みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、灘高校で出題された「正十二面体」の問題を解説していきます。
今回解説する問題は、「正十二面体」の体積を求めるための一部のプロセスが問われています。
単に問題の解説をするに留まらず、「正十二面体」の体積についても解説していきます。
誘導に従えばさほど難しくはないため、灘以外の学校を志望する方もぜひ挑戦してみてください!
また、本記事と合わせて以下の記事も是非ご覧ください。
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問題の概要
2021年度灘高校の大問6を解説していきます。
問題はこちらから参照できます。
問題の解説
(1)の解説
まずは、(1)です。
正十二面体を平面\(P\)で切断し、点Oを含む立体を図示すると以下のようになります。
いま、AB・O’O・DCがいずれも平行であるため、O’Oは平面\(P\)と平行になることに注意しましょう。
このとき、ADおよびBCのそれぞれの中点をM,Nとすれば、O’OMNを含む平面がこの立体の「対称面」となることが分かります。
そのため、Oから平面\(P\)に垂線を下ろすと、その足は線分MN上に存在することになります。
その垂線の足をここではHとしておきましょう。
ここで、「対称面」である等脚台形O’ONMに注目します。
O’O\(=2\), MN=AB\(=1+\sqrt{5}\)ですから、HN\(\displaystyle =\frac{MN-O’O}{2}=\frac{\sqrt{5}-1}{2}\)です。
また、三平方の定理より、
\(ON^2=OB^2-BN^2=\displaystyle 2^2-(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^2=\frac{5-\sqrt{5}}{2}\)となります。
以上から、三平方の定理より、
\(OH^2=ON^2-HN^2=\displaystyle \frac{5-\sqrt{5}}{2}-(\frac{\sqrt{5}-1}{2})^2=1\)となるので、OH=1と分かります。
よって、Oと平面\(P\)との距離が1であるといえます。
(2)の解説
続いて、(2)です。
求めづらい立体の体積は、「分割」したり、「求めやすい立体の体積から余分な部分を引く」ことが大切でしたね。
そうすると、以下のように三角柱ADE-BCFの体積から、四面体O-BCFと四面体O’-ADEの体積を引けばよいことが分かります。
なお、四面体O-BCFと四面体O’-ADEは合同となることに注意しましょう。
まず、三角柱ADE-BCFの体積を求めます。
そうすると、FN=OH=1, BC=MB\(=1+\sqrt{5}\)ですから、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2}×BC×FN×MN&=&\frac{1}{2}×(1+\sqrt{5})×1×(1+\sqrt{5})\\
&=&3+\sqrt{5}
\end{eqnarray}
と求まります。
一方、四面体O-BCFの体積は、OF=HN=\(\displaystyle \frac{\sqrt{5}-1}{2}\)ですから、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{3}×\frac{1}{2}×BC×FN×OF&=&\frac{1}{3}×\frac{1}{2}×(1+\sqrt{5})×1×\frac{\sqrt{5}-1}{2}\\
&=&\frac{1}{3}
\end{eqnarray}
となります。
以上から、答えは、\(\displaystyle 3+\sqrt{5}-2×\frac{1}{3}=\frac{7+3\sqrt{5}}{3}\)となります。
入試で問われたのはここまでですが、「正十二面体」の体積はこれまでの議論を踏まえて求めることができます。
せっかくですから、「正十二面体」の体積まで考えてみましょう。
「正十二面体」の体積は?
ここでは、一般化して、1辺の長さが\(a\)の正十二面体の体積を求めていきます。
「相似な空間図形の体積比」を考えるとこの場合における(2)で扱った立体の体積\(V\)は、
\(2^3:a^3=\displaystyle \frac{7+3\sqrt{5}}{3}:V\)より、\(\displaystyle V=\frac{7+3\sqrt{5}}{24}a^3\)となります。
なお、正五角形の対角線の長さは\(l\)は、
\(2:a=\displaystyle (1+\sqrt{5}):l\)より、\(l=\displaystyle \frac{1+\sqrt{5}}{2}a\)です。
このとき、正十二面体の体積は、体積が\(V\)の立体6個分と1辺の長さが\(l\)である立方体の体積を足せば求まります。
よって、正十二面体の体積は、
\begin{eqnarray}
\frac{7+3\sqrt{5}}{24}a^3×6+l^3&=&\frac{7+3\sqrt{5}}{4}a^3+(\frac{1+\sqrt{5}}{2}a)^3\\
&=&\frac{7+3\sqrt{5}}{4}a^3+\frac{8+4\sqrt{5}}{4}a^3\\
&=&\frac{15+7\sqrt{5}}{4}a^3
\end{eqnarray}
となります。
この値を覚えておく必要はありませんが、このようにして正十二面体の体積が導出できることはぜひ覚えておきましょう。
まとめ:[中学数学]「正十二面体」の有名問題!灘高校で出題された「空間図形」の問題を解説!
いかがでしたか。
今回は、灘高校で出題された「正十二面体」の問題を解説しました。
今回解説した問題をできるようにするだけではなく、後半で解説した正十二面体の体積の求め方をぜひ覚えておくとよいでしょう。
正十二面体が出てきて戸惑った方もいらっしゃるかもしれませんが、
そういうときこそこれまで解説してきたことが利用できないかを考えてみることが大切です。
引き続き過去問等の解説を行ってゆくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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