みなさんこんにちは、ゆーきゃんです。
今回は、灘高校で出題された「整数問題」を解説していきます。
なかなか一筋縄ではいかない問題ばかりであり、思考力が試される構成となっています。
ここまで解けるようになれば、実力がかなり仕上がってきているといえるでしょう。
腕試しとして是非挑戦してみてください。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
難関校を目指す方におすすめの問題集
高校入試対策で、整数問題を攻略したい方には次の問題集がおすすめです。
高校入試の整数問題に特化した問題集はあまりありませんが、
この1冊をこなせば難関私立校に対応できる力をしっかりと養うことができます。
難関私立校を受験される方にはおすすめの1冊です。
最難関私立校を受験される方には、「最高水準問題集」もおすすめです。
全国の難関私立国立高校の入試から厳選して演習価値の高い問題が収録されており、
よく出る問題には「頻出」マークがついているなど入試で出やすい問題から対策できるなど、入試本番に向けて効率的に最高レベルの学力を養うことができます。
問題の概要
灘高校で出題された次の「整数問題」に挑戦してみましょう。
Ⅰ. 次の問に答えよ。\(p\)は3以上の素数とする。
(1)\(ab=2p\)を満たす正の整数\((a,b)\)の組はすべてで何組あるか。
(2)\(x,y\)は正の整数で、\(2x^2-2y^2-x+y-2p=0\)を満たす。このとき、
(i)\((x-y)\)の値を求めよ。
(ii)さらに、\(\displaystyle \frac{x}{y}\)が正の整数であるとき、\((x,y,p)\)の組をすべて求めよ。
Ⅱ. 次の問に答えよ。
(1)\(x,y\)を1桁の正の整数とするとき、\(x(10-x)=3y\)を満たす\((x,y)\)の組をすべて求めよ。
(2)4桁の正の整数で、上2桁の数の2乗と、下2桁の整数の40倍との和がもとの4桁の整数に等しいものをすべて求めよ。
Ⅰ.の解説
(1)の解説
\(a,b\)は正の整数で、\(p\)は素数なので、考えられる\((a,b)\)の組は、以下の4つです。
よって、答えは4組となります。
$$(a,b)=(1,2p),(2,p),(p,2),(2p,1)$$
(2)の解説
(i)の解説
ここで、「整数問題」の解法の定石を思い出しましょう。
\((2x^2-2y^2-x+y)\)が因数分解できそうなので、解法の定石に則り、因数分解してみましょう。
\begin{gather}
2x^2-2y^2-x+y-2p=0\\
2(x^2-y^2)-(x-y)=2p\\
(x-y)\{2(x+y)-1\}=2p\\
\end{gather}
となります。
ここで、\(2(x+y)-1\)に注目すると、明らかにこれは奇数と分かります。
また、\(x,y\)は正の整数なので、\(2(x+y)-1≧2×(1+1)-1=3\)がいえます。
\(p\)は3以上の素数ゆえ奇数であり、(1)の結果を踏まえると、\((x-y,2(x+y)-1)=(2,p)\)と決まります。
よって、\(x-y=2\)です。
(ii)の解説
(i)より、\(x-y=2\)が得られました。
これを利用して、問題を解いていきましょう。
いま、\(\displaystyle \frac{x}{y}\)が整数であるから、
\(x-y=2\)の両辺を\(y\)で割って、\(\displaystyle \frac{x}{y}\)を出現させましょう。
両辺を\(y\)で割って整理すると、\(\displaystyle \frac{x}{y}=1+\frac{2}{y}\)となります。
この等式より、左辺の\(\displaystyle \frac{x}{y}\)が整数なので、右辺も整数でなければなりません。
ですので、\(\displaystyle \frac{2}{y}\)も整数である必要があります。
\(y\)は正の整数なので、\(y=1,2\)と決まります。
そうすると、\((x,y)=(4,2),(3,1)\)となります。
(i)より、\(p=2(x+y)-1\)であるため、答えは、\((x,y,p)=(4,2,11),(3,1,7)\)となります。
この問題では、
が肝でした。
この絞り込みは他の問題でも利用できることもあるので、是非覚えておきましょう。
Ⅱ.の解説
(1)の解説
この問題は\(x=1,2,…,9\)を順に代入し、\(y\)が整数になるかどうかを調べればOKです。
そうすると、答えとして、以下が得られます。
$$(x,y)=(1,3),(3,7),(4,8),(6,8),(7,7),(9,1)$$
(2)の解説
4桁の数をどのように文字で置く?
