

上記は、性質\(P\)における\(a\)が\(a=3,5,7\)の場合について、\(b,c\)の値がどうなるかを調べています。

そうすると、

\(\displaystyle b=\frac{a^2-1}{2}, c=b+1=\frac{a^2+1}{2}\)

となることが推測できます。

この推測が正しいことをいえれば、(2)は完了です。

そうすると、(2)の解答例は以下のようになります。

\(a=2n+1\)のとき、残りの\(b,c\)は、
\(\displaystyle b=\frac{a^2-1}{2}=2n^2+2n, c=b+1=2n^2+2n+1\)と推測できる。
これらが、\(a^2+b^2=c^2\)の関係式を満たすかを以下では調べる。
\begin{eqnarray}
c^2-b^2&=&(c+b)(c-b)\\
&=&(2n^2+2n+1+2n^2+2n)(2n^2+2n+1-2n^2-2n)\\
&=&4n^2+4n+1\\
&=&(2n+1)^2\\
&=&a^2
\end{eqnarray}
となって、\(a^2+b^2=c^2\)の関係式が満たされることが分かる。
以上から、\(b=2n^2+2n, c=2n^2+2n+1\)となる。

順番が逆になりましたが、(1)については、

\(123=2×61+1\)ですので、\((b,c)=(2×61^2+2×61,2×61^2+2×61+1)=(7564,7565)\)となります。

この問題では、「ピタゴラス数」が背景となっておりました。

この性質について詳しく以下では見ていきましょう。

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「ピタゴラス数」の性質とは?

以前の記事で、\(a,b,c\)を正の整数とするとき、

\(m,n\)を正の整数とすれば、
\(a=m^2-n^2, b=2mn, c=m^2+n^2\)とおくと、\(a^2+b^2=c^2\)を満足する…(*)

ということを解説しました。

これを知っていると、(*)の\(m\)を\((n+1)\)に置き換えれば、実は先ほどの問題の答えが瞬時に導けます。

「原始ピタゴラス数」(3数が互いに素である「ピタゴラス数」)の性質として、以下のことが知られています。

  • \(a,b\)の偶奇は一致せず\(c\)は奇数となる
  • \(a,b\)のどちらか一方は、3の倍数である
  • \(a,b\)のどちらか一方は、4の倍数である
  • \(a,b,c\)のいずれか1つは、5の倍数である

これらのうち、「\(a,b\)のどちらか一方は、3の倍数である」ことを証明してみましょう(他の3つについても同様の方法で証明できますので、各自挑戦してみてください)。

\(m\)を0以上の整数とすると、正の整数\(N\)を3で割った余りで分類し、

  • \(N=3m\)のとき、\(N^2=9m^2=3×3m^2\)
  • \(N=3m+1\)のとき、\(N^2=9m^2+6m+1=3(3m^2+2m)+1\)
  • \(N=3m+2\)のとき、\(N^2=9m^2+6m+4=3(3m^2+2m+1)+1\)

となるため、平方数を3で割ったときの余りは0または1と分かります。

そして、\(a^2+b^2=c^2\)の両辺において3で割った余りが一致することを考えれば、

\(a^2\)を3で割った余り001
\(b^2\)を3で割った余り010
\((a^2+b^2)\)を3で割った余り011
\(c^2\)を3で割った余り011

の3パターンしかあり得ません。

\(a^2,b^2,c^2\)がすべて3で割り切れるとき、\(a,b,c\)は3の倍数となりますが、

\(a,b,c\)が互いに素なので、不適です。

よって、\(a,b\)の片方が3の倍数となることが分かります。

[中学数学]八王子東高校で出題された「三平方の定理」と「ピタゴラス数」に関する「規則性」の問題を解説!

いかがでしたか。

今回は、八王子東高校で出題された「三平方の定理」と「ピタゴラス数」に関する問題を解説しました。

「ピタゴラス数」を背景とした非常に興味深い問題でした。

単に過去問を解くにとどまらず、記事内で提示した「原始ピタゴラス数」の性質の証明までを自分でやってみるとよいでしょう。

「三平方の定理」は幾何の世界にとどまらず、整数の世界においても興味深い性質を持っているということを味わっていただけたらと思います。

今後も過去問等を解説してゆきますのでお楽しみに。

最後までご覧いただきありがとうございました。

また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。

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