[中学数学]意外と奥の深い問題!慶應義塾高「不定方程式の整数解」に関する問題を解説!

[中学数学]意外と奥の深い問題!慶應義塾高「不定方程式の整数解」に関する問題を解説!中学数学

みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。

今回は、慶應義塾高で出題された「不定方程式の整数解」に関する問題を解説します。

これまで解説したやり方を用いれば、問題を解くこと自体はさほど難しくはありません。

しかし、導出した答え以外の可能性を排除するのが意外と難しい問題となっています。

とはいえ、それを考察することに数学的な意義があり、そのような習慣の積み重ねが将来の大学受験にもつながっていきます。

ですので、答えをただ導くだけでなく、なぜそれ以外の可能性が考えられないのかも検討してみましょう。

また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。

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問題の概要

慶應義塾高校で出題された次の問題に挑戦してみましょう。

2つの正の整数\(m,n\)について、不定方程式\(2^m-1=(2n+1)(2n+3)\)を考える。
(1)\(m=6\)のとき、\(n\)の値を求めよ。
(2)この不定方程式を満たす\((m,n)\)の組を\(m\)の小さい順に並べる。このとき、5番目の組を求めよ。

まずは「実験」から

整数問題の解法の定石として、まず「実験」を行ってみることがあります。

ですので、\(m\)の値を1から変化させながら、問題で与えられている不定方程式を満たす整数\(n\)が存在するかどうか調べていきます。

\(m\)\(2^m-1\)\(n\)\(2n+1\)\(2n+3\)
11×××
23013
37×××
415135
531×××
663379

この表から、

\(m\)が偶数のときに、与えられた不定方程式を満たす整数\(n\)が存在する

といえそうです。

そこで、これが正しいのかどうかを以下では考えていきます。

なお、この表より(1)の答えは、\(n=3\)と分かります。

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\(m\)が偶数の場合の考察

まずは、\(m\)が偶数の場合を考察します(以下、\(m=2k\)(\(k\)は正の整数)とおきます)。

このとき、\(2^{2k}=(2^k)^2\)と考えることができます。

例えば、\(2^{2×3}=64=8^2=(2^3)^2\)ですから、上記の関係が成り立つのが分かります。

ですので、\(2^{2k}-1\)は因数分解できます

そうすると、

\begin{eqnarray}
2^{2k}-1&=&(2^k)^2-1\\
&=&(2^k-1)(2^k+1)\\
\end{eqnarray}

となります。

この式より、問題で与えられている不定方程式は\((2^k-1)(2^k+1)=(2n+1)(2n+3)\)と書き換えられます。

この不定方程式の右辺は、連続する2つの奇数の積を表しています。

\((2^k-1)(2^k+1)\)は明らかに連続する2つの奇数の積なので、

\(2n+1=2^k-1\)より、\(n=2^{k-1}-1\)と求まります。

よってこの場合では、不定方程式の解は、\((m,n)=(2k,2^{k-1}-1)\)と表すことができます。

\(m\)が奇数の場合の考察

次に、\(m\)が奇数の場合を考えます。

与えられた不定方程式を整理すると、以下のようになります。

\begin{gather}
2^m-1=4n^2+8n+3\\
2^m=4n^2+8n+4\\
2^m=4(n^2+2n+1)\\
2^m=2^2×(n+1)^2…(*)
\end{gather}

(*)の左辺は2しか素因数を持たないので、右辺も2しか素因数を持ってはいけないことが分かります。

そうすると、\(n+1=2^l\)(\(l\)は正の整数)と表すことができます。

そのため、\((n+1)^2=(2^l)^2=2^{2l}\)となります。

以上から、(*)は、\(2^m=2^2×2^{2l}=2^{2l+2}=2^{2(l+1)}\)つまり、

\(2^m=2^{2(l+1)}\)と書き換えられます。

\(m\)は奇数ゆえ、左辺は2が奇数回掛けられているのに対して、右辺では2が偶数回掛けられていることになります。

これは明らかに矛盾しているため、\(m\)が奇数のとき、与えられた不定方程式を満足する整数\(n\)は存在しないことがいえます。

このように、整数問題に関する論証では、

素因数分解の一意性から、等式の両辺で同じ個数だけ素数が掛け算されている

ことに注目してみるとよいです(大学受験の整数問題でもよく用いるテクニックでもあります)。

よって、不定方程式の整数解は、\((m,n)=(2k,2^{k-1}-1)\)と決まります。

なお、\(m=2\)のときは、\(n\)が正の整数でないことから不適であることに注意し、

5番目の解は\((m,n)=(2×6,2^{6-1}-1)=(12,31)\)となります((2)の答え)。

まとめ:[中学数学]意外と奥の深い問題!慶應義塾高「不定方程式の整数解」に関する問題を解説!

いかがでしたか。

今回は、慶應義塾高で出題された「不定方程式の整数解」に関する問題を解説しました。

答えを予想するのは難しくないものの、それが正しいのかどうかを論証するのが意外と骨が折れます。

しかし、日ごろからそのようなところまで考える習慣ができていると、高校入試のみならず大学入試に対応できる力がついていきます。

そのような点から、今回解説した問題は、将来の学びにもつがなる奥の深い問題でした。

今後も過去問の解説を行っていくのでお楽しみに。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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