それでは(2)を考えましょう。
この問題はなかなか一筋縄ではいかず、非常に難しいです。
この問題のポイントは、4桁の数をどう置くかにあります。
例えば、
千の位を\(a\)・百の位を\(b\)・十の位を\(c\)・一の位を\(d\)として、
\((1000a+100b+10c+d)\)としたくなりますね。
しかしこのようにしてしまうと、未知数が4つとなり扱いにくく、問題が考えづらくなってしまいます。
そこで、4桁の数を2桁ずつ区切り、上2桁の数を\(M\)、下2桁の数を\(N\)と置いてみます。
そうすると、この4桁の数は\((100M+N)\)と表すことができます。
例えば、5625=56×100+25, 1939=19×100+39と表されます。
これをもとに考察を進めていきましょう。
3,13を素因数に持つかに注目し、\(M\)の下1桁を場合分けして答えを導く
問題で与えられている条件を式に表すと、\(M^2+40N=100M+N\)となります。
これを整理すると、\(M(100-M)=39N\)となります。
\(M(100-M)=39N=3×13×N\)であるため、\(M(100-M)\)は3,13で割り切れる必要があります。
また、\(M\)の下1桁の数を\(m\)とし、上記の事実に注意しながら\(m\)の値で場合分けして考えていきます。
- \(m=1\)のとき、\((M,100-M)=(91,9),(61,39)\)が考えられ、
\((M,100-M)=(91,9)\)のとき、\(N=\displaystyle \frac{91×9}{39}=21\)より、9121が得られます。
\((M,100-M)=(61,39)\)のとき、\(N=\displaystyle \frac{61×39}{39}=61\)より、6161が得られます。 - \(m=2\)のとき、\((M,100-M)=(52,48),(22,78)\)が考えられ、
\((M,100-M)=(52,48)\)のとき、\(N=\displaystyle \frac{52×48}{39}=64\)より、5264が得られます。
\((M,100-M)=(22,78)\)のとき、\(N=\displaystyle \frac{22×78}{39}=44\)より、2244が得られます。 - \(m=3\)のとき、\((M,100-M)=(13,87)\)が考えられ、
\(N=\displaystyle \frac{13×87}{39}=29\)より、1329が得られます。 - \(m=4\)のとき、考えられる\(M\)は存在しません。
- \(m=5\)のとき、考えられる\(M\)は存在しません。
- \(m=6\)のとき、考えられる\(M\)は存在しません。
- \(m=7\)のとき、\((M,100-M)=(87,13)\)が考えられ、
\(N=\displaystyle \frac{87×13}{39}=29\)より、8729が得られます。 - \(m=8\)のとき、\((M,100-M)=(48,52),(78,22)\)が考えられ、
\((M,100-M)=(48,52)\)のとき、\(N=\displaystyle \frac{48×52}{39}=64\)より、4864が得られます。
\((M,100-M)=(78,22)\)のとき、\(N=\displaystyle \frac{78×22}{39}=44\)より、7844が得られます。 - \(m=9\)のとき、\((M,100-M)=(39,61)\)が考えられ、
\(N=\displaystyle \frac{39×61}{39}=61\)より、3961が得られます。
以上から、1369,2244,3961,4864,5264,6161,7844,8729,9121が答えとなります。
まとめ:[中学数学]思考力が試される良問!灘高校で出題された「整数問題」を解説!
いかがでしたか。
今回は、灘高校で出題された「整数問題」を解説しました。
分数式や素因数に注目した絞り込みなど、今回解説した問題は受験生がどこまで本質を突いた思考ができるかを試されるものでした。
このような思考力は一朝一夕の努力で獲得できるものではなく、日々の学習で十二分に基礎を定着させることによって養われていきます。
ですので、これまでの解説記事を参考にしながら、冒頭でご紹介した書籍等を用いて問題演習を行ってゆくことが大切です。
引き続き、過去問の解説を行っていくのでお楽しみに。
最後までご覧いただきありがとうございました。
また、本記事と合わせて以下の記事もぜひご覧ください。
コメント
Ⅰの(1)は、何組あるかと聞かれているので、組み合わせを答えるのではなく、4p個と答えるべきと思います。素数は無限個あるので、その表現が良いかも微妙ですが…
コメントありがとうございます!
表現を一部訂正させていただきました。
なお、今回の問題ではpが3以上の素数ですから、(a,b)の総数は結局のところ2pの正の約数の個数と等しくなるので、4個で問題ないかと思います。