みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、渋谷教育学園幕張高で出題された「円と関数のグラフの融合問題」を解説します。
今回解説する問題は、円に関する知識や相似など、図形の知識をフルに活用しないと計算量が増えてしまいます。
また、この問題は「放物線」の定義と密接に関わっており、もしそれを知っていれば早く解けるものも存在します。
せっかくですので、この点についても見ていくこととしましょう。
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
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問題の概要
今回解説する問題の概要はこちらです。
下図のように関数\(y=\displaystyle \frac{1}{4}x^2…①\)と直線\(y=-1…②\)および点F(0,1)がある。
①の\(x>2\)の部分に点Pを、②上に点Qを、直線PQが②と垂直になるようにとる。
次の問に答えよ。
(1)PQ=FQとなるとき、線分FPの長さを求めよ。
(2)直線FPと②の交点をRとし、FP=FSを満たすように\(y\)軸上に点S\((0,m)\)をとる。
ただし、\(m<1\)とし、点Pの\(x\)座標を\(k(k>2)\)とする。
(i)\(m\)を\(k\)を用いて表せ。
(ii)4点F・Q・S・Rが同一円周上にあるとき、Pの座標を求めよ。
(1)の解説
一般的な解法での解説
Pの座標が分かればFPの長さが分かるので、解法の定石に従いPの座標を\((t,\displaystyle \frac{1}{4}t^2)\)とおきましょう。
なお、Qの\(x\)座標も\(t\)となります。
そうすると、\(PQ=\displaystyle \frac{1}{4}t^2+1\)なるので、\(PQ^2=\displaystyle (\frac{1}{4}t^2+1)^2\)です。
一方、FQについては三平方の定理より、\(FQ^2=t^2+2^2=t^2+4\)です。
両者は等しいので、\(\displaystyle (\frac{1}{4}t^2+1)^2=t^2+4\)が成り立ちます。
これを整理すると、\(t^4-8t^2-48=0\)となります。
この方程式を\(t^2\)に関する2次方程式と見れば、\((t^2+4)(t^2-12)=0\)より\(t^2=-4,12\)を得ます。
\(t^2≧0\)ですから\(t^2=12\)であり、Pの\(x\)座標が2より大きいことを踏まえると、\(t=2\sqrt{3}\)です。
よって、P\((2\sqrt{3},3)\)です。
以上より、三平方の定理を用いると、\(FP=\sqrt{(2\sqrt{3})^2+(3-1)^2}=4\)となります。
「放物線の定義」を用いた解法での解説
2次関数のグラフは「放物線」となることが知られています。
これは高校3年生の理系の学生の学ぶ数学Ⅲにおいて、次のように「放物線」を定義しています。
今回の問題は、\(p=1\)の場合を実は考えているのです。
PQ=FQとなるとき、結局のところ△FPQの各辺の長さがすべて等しくなるので、これは正三角形となります。
そのため、直線②と直線FQのなす角が30°となるので、
「90°・60°・30°の直角三角形」の辺の比から\(FP=FQ=2×2=4\)と求めることもできます。
(2)の解説
(i)の解説
この問題では、三平方の定理を用いて解くのが一般的ですが、先ほどご紹介した「放物線の定義」に基づいて解いてゆくこととしましょう。
「放物線の定義」よりFP=FQであり、\(FQ=\displaystyle \frac{1}{4}k^2+1\)ですから、
\(FS=FP=FQ=\displaystyle \frac{1}{4}k^2+1\)です。
Fの\(y\)座標からFSの値を引けば\(m\)の値が求まるため、\(m=1-(\displaystyle \frac{1}{4}k^2+1)=-\frac{1}{4}k^2\)となります。
(ii)の解説
「指定された点が同一円周上にある」のはどのような場合?
直線②と\(y\)軸の交点をTとします。
指定された点が同一円周上にあるときは、以下のことに注目しましょう。
これらに関して、詳しくは以下の記事もぜひご覧ください。
今回の問題では、「円周角の定理の逆」に注目すると解きやすそうなのでこれを利用して解いていきます。
△FRTが特別な三角形になることを見抜く
「円周角の定理の逆」を用いれば、∠FRQ=∠FSQが成り立ちます。
さて四角形FSQPにおいて、FS=PQおよびFSとPQは平行であり、
「向かい合う1組の辺の長さが等しく平行」であるため、平行四辺形(より厳密には「ひし形」)となります。
したがって、「向かい合う角の大きさは等しい」ので、∠FSQ=∠FPQとなります。
また、FSとPQが平行であることから同位角は等しいので、∠RFT=∠FPQが成り立ちます。
以上から、∠FRQ=∠RFTとなり、△FTRは直角二等辺三角形となることが分かります。
そのため、RT=FT=2…(Ⅰ)です。
ここで、平行線の線分比の関係より、RT:RQ=FT:PQとなります。
FT=2, TQ\(=k\), PQ\(=\displaystyle \frac{1}{4}k^2+1\)ですから、
\(RT:(RT+k)=2:(\displaystyle \frac{1}{4}k^2+1)\)を解くと、\(RT=\displaystyle \frac{8k}{k^2-2}\)…(Ⅱ)となります。
(Ⅰ)・(Ⅱ)より、\(\displaystyle \frac{8k}{k^2-2}=2\)となり、これを解くと\(k=2\pm2\sqrt{2}\)です。
\(k>2\)より、\(k=2+2\sqrt{2}\)となります。
以上から、P\((2+2\sqrt{2},3+2\sqrt{2})\)と求まります。
まとめ:[中学数学]渋谷教育学園幕張高で出題された「円と関数のグラフの融合問題」を解説!
いかがでしたか。
今回は、渋谷教育学園幕張高で出題された「円と関数のグラフの融合問題」を解説しました。
(2)では図形の知識を複合的に用いなければならないため、かなり難しいものだったかと思います。
関数のグラフと図形の融合問題では、やはり図形の知識を活用できないかを考えるのが肝です。
また「放物線の定義」を知っていれば簡単に計算できる問題でしたが、
三平方の定理を駆使して解くと時間がかかる全体的に重い問題であったといえます。
「放物線の定義」は中学では習わないと思いますが、難関校を目指す方は知っておいて損はないでしょう。
ぜひ、時短につながることもあるのでそれも覚えておきたいところです。
引き続き過去問等の解説を行ってゆくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
また、本記事と合わせて以下の記事もご覧ください。
